似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 44ページ目

バッドタイム(2005年製作の映画)

3.8

私自身、どうもこの手の粘着質な男が主人公の映画に弱いようだ。あのクリスチャン・ベイルが歯止めの効かない狂人を熱演している。
構成的にやや粗っぽい欠点もあるが、ラストはギリギリ破綻を免れた感じ。

原題
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地球の静止する日(1951年製作の映画)

3.8

それなりによく出来てるけど、肝心のオチが丸々手塚治虫の『ワンダー・スリー』みたいで何だかなー、と白けてしまう。どうやらこっちが元ネタのようだが。ロバート・ワイズらしい律儀な演出を堪能した。

デッドマン・ウォーキング(1995年製作の映画)

4.0

ティム・ロビンス監督作。主演のショーン・ペンの演技がたまに鬱陶しく思う自分でもこれは納得せざるを得ない力作。死刑囚の彼(キリスト)を見届けるスーザン・サランドンは恰も聖母マリアのようである。よく考える>>続きを読む

ギャンブラー(1971年製作の映画)

4.6

これは渋い。レナード・コーエンの曲と映画の世界観が見事にマッチしている。ロバート・アルトマンだけに反ハリウッド的な芸術志向の西部劇と言える。当時(70年代)らしい陰鬱な雰囲気も自分好みで、何ともスタイ>>続きを読む

脱出(1972年製作の映画)

4.3

バート・レイノルズとジョン・ヴォイトの顔合わせってだけで仰け反りそうになる映画だが、内容的には割りかし面白かったサスペンス。ラストの悪夢的イメージがそのまま主人公の「現実世界」に侵食してくる辺りも乙。>>続きを読む

キャバレー(1972年製作の映画)

4.3

監督はボブ・フォッシー。MGM黄金期の華々しいミュージカル映画と比べ、厭世的な雰囲気が特徴のシリアスな作品。脇役のジョエル・グレイが物凄く気持ち悪い。この映画でアカデミー助演男優賞を見事受賞。

屋根の上のバイオリン弾き(1971年製作の映画)

4.2

頭の固い保守的なユダヤ人の父親(トポル好演)が新時代の到来と共に祖国を離れるまでを抒情的に綴ったミュージカル映画。伝統を守るか、革新を受け入れるかで葛藤する頑固な父親像がどこかクリント・イーストウッド>>続きを読む

ニッポン国 古屋敷村(1982年製作の映画)

4.6

小川プロが『三里塚』ドキュメンタリー以降、ある程度万人受けを想定して作った映画なので正直『三里塚』シリーズほどのインパクトは無い。それでも名手・田村正穀のカメラは相変わらず冴えており、失われた「ニッポ>>続きを読む

顔役(1971年製作の映画)

4.9

あの勝新太郎が直接監督した前衛的アクション映画。ストーリー性もへったくれも無いが、全編「無意味という有意味」を追求した結果こうなるのか?と思わせるアート作品のようにも思える。普通の映画では満足出来ない>>続きを読む

ゆけゆけ二度目の処女(1969年製作の映画)

4.8

マンションに凄む殺人鬼役の秋山未知汚(チーム若松の助監督)のキレッキレの怪演が忘れ難いどん詰まりの青春映画の傑作。マンション屋上を舞台にした密室劇という着想自体が相当非凡なもの。

性賊 セックス・ジャック いろはにほてと(1970年製作の映画)

4.7

主人公の童貞少年役、秋山未知汚が最高。「他人に裏切られるよりも早いスピードで自分を裏切らなければ、人殺しひとつ、犯罪ひとつできやしない」。ラストに於ける「地区反戦」グループとの銃撃戦場面は絶品。

質屋(1964年製作の映画)

4.3

人が人を搾取してるんじゃなく、金が人を搾取しているという事実をあからさまに提示した作品。高利貸しのロッド・スタイガーは明らかに被害者。(一方では加害者とも言うが)

欲望(1966年製作の映画)

4.0

そこにある筈のモノが実は無い、といった無世界論的なテーマが根底にあるみたい。エドワード・ヤンの『恐怖分子』の元ネタとしても知られる。画面に映っている対象自体が虚構でしかないことを白日の元に晒した作品。

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.6

実際トリュフォー自身が人間に飢えている、悪く言えばストーカー気質の監督なのだと思う。虚飾を排した白黒画面が美しい。ラストまで延々と続く風景の「持続」と「停止」が肝。

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.7

主人公は子供ながら、大人にしか分からない深淵なる世界。さながら「大人の見る絵本」のようでもある。ただその一瞬が永続していく感じ…。

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.7

『友だちのうちはどこ?』の後日談。主人公はなぜかアッバス・キアロスタミ自身という謎な設定。大震災後もたくましく生きるイラン市民への応援歌。全編、車でノロノロ走っているだけなのに頗る面白い。

かくも長き不在(1960年製作の映画)

4.3

直接的ではなく、間接的に描いた戦争後遺症映画の秀作。ベタな感傷を排した作風がいかにもフランス的。このように謎が謎を呼ぶミステリアスな雰囲気も捨てがたい。

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

4.6

ぶっきら棒に人が死んでいく。ただそれだけなのだが、なぜか「面白い」と思わせてしまう映像の魔力がある。全くもってスピルバーグ的。

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

5.0

あらゆる意味でスピルバーグ、というかハリウッド映画の総決算だった。彼自身が敬愛する黒澤明とデヴィッド・リーンへの憧憬を感じる。当然の如くこの年のアカデミー賞を受賞。

無防備都市(1945年製作の映画)

4.3

これ、リアルタイムで観たら相当ショッキングな内容ではないかな? 構成がちとガサツな気もするけど。

シザーハンズ(1990年製作の映画)

4.6

ティム・バートンならではの作り物っぽさが愛しい映画。あざとい要素が無いだけ安心して観れる。主演のデップ以上にヒロイン役のウィノナ・ライダーが光っていた。

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

3.7

映像が安っぽい。設定を色々こねくり回し過ぎて監督自身が迷宮入りしちゃった感感感感感感…。

バーバー(2001年製作の映画)

4.4

コーエン兄弟ってどちらかと言うと職人気質の監督なのでは…? 最後まで退屈させない画とシナリオの吸引力。

バーバー吉野(2003年製作の映画)

4.2

初期の荻上直子は随所にキ印入っててとても楽しいよー。

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.7

『かもめ食堂』の監督が撮った異色作。着想は良いとして、人間描写があまりにお粗末。是枝さんとはエライ差がある。

斬、(2018年製作の映画)

3.6

設定にリアリティを感じない。これは一種のファンタジー映画なのだろう。池松壮亮のナルシシズムが全編に迸る。

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)

3.8

井浦新演じる監督がチョ〜最低で感情移入のしようがない。

菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.8

撮り方が拙い上、台詞も直接的。全編自主制作映画っぽい作りだが情熱とロマンは見えてくる。

5つの銅貨(1959年製作の映画)

4.6

サッチモ目当てで鑑賞。はっきり言って影の主役は彼だね。主演のダニー・ケイも良いが、本作のキーパーソンはどう考えてもサッチモである。まるでこの世に奇蹟を起こす天使のような存在。

ハリウッドには昔から「
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.0

冒頭からいきなりドローン撮影…。CGに頼らずナマで見せる踊りのシーンは圧巻。

まだこの監督が若い為か、地に足がついてない感じもしなくはないが、映画や音楽といったカルチャーへの愛情をビシビシと感じる出
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ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.4

イーストウッドの音楽好きは『バード』にも反映されてるように、非常に懐古趣味的で落ち着きがある。🎷

本作ではフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの各々の生き様を通して「家族への愛情」「仲間との絆」が
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.6

【人間性の恢復の話】

いや〜、やっと観れましたよ『アメリカン・ユートピア』。期待通りの出来栄えで思わずニンマリしてしまう。☺️

元・トーキング・ヘッズのフロントマン、デヴィッド・バーン氏の飄々とし
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由美香(1997年製作の映画)

5.0

AV監督の平野勝之が伝説のピンク女優、林由美香と不倫に陥り東京から北海道の礼文島沖付近まで走行距離1052km・41日間にも及ぶ旅を克明に記録した「珍」ドキュメンタリー映画。

当初ピンク映画枠で『わ
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赤い殺意(1964年製作の映画)

5.0

【女は強くなる💪】

今村昌平作品中、最もフリーキーで危うい雰囲気が満点のコメディである。前作『にっぽん昆虫記』ではまだ構成らしきものがあったが、本作にはそれすら無い。映画全体の抽象度が高いからだ。
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神々の深き欲望(1968年製作の映画)

5.0

🐙本作に関して言えば「かつての今村作品にあったリアリズムが皆無」という点から過小評価されがちな映画なのだが、たとえ寓話的な作風になっても今村は今村であってそのミステリアスな世界観は相変わらず。

🐙絶
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