グラビティボルトさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

グラビティボルト

グラビティボルト

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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.5

バービー人形を殺人マシンに仕立てた「ターミネーター」。
あと、「リアルスティール」的なギミックとチェンソーも使ってくれる。
振り向いたらミーガンが立っている場面とか、ショッカー演出は迫力不足な気がする
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怪物(2023年製作の映画)

3.8

極端に良いショットがある訳じゃないが、徹底して強か。
序盤、母が子を見送る場面で口にする「白線出たら地獄だよ」という遊びの台詞すら子供を苦しめる規範を意識させる言葉になっている。
んで、学校で起きた事
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クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.5

結構面白かった。
初監督兼主演のマイケル・B・ジョーダンが力を入れたという、ボクシングシーンのザック・スナイダー的な捉え方の精度はよくわからんが、
因縁を拗らせまくり、最早言語では
解決出来ないわだか
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TAR/ター(2022年製作の映画)

2.8

目元ガンキマリのケイト・ブランシェットが指揮棒振り回してるだけで何となく面白いし、屋内で独りになった時に顔を出すタルコフスキーや黒沢清を連想させる不穏さも悪くない。
ただ、最終的に一人の作家のキャリア
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

2.5

荒木飛呂彦の画をどう撮るのかという試みが最早一切なくて、「置きに行っている」ような見応えだった。
ケレンに満ち溢れているでもなく、オーソドックスな魅力が突き詰められているでもなく、曇天のルーヴルは格好
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石の微笑(2004年製作の映画)

3.8

扉を開け、階段を昇れば昇るほど引き返す事の出来ない地点に吸い込まれてしまう映画だった。
実家暮らしで母に依存しがちなサラリーマンが不思議な女に惹かれていくメロドラマだが、細部が不気味。 二人で海に行く
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

2.0

仲間が敵の陰謀により散り散りになってしまう展開で各陣営をクロスして描くんだけど、どの場面も切るタイミングが気持ち良くない・・・のは作り手も承知だろう。
ただ、この次作へ続き続ける連載漫画的な作劇には踏
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

オリジナルに比べて、轢殺死体を棺に隠蔽する件のギミック(人形と杭)が省かれてしまっているのは疑問だが、岡田准一が悲鳴を上げながら目先の出来事を誤魔化す為に右往左往してるだけでなんとなく面白い。
綾野剛
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ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)

4.0

今年鑑賞旧作のベストだと思う。
ゴリゴリの傑作。 
とことん簡潔なショットと錯綜した視点で不穏さを抱えながら動く世界を撮ってしまっている。
取り返しのつかない落下の連鎖で締めくくる映画。
冒頭、屋上か
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ある用務員(2020年製作の映画)

3.0

怪作「黒い乙女」も撮影していた
栗田東治郎のローキーなカメラは格好良いし、高校の校舎で
格闘アクションを釣瓶打ちにしようという構成も潔い。
惜しむらくは、福士誠治演じる暗殺者のナイーヴな一面が序盤のゴ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

1.6

「帰ってくる」と言えばいくらでも続けられるMCU、どんなに中盤が面白くてもその一言で映画自体が通過点になるから、最終的に残る気分が虚ろだ。

続く、続く、次が衝撃の○○です!が見たいんであれば、俺は漫
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.1

場面転換の度に身体が慄くような、
滅茶苦茶フィジカルに響く映画だった。
終始移動と、音響、光と息遣いだけで構成されたような映画。
なのに黒沢清「カリスマ」ラストのようなカタストロフの予感を称えたショッ
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MEMORY メモリー(2022年製作の映画)

3.6

ここ最近のニーソン主演作の中でも、トップクラスに内面を荒廃させた主人公が画面を支配していてたじろぐ。
認知症をギミックにした映画かと思いきや、記憶に危うさを持った殺人鬼が廃墟と化した実家に戻る映画でも
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マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

3.6

宇宙戦争+万引き家族+暴動というこの題材を、87分でやり切っているのが凄い。
ハル・ベリーとラマー・ジョンソンが帰宅する場面がラストなんだけど、後者の身体は家に帰れてるのに精神的には暴動の夜に取り残さ
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聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)

3.8

今更聖闘士星矢という、
企画書は色物なんだけど、
新田真剣佑やマーク・ダカスコスを筆頭とした役者陣は迷い無く漫画的なキャラを体現していて、感動する。
あの左手を前に出しながら右拳を構える新田真剣佑の眼
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.7

「ブラックスワン」でナタリー・ポートマン演じるバレリーナの悲鳴を上げる爪先にやたらと寄って痛覚を強調していた
ダーレン・アロノフスキーが肥満体の男を撮る。
となれば、当然これまでのようにグロテスクに疲
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

1.0

つまらん。ぶっちぎりの今年、というかここ5年ぐらいのワースト。
カンフーも、SFも全て説明的で
人物の生活やら人生の意味みたいなテーマにいちいち紐付けられてるからアクション単体で驚けないし、妙に声を高
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.5

靄や松明の火がフワフワと浮かぶ村の俯瞰ショットや、その火に照らされる人物のアップだけで藤井道人の映画だと思える強度があって、作家がもう個性を確立してる。
あと、猫背でボソボソと話す陰の横浜流星が立ち直
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

元ポルノ男優である主人公の無責任、いい加減という特性を極めた結果、どこかホラー的な恐ろしささえも兼ね備えた怪作になっていると思う。
無責任さが人を傷付け、搾取し、何なら野蛮さを浮き彫りにしてしまう。
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チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

3.6

スマホの機動力を利用したようなこれ以降の2作に比べるとだいぶ王道を行く映画。
駆け出しのポルノ女優がお婆さんから大金の隠された魔法瓶を買った事から深すぎず、浅過ぎない交流が始まる。
二人の出会いの素っ
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燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

4.0

端から端までバカバカしさに満ち溢れていて滅茶苦茶楽しかった。
恋人と大喧嘩、傷心の果てに肥大した肉体を駆使してドニー・イェンが日本ヤクザをぶちのめす訳だが、歌舞伎町を思い切ってセットにした事で画面に映
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傷だらけの挽歌(1971年製作の映画)

4.2

今更観た傑作パターン。
ネックレスを強盗したくて富豪の娘を誘拐する映画なんだけど、異様な犯罪一家に誘拐された若い女性の痙攣的なリアクション、彼に惚れた次男坊の精神不安定な蠕きが「悪魔のいけにえ」にも拮
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約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

3.5

不穏な秀作「ラストボディガード」の作家が撮る母娘の映画。
エヴァ・グリーン演じる母が宇宙飛行士として訓練を積み、やがて娘と離れていく。
振り向くという動作の反復と差異で娘との距離を視覚化する残酷さと不
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

徹底的に技巧を抑え、けれど編集で笑わしてきて、ちゃんとシナリオは予想外の方向へ語り、役者は脇に至るまで魅力的、パワフルな開拓の精神も兼ね備えたアメリカ映画で、アカデミー賞だった
「アルゴ」よりも遥かに
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

2.8

口コミでジワジワとロングランヒットした前作を踏襲し過ぎず、好対照なライバルキャラを据えて全く別な見心地の続編を作ろうとする作家の野心や戦略は伝わってくるし、丞威と濱田龍臣の佇まいが終盤で完成するのも悪>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.5

あまりの職人監督的な端的さ、画面から伝わる自意識の希薄さに狼狽えてしまった。悟りきった作家によるれっきとしたジャンル映画。
ジェームズ・ワン、エドガー・ライト、レフン辺りから過剰な画面装飾と凝った語り
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.8

急に大男が訪ねてきて「お願いですから死んで下さい」と懇願される。
この無茶な作劇に賭ける事の出来るシャマラン、本当にイカしてる。そして残酷だ。
映画とは、勝手に歩み寄って来て、勝手に話し掛けてきて、勝
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日本脱出(1964年製作の映画)

3.0

ラストショットの宙づり感が素晴らしい。
主人公の生き方そのもの。

こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.9

相米慎二の映画を感じさせる傑作。
これもまた、子供の挙動に対してどうする事も出来ない大人の映画だった。
子供の自由さ、溌剌さ、純粋さが全く彼女らを幸せにしない語りの徹底ぶりと、暴力の予感を帯びてしまう
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.5

前作「ファーザー」より遥かに好き。
知性で己を律しようとするヒュー・ジャックマンも、優しいローラ・ダーンも、オシャレなヴァネッサ・カービィも、ゼン・マクグラス演じる青年のか細い絶望に対して為す術もない
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グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.0

まずは、この大団円まで着地出来た事を賛辞&感謝したい。見事!雨宮哲監督、今後も追い続けます!

初見ではあまり冷静に判断出来てないけど、山下敦弘が撮ったようなダウナーな青春ドラマと特撮アニメを掛け合わ
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嵐を呼ぶ十八人(1963年製作の映画)

3.7

鑑別所上がりの肉体労働者を撮る映画というと、如何にも社会に対する目線が強く打ち出されそうだけど、そこは流石吉田喜重。
ただ、スレた男達を有りの儘に撮るという一見風情もへったくれもない、しかし作家として
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.4

冒頭の塚本晋也と池松壮亮の最後のやり取りから一貫して人物内側の切り返しによって「意思を受け継ぐ事」を視覚化しようとしている。
特に、平場の肝となるのは、「遺言」のシーンにおける、誰もいない海に向かって
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

疲弊した肉体を引き摺って観たかいがあった。
まず、観客が列車の玩具を買いたくなる冒頭の迫力が堪らぬ!
母親からカメラをプレゼントされる場面も、少年を眼差すレンズが3つあるショットを作り、どのシーンにも
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コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

2.4

結論イマイチだったな。
横移動で切り替わる毒々しいセットやマイケル・ガンホン演じるDV夫の一切の擁護の余地がない醜さなど、眼を惹く要素はあるが驚きがないまま淡々とエグみを見せ付けられるのは辛い。
もっ
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