Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

4.0

広能の存在感と武田の存在感が上手く対比になっていて、人もバンバン死ぬし名勝負というような様相。時代性もあり、ヤクザという時代が終わりはじめる切なさもあり。
作品全体として若者の命が失われる点にフォーカ
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仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

4.4

仁義なく、我欲と政争に明け暮れるヤクザ同士の中にあって、広能の義理堅く筋を通そうとする格好良さに痺れる。
本作の制作された1970年代は人々が豊かになり、地域や村などコミュニティを優先する人間から、個
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

4.2

久しぶりにヤクザ映画見ると気が引き締まる現象に名前をつけてください
千葉真一の存在感がえげつない。テンポ、カット、物語どれをとっても面白く、ずっと安心して見れてしまう。
本作では特にその仁義のなさ、仁
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

2.9

続編としても前日譚としても無理がありすぎた🥹
無理は無理と割り切れる人でないと(この映画を楽しむのは)難しい

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

音響の不穏さとカットの作り込みは一級品。
物語としては結局何がしたかったんか分からんところがミソであり弱点なのだと思う。タイトルは神のシカを殺した民が息子を神に殺される神話からきてる(友達が調べてたの
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グリーンフィッシュ 4K レストア(1997年製作の映画)

4.1

発展途上の韓国と繁華街を取り巻くチンピラ劇。デビュー作にも関わらずこの完成度はやはりイチャンドン。
物語のえぐみは万全に出ているとは言えないが、ショットひとつひとつの計算高さは健在。
居ないところで誰
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

パクチャヌク復讐三部作のラスト。
モチーフとしては良い誘拐/悪い誘拐くらいしか続いている要素はないけれど、これまでニ作品見てきた以上はひとよりも感情入って鑑賞してしまった。個人を飛び越えて血縁やら複数
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復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)

4.0

展開のえぐみと殺し方や遺体のリアリティで心がうっとなる作品。
音楽の使い方、静と動の緩急の使い分けが良かった。現場の実況見分したら不自然な石の積み重なりは子供の死体発見時の最初の段階で分かるのでは?と
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

ギャスパーノエ作品の中では異色の演出控えめ・リアル・ドキュメンタリーチックの怪作。
認知症の老夫婦をじっくり描きながらトリッキーな2画面編成で物語をじっくり見せてくれる。
曾祖母が軽度の認知症だったの
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

3.7

アメリカのドラマ映画としてそこそこの出来◎
時代バラバラだけど『まぼろしの市街戦』に『グリーンマイル』を足してほどよく味つけしたような印象、いまの時代に見たらある程度鉄板な風味もあり(ラストとか)、名
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イ・チャンドン アイロニーの芸術(2022年製作の映画)

3.9

監督自身の血の通った言葉で物語の断片がリアルを帯びてゆく
映画と小説とインタビューとロケ地、そしてイチャンドンという一個人の生が重なってゆくような演出も素晴らしく、これまで"存在するようで存在していな
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オアシス 4K レストア(2002年製作の映画)

5.0

たった一回でも伝われば十分な愛。映画の極北、瞬間瞬間の最高風速を更新し続ける、儚くて美しい。
何度観てもオールタイムベスト❤️‍🔥

光る鯨(2023年製作の映画)

-

この映画観たあとエレベーターに乗ると何かを期待してしまうような作品🎞️
日常の延長のようなポップなSFの題材を、静謐な演出でゆっくり描かれていて好印象でした。変顔すき

500ページの夢の束(2017年製作の映画)

3.8

ポップな中にもしっかりと自閉症の生きづらさが描かれていて好感◎
介護と管理の問題、上手く外に伝えられないけれどやりたいことがあるとき、家族からしたら普段の管理できる範囲内で主人公が存在しているから安心
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ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.5

数年ぶりに再見しても、シーンごとのトランジションの上手さと台詞のつながりや構造美の素晴らしさに脱帽する。
主人公の衝動性によってずれてゆく人生のレール、初恋相手にも素直になれずになおざりにしてしまうと
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黒い家(1999年製作の映画)

3.8

ブラウン管テレビ時代を彷彿とさせるフィルムの質感が良い◎
昭和末期〜平成初期ホラーの味が出ていて、そういう意味での昨今の"4Kで解像度高すぎて怖くない現象"が起きない良質な映画。
大竹しのぶの怪演がず
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シチリア・サマー(2022年製作の映画)

4.0

胸の奥がつかえるような、どすんと重たいものを食らったような気分。美しいだけでは終わらない時代性の残酷さ。
事実ベースであるからこそ、複数回視聴すればさらにカタルシスが生まれてくると思うけど、再視聴は時
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楽園の瑕 終極版(2008年製作の映画)

3.9

フィルム撮影の砂漠が美しい。
てっきり時代劇であんまり楽しめないと思ってたけど、そこはやはり王家衛、作家性が時代性を食い破って、恋する惑星や花様年華を彷彿とさせる武侠アクションロマンチック映画に見事に
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ポエトリー アグネスの詩 4K レストア(2010年製作の映画)

4.5

人生を彩りはじめる、心の豊かさの発見と世界を見つめる眼差しの変化。詩を綴ること、芸術の萌芽によって生まれる奇跡のようなひと筋。
陽光のようなあたたかさがあるのに中身は苦しくて、まさしくそれが詩であって
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アレックス(2002年製作の映画)

-

イチャンドン『ペパーミントキャンディ』とも共通するような時系列反転構成によって、テーマ“時はすべてを破壊する”がしっかり響いてくる。
胸糞な部分やグロい感じがフォーカスされがちですが、このテーマ性の行
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

-

観終わったいま、感情がぐちゃぐちゃの迷子。鑑賞後の疲労感えぐい。
初めてのギャスパーノエ作品だったけど、映画館で観て正解、この没入感と不条理の求心力は特筆すべき。発狂する部分ですら踊りの一部に思える。
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ラヴソング(1996年製作の映画)

3.8

物語は古風なラブコメという印象だが、ときたま冴えるショットと、人間的時間の流れるシーンのいくつかは観てて良いなとなる不思議な映画。
クリストファードイル撮影、本人もF×ck言いまくる英語教師役で出てる
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.7

ロウ・イエ作品は初めて。コンリーとオダギリジョーの時点で期待値爆上がりだったけど、白黒映画のアクション演出とカットの創意工夫で独特のインディペンデントアングラ感が出ていて良かった。好きな人は好きそうな>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.0

詩的なモチーフと比喩表現の素晴らしさ、やはりキアロスタミは唯一無二、イランの日常風景や市井のようすを撮らせたら一級品。鳥の声、ざわざわとした日々のルーティンに身を浸す映像体験。
主人公の都会的/非生産
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.7

食人×逃避行の愛
思ったよりも控えめな演出はじんわり響いてくる感じが音楽と相まって良かった◎
カットの切れ味が半端だったり、編集面でやや冗長なところはあるものの、普通のティーンものとは一線を画す独自性
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(2023年製作の映画)

3.7

ウェスアンダーソン×ロアルドダール4部作のpt4
これが1番見やすかった。ある種コメディ(お笑い)的シチュエーションなのだけど、ウェスが撮ることで映画の感じになってるのすごい。
物語内にリミットを設け
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ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.3

ウェスアンダーソン×ロアルドダール4部作のpt3
毒にも薬にもならない物語だけど、中身は毒について終始語ってるの面白い。
ここまで来たので制覇するつもりだけれど、そんなにコンテンツ自体にヒキはない。
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白鳥(2023年製作の映画)

3.4

ウェスアンダーソン×ロアルドダール4部作のpt.2
なだれかけるようなナレーション、絵画演劇的な画面作り、瞑想的解決と回想メタ形式あたりは他と共通している。
子どもを描いているのは似ているけど、やはり
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.6

いつものウェスワールドに、最近の作風(劇中劇と舞台装飾)が関わってきてカラフルに楽しめた✌️
会話の速さと情報量の多さはやばってなったけど、ダージリン急行やアステロイドあたりとも通ずるmeditati
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つみきのいえ(2008年製作の映画)

3.9

映像で雄弁に語ること。じんわりと効いてくる作品。
物語は絵本アニメ系で賞獲れそうなのと言ったら、という筆頭の"パートナーに先立たれた老夫婦"の王道あるあるど真ん中、フランス巻き込んで日本人がつくったこ
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インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

3.6

策謀が渦巻き、口で言うことと本心が異なるという会話はソナチネのヤクザ感あって良かった。
観る前から期待値高めだったのもあったけど、割りかし設定の細かい部分で「そうはならんやろ」要素があったので没入はし
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.0

これまでのfilmographyを辿るかのようなモチーフの濁流は完全にウェスアンダーソン総集編って感じ🥳
『天才マックス』的どこかズレた優等生たち、『ロイヤルテンネンパウムズ』的な家族の物語、『ムーン
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別離(2011年製作の映画)

4.8

すれ違いどころじゃないもはやこれは戦争だと感じるリアリティ。
『食人族』を見たときには「なぜひとは争うのだろう」と思ったけれど、『別離』を見たときには「だから争いは世界からなくならないんだな」と思った
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オオカミの家(2018年製作の映画)

3.9

世界観、これに尽きるような気がする。
ストップモーションで壁の中/床の中/部屋の中に存在し、次元を横断するような登場人物の表現の魅せ方は一級品。
物語はよくある人種メタファーの域を出なかったけど、スト
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(2021年製作の映画)

3.7

世界観の不気味さと物の質感、アニメーションの妖しさが素晴らしい。物語としては呪術味があってアリアスターの癖って感じ。ストップモーションのアニメの奥深さについて再考させられる佳作です。

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.5

余りにも救いがなさすぎてまだ受け止め切れずにいる。
絶望の先の先、諦めの果ての果て、何も待っていない先の先の先の底なし沼にどんどん堕ちてゆく姿はいたたまれない。神への帰依という信仰の目覚めから神への憎
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