緑雨さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

緑雨

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ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

3.8

帰ってきた貧民街のヒーロー。原点回帰の物語。

ロッキーの原点はやはりストリートファイト。どうしようもなくお人好しで器用に立ち回ることなんてできやしないロッキー。最後に勝負をつけるのはやっぱしストリー
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ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作の映画)

4.5

「決断をするために必要な、最低限の時間は存在している」という状況が、出色の人間ドラマを生み出している。

パニック・ムービーではあるが、次から次へと襲い来る脅威に急き立てられ、考えてる間もなくひたすら
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激突!(1971年製作の映画)

3.8

小学生の頃、テレビの洋画劇場で放映されてたのを父親が観ていて、一緒に観はじめたら目が離せなくなった。こんなに印象の強い映画は他にない。

久々に再鑑賞。

前半はサスペンス、後半はホラー・アクション。
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ヘタな二人の恋の話(2022年製作の映画)

3.0

坂道と自転車、冷蔵庫、しろくまアイス。

最初のうちは、キャラクタが現実離れしてイタすぎて、ちょっと観ててしんどい感じだったのだが、映画の中で時が重ねられていくうちにちょっと愛おしさが芽生えてくる。こ
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.8

邦画洋画問わずこれと同類にカテゴライズできそうな映画って、まず思いつかない。だからこそ伝説たり得たんだろう。

ストーリーテリングの放棄ともとれる終盤の暴走も断然擁護したい。主人公が最狂の愉快犯に育っ
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ジュリエッタ(2016年製作の映画)

3.8

ふとした表情や眼差しのずれで、途端に人の間に不穏さや官能が生じる。このあたりの演出力にはさすがアルモドバルと感心させられる。

人だけでなく、木製の人形や列車と並走する鹿も、マドリッドのアパートメント
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あいあい傘(2018年製作の映画)

3.5

あいあい傘で歩く2人が水彩画風の画面に溶け込んでいくタイトルバックがユニークで好い感じ。

時制を組み替えてわざわざ分かりにくくした上でわかりやすい説明セリフでフォローする手法だとか、高橋メアリージュ
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ラッキー(2017年製作の映画)

4.0

ハリー・ディーン・スタントンの遺作。海軍のコックとして沖縄戦にも従軍したという経歴は、スタントンの実際の経験に基づく。

ゆっくりと画面を横切って歩くカメを映すオープニングから、下着姿でのヨガ、コーヒ
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間違えられた男(1956年製作の映画)

3.5

ヘンリー・フォンダのくりくりお目めがオドオド、ビクビク。戸惑い、不安、恐怖、心細さ。画面から溢れんばかり。

『サイコ』はじめ他のヒッチ作品と同様、淡々と撮っているだけのシーンでも恐怖感が伝わってくる
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(1960年製作の映画)

4.0

まさにノワール、モノクロの画面に映える男たちの個性的な顔、顔、顔。一番役者らしい印象深い面構えのジャン・ケロディが本職の俳優ではなく、映画の元になった事件の実際の脱獄囚であることを知って驚く。

監房
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まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

3.5

時計の動きを使ったオープニングクレジットの見せ方が洒落ている。

アラン・ベイツが街に入ってからの展開はドリフのコントみたいなテイストを感じたけど、両軍が街に入って全てが終わると急にブラックさを帯びる
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八月のクリスマス(1998年製作の映画)

5.0

直截的な言葉が無い分、心情に思いを馳せるとじんわりと胸が痛む。染みた。

最後まで二人の間に愛の言葉は語られない。笑顔で交される何気ない会話。そして相手に気づかれないところで見せる表情や行動、例えばす
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燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

3.8

ブルース・リーの全ての所作に神が宿る。”Don’t think. Feel!” 考え抜き、鍛錬し抜いた者にのみ神は降臨するのだ。

前夜祭パーティの趣味の悪さなど、失笑気味の部分もなくはないが、耳をつ
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.8

ちょっと斜に構えた、ヴェンダース流人間賛歌。

正直、序盤は眠気と格闘してたし、バーでの長台詞は字幕斜め読みしたし、この映画のメッセージを正確に受け止めることができた自信は全然ない。

だけど見終わっ
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情婦(1957年製作の映画)

4.8

決して、オチを知ってしまったら二度と楽しめないという映画ではないと思う。細かいところまで演出が行き届いていて、きっと何度でも楽しめるはず。

だけどやっぱり、あのガツーンときて、すかさずドカーンとくる
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ザ・ローリング・ストーンズ/レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー(1982年製作の映画)

3.5

1981年の全米ツアーを編集。

ビル・ワイマンが「永遠の39歳!」と紹介されていたが、彼だけが40代で、他のメンバーはまた30代。当時だってキャリア20年の大御所だったが、まさか40年経った今202
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離愁(1973年製作の映画)

4.8

たまたま日経新聞の日曜版で紹介されていなかったら、たまたまU-NEXTのお試し無料期間でなかったら、この映画を観ることは一生なかったかもしれない。映画史の片隅に埋もれてしまいそうな、この秀作に出会えた>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

実話ベースでありながら、コーエン兄弟やタランティーノの与太話系みたいなテイスト。その分、映画としては少し新味に欠けるかな。

特筆すべきは、フィギュア競技シーンも含めたマーゴット・ロビーの熱演と、母親
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

3.5

ものすごくリアルな映画だと思う。もちろん当時のワルシャワが実際この映画に描かれた通りの状況だったかどうかは知らない。けれども、ここで描かれる光景には恐ろしいほどの現実味を感じる。

車椅子の老人をバル
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

3.8

映像作家として、そして演出家としてのスピルバーグの力量が十二分に発揮されている。

サメ退治に出かけてからの、3人のキャラの噛み合わなさに何とも言えぬ不安感・不快感を掻き立てられる。まるでヒッチコック
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パリのどこかで、あなたと(2019年製作の映画)

3.8

クラピッシュの映画を観たのはかなり久しぶりのような気がするけど、ずいぶん洗練されたなあ。

二人の部屋のベランダから見える、線路の向こうに広がる街とモンマルトルの構図。駅まで歩く間のごく普通の街の風景
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.0

わがままで直情的で気が強いお嬢様。

得体の知れない、おせっかいな皮肉屋の新聞記者。

わからずやの堅物親父。

映画の観客である我々が受ける第一印象が、登場人物がお互いに抱く印象とオーバーラップし、
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オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

4.8

ガチョウの群れが浴槽で血浴びして大量の蝿が集る、クリアな画面で見せるこの狂気の映像にいきなり心掴まれる。

その後も、ハヤブサの鳥瞰視点とバードストライク、人を噛む巨大時計、耳削ぎと縫合、ミルクを啜る
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Z(1969年製作の映画)

3.8

娯楽作品としてもじゅうぶん楽しめるが、当時の時代感覚を反映しているという点からも興味深い。銃でも刃物でもなく、殺戮の道具はあくまで棍棒。およそ人が人を殺す手段として、棍棒による撲殺ほど惨たらしいものは>>続きを読む

昨日・今日・明日(1963年製作の映画)

3.5

爛熟ボディでせまるソフィア・ローレンのごっつい存在感。それをソフトにくるみこむマストロヤンニの伊達ぶり。全然趣きの違う3つのお話を通じて、2人の役者の魅力を存分に楽しめる。

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.0

ガス欠トラックのシークェンスが途轍もなく面白い。サイドミラー凝視して神操縦するアラナの表情と助手席で何もできないポンコツ野郎の対比。この緊迫感の醸成にブラッドリー・クーパーのぶっ飛んだキャラが効いてい>>続きを読む

帰郷(1978年製作の映画)

3.8

それまで戦争のことなど遠い世界のようにしか思っていなかったであろうサリー(ジェーン・フォンダ)が、ふとしたことで病院で働く気になり患者たちと接する中で、戦争の本当の姿について知っていき気持ちに変化が出>>続きを読む

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

3.8

夏休みの登校日、学校のプール、友達と出かけた夏祭り、家でのファミコン…ああ、自分もこんなだった・・・。クラクラくる。こんなにも小学生時代の雰囲気を完璧に再現されるとは。郷愁を刺激されまくる。

ただ、
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.0

かつて「男子」だったすべての者に捧ぐ、

って感じかな。

佐々木を中心に馬鹿騒ぎで盛り上がる野郎ども、周りで冷ややかに迷惑そうにする女子、4人組の悪友たちが連んでいる生態、これまでみてきたどんな学園
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許されざる者(1992年製作の映画)

4.5

人に銃口を向けて引き金をひく。そのことの意味とそれがもたらす事実を、誤魔化さずに真面目に描いた秀作。

ペレ(1987年製作の映画)

4.0

すごい完成度。19世紀のデンマークなんて遥か遠い世界だけど、この映画観てる間は完全にその世界に生きてるような錯覚に陥った。厳しい生活が淡々と描かれるのがまた痛々しい。

年老いたペレの父親(マックス・
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殺しのドレス(1980年製作の映画)

3.5

オマージュなんて言葉では表現しきれないほどの、『サイコ』への、ヒッチコックへの強い思い入れを感じる。その一方で、美術館のシーンでのねっちりしたカメラワークや官能表現など、オリジナリティも十分発揮されて>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

3.5

たまたま『ブリジット・ジョーンズの日記』を再見した直後に観たのだが、レネー・ゼルヴィガーの変幻自在な多彩さには改めて驚かされる。ジュディ・ガーランドへの憑依というよりはオリジナリティが強い印象。表情な>>続きを読む

カバーガール(1944年製作の映画)

4.0

クラクラしそうな極彩色。影と踊るジーン・ケリー。紅白歌合戦の出し物を彷彿とさせるブロードウェイのバカでかいセット。映像的面白さ満載。観ていてホント楽しい。

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.5

ナチスドイツに蹂躙され、戦後は共産体制の虚構に閉じ込められ、壮絶な内戦によって崩壊した国家と民族の歴史を、直接的・寓話的・風刺的手法を織り交ぜながら描き切った怪作。

そのような大河ドラマばりの壮大な
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祝祭(1996年製作の映画)

3.8

お婆さんは孫に年を分け、背を分け、知恵を分ける。そして自分は小さくなり、子供に還る。すべてを分け終わったとき、魂は消え、家を去る。「老い」に対する、なんと暖かいまなざし。心にじわっと広がるような寓話。>>続きを読む