Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.5

余りにも救いがなさすぎてまだ受け止め切れずにいる。
絶望の先の先、諦めの果ての果て、何も待っていない先の先の先の底なし沼にどんどん堕ちてゆく姿はいたたまれない。神への帰依という信仰の目覚めから神への憎
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最終頁(2021年製作の映画)

3.8

消えゆく場所は誰かの心の拠りどころでもあったということ

トト・ザ・ヒーロー(1991年製作の映画)

3.5

さいですか…という感じ
インパクトのあるシーンをところどころ入れたりしてなんとかテンポを保ってはいるものの、全体的に中途半端で、探偵ものにしたいのかヒューマンドラマにしたいのか分からない。ある意味新ジ
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.8

ひたすらビジュアルって感じ
後世で西ドイツの時代性によって文脈が過大評価されたせいで作品としては不幸になってしまった気がする
ほんとにビジュだけは最強です❣️

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

昨今の主張激しいフェミニズム映画よりも全然フェミニズムしてる。主張していないし淡々と描いているので押し付けがましさがないのに、激動の時代を生きた女性の苦悩がありありと伝わる。
西ドイツ時代の廃墟や爆撃
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.5

世界観の勝利、ではあるが対して脚本はとっ散らかっていた印象。特殊メイクとVFXと近未来設定はちょっとだけわくわくしたけど尻すぼみ感は否めないし、パーツごとに見るモチーフは良いからこそ勿体ないなと思っち>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.8

割りかし冷静なコンディションで見たので乗り切れなかったのもあると思うけど、思ったよりも微妙だったという印象。
家父長制的な現実と女性至上主義のバービーランドの対比はとても良かったし、男寄り女寄りどちら
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血と砂(1965年製作の映画)

4.0

終戦記念日に。戦争ファンタジーとしてしっかりエンタメしてる感じは『ビルマの竪琴』を想い出した。
終戦間近の悲壮感は少なく、むしろ軍事未経験の学生たちの部活遠征くらいのノリで殺し合いが続いてゆく。ほとん
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.8

めっちゃくっちゃ良かった🥳
縁あって今年はエドワードヤンの作品みることが多く、そろそろ制覇しちゃいそう。『ヤンヤン夏の想い出』とも共通する群像劇や『恋恋風塵』とも共通する男女のすれ違いとリアリズムとい
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.0

"Pixarを観た!"ってなる相変わらずの高クオリティの良質エンターテイメント。
最近はリメンバーミーをはじめとして「非白人/非欧米人カルチャー」に挑戦しているイメージのあるPixarであるが、今回は
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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.0

とにかく息もつかせない怒涛の展開、ホラーかと思ってたら難解ミステリーでなぜか途中ゾンビ映画なるし、会話やキャラの適当加減はシュールギャグという絶妙な塩梅でおもしろかった🙌
伏線大量でどのようにも解釈で
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.5

ポップで非常に舞台的なつくりでそれなりに楽しめた。キャラがそれぞれ立っているし、登場したそれぞれが分かりやすく「あるある」的なセリフを繰り返すので、その辺は「じゃじゃーん!」と出てきてキャラクターとし>>続きを読む

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

5.0

激動の近現代中華史を辿りながら伝統芸能「京劇」を取り巻く変遷、その興亡を見届ける大傑作。
レスリーチャンの美しさに息が止まる。劇中劇としての構造も素晴らしく、"伝えられない愛"や"滅びの美"が内包され
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

2作目になっても相変わらずの映像表現でクオリティの高さ異常。ヒロアカの神作画の回みたいなトランジションで油絵×デッサン×手書きアニメ×3DCGが融合したような先鋭的な表現で画面が続く。アメコミを映像に>>続きを読む

ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

4.1

コメディとしてそれぞれの人物の力関係が秀逸なのと、すれ違い・勘違い・話聞いてないよシチュエーションのオンパレードでエンタメ的にちゃんと"面白い"作品なのがすごい。
それでいてラースらしいこねくり回した
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ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦(2003年製作の映画)

3.5

映画監督設定で無理難題を別の監督に突きつけるっていうどちらも本人が本人演じとる自己愛の行き着く先のSMプレイ。
映画としてまとまりがあるかと言ったらそうではないけれど、ラースなりの鬱の乗り越え方、作品
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード(2003年製作の映画)

3.7

「とにかく熱海に向かって、最後にみんなで焼き肉食べる🥩🔥」をコンセプトに一本映画にしてしまった思い切りの良い作品。
コメディ要素多めでスタンダードなしんちゃんをずっと見せてくれる。気持ちと作画がおかし
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Wの悲劇(1984年製作の映画)

4.5

素晴らしかったのひとこと👏
劇中劇としてのギミックを存分に活かしてひとりの女優志望を激しく物語り、描いている。
薬師丸ひろ子瑞々しすぎ、三田佳子最強すぎ、澤井信一郎過小評価されすぎ。カメラワークや昭和
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メランコリア(2011年製作の映画)

3.8

見終わったあとに何とも言えない気持ちになった。劇場帰りの階段は水を打ったような静けさだった。友達と話してて「鬱のひとと話したあと、こんな感じの気持ちになるわ」という話になって、たしかにこれはそういうつ>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

いろいろ言いたいことはありますけど、ジブリの最新作を映画館のIMAXで観れただけで良かったと思います◎
主人公の少年期ver.アシタカ、風立ちぬ的な冒頭ふわっと触れるモチーフだけの戦中設定、ハウルの動
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白夜(1971年製作の映画)

4.5

硬質•暴力的•悲劇なイメージのあるブレッソンの作品群の中で指折りでポップで可愛くてライトな映画でびっくりした。
こんな軽さを持った作品もつくるんだという素直な驚きと、おかしなポイントをちょくちょく入れ
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

4.4

ショットの冴え渡り方と、生き死にの逼迫感がひりひり伝わってくる感じが良い◎
デカローグ版との違いにフォーカスして見れなかったのですが、首吊りのあと全身の体液が流れるので、床が汚れないように入れる容器を
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

4.4

夏のはじまりに観るのに良い作品だった🌻☀️
基本的にフォーマットは『ソナチネ』と同じく"変わった夏休み"を描いているわけですが、本作ではヤクザ主人公を隣に据えて子どもの視点を加えることでα版になってい
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藍色夏恋(2002年製作の映画)

3.8

青春時代に観たら5割増しで泣いちゃう自信ある。
ジャケ写的にそこそこ新しめの高校ものかと思っていたら、フィルムの撮影の質感とかシーンごとの空気の切り取り方、まとまり方がめっちゃ映画してた。絵作りでいう
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ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)

4.1

いつの時代も悲劇は起こり誰か死んでいる。その事実を突きつけられるということが、映画の外の私たちの意識までも変えてしまう。そこに向き合う覚悟があればどこでも生きて行けるだろう。
ティーンものでマイノリテ
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偶然(1982年製作の映画)

4.2

凄すぎてびっくりした。40年前にマルチバースやってるのえぐい🔥
デカローグのときもキェシロフスキは引き出し多いなあと思ったけど、キューブリック、デビットリンチ、タランティーノあたり影響与えてるだけあっ
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キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

4.5

vol.1は日本の時代劇オマージュって感じで、vol.2はその世界の上に西部劇オマージュとカンフーを塗り込んだ相変わらずのカオス、最後まで面白かった❣️
タラちゃんは無駄な会話入れがちなイメージあるけ
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

4.5

良い意味でのカオスな闇鍋で縦横無尽な表現や展開力にわくわくする。このアトラクションみたいな雰囲気はタランティーノにしか出せないドライヴ感だと思う。
"私は日本に住む日本人です"みたいなカタコト日本語と
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汚れた血(1986年製作の映画)

5.0

"疾走する愛"の刹那性と抒情性、滅びの美しさ。
どのシーンも素晴らしくて筆舌に尽くし難い。
ラストですべてを伏線回収しつつ終わるのたまらないし、トリコロールの『青の愛』と『白の愛』の共演に好きが止まら
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光陰的故事(1982年製作の映画)

4.0

台湾ニューシネマをのちに牽引することになるエドワード・ヤンの新人時代の短編も入ったオムニバス、4作品とも独特の余韻があって好きだった。
50〜80年代の古い台湾の景色が見れて懐かしさに包まれる。
エド
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恋恋風塵(れんれんふうじん)(1987年製作の映画)

4.4

ひたむきで報われないことの切なさ
九份の山あいの景色は大して変わっていないのに、ときの流れが過ぎて行くことの諦観、過ぎ去った日々を想い出すともなく茫然と眺めるそのどうにもならなさがすごく好きだった。
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.7

『別れる決心』と合わせて見たから分かりやすかったのだけど、パク•チャヌクは縦横無尽なジャンプカットをはじめとするトランジションで絵づくりは硬質なのに独特のテンポを出すのに成功している印象。
ところどこ
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

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梅雨の季節に熱帯雨林の湿り気ともうもうとした空気、ドキュメンタリー調の撮り方は雰囲気ばっちし。怖いものみたさで行ったのだけど、想像の150倍グロくて胸糞で視聴するのに忍耐力が要求される…久しぶりにこん>>続きを読む

ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.7

ひとりの人生が物語として語られ、過去の記憶と現在と未来が重なるような構造が良かった。ひとつひとつのエピソードもしっかりしているし、誰かを想い出すこと、頭の中を何度も反芻したことがある人間には刺さりやす>>続きを読む

母なる証明(2009年製作の映画)

4.5

凄まじかったの一言に尽きる
父なる神であるとするなら母は悪魔か