似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 46ページ目

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.7

いつも夢で溢れたハリウッド映画ではなく、たまにはこういうアングラなポルノ映画を観てもいい。💋

田中登監督、芹明香主演による今もカルト的人気を誇る日活ロマンポルノの名作。後半はやや失速するが、全体的な
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天使の恍惚(1972年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

【もう、我慢出来ない!】

うーん。いま観ると当時の赤軍の状況がどれだけ切迫してたか理解に苦しむが、前作『赤軍P.F.L.P/世界怗争宣言』で直接パレスチナに飛んだ若松&足立コンビの異常な程の熱量、と
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新宿泥棒日記(1969年製作の映画)

5.0

😭うおおおお〜っ…これは凄い!!!

当時の新宿の無秩序でカオスな様相をやりたい放題な映像感覚で綴った犯罪劇✖️青春群像劇の傑作。今観てもまったく色褪せない疾走感とスノビズム。

たしかにゴダールやジ
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絞死刑(1968年製作の映画)

4.6

この頃の大島渚の演出は、かなり理屈っぽく青臭い嫌いもあるのだが、その点に目を瞑れば超一級の不条理劇として強烈なインパクトを誇る。

如何にもATG映画らしい厭世観てんこ盛りの作品。日本の死刑制度や在日
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メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬(2005年製作の映画)

3.7

【この惑星の住人は?】

俳優のトミー・リー・ジョーンズの初監督作品。脚本は『アモーレス・ペロス』『21グラム』『バベル』などのイニャリトゥ作品を手掛けたギジェルモ・アリアガが担当している。☕️

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ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年製作の映画)

3.6

最近、やたらとテレンス・マリックに影響を受けたと公言する若手監督が増えたね。『ノマドランド』とか『ミナリ』とか。アメリカ映画の原点回帰運動なのか?

CGが氾濫するメジャー系ハリウッド映画への反動が強
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.3

その年のアカデミー賞を獲った誰もが知る名作。原作はケン・キージーによるヒッピー世代のバイブル的小説。

何が本作をそこまで際立たせているかと言えばずばり、ジャック・ニコルソンの「狂人を装った正常人」と
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

どんなにインディーズ、低予算でも発想が面白ければ確実にヒットする。そんな映画の「可能性」を感じさせてくれたドタバタ喜劇の良作。本作を観て、映画作りの面白さを改めて教えてもらう。

上田慎一郎監督はただ
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.7

本作を一言で言い表すと「空疎」。「クソ」ではなく「空疎」という所がミソである。

友達以上、恋人未満の関係でも「セックス」を通して繋がっていたい現代女性ならではの心理(若しくは奴隷根性)をユーモアを交
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白いリボン(2009年製作の映画)

4.3

これはモノクロ映像で撮ってドンピシャだった作品。こんな終末的な内容で画面がカラーだったらほぼ台無しに終わっていたことだろう。

全編、第一次大戦前に於けるドイツ国内の「不穏な空気」をミヒャエル・ハネケ
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ドリームガールズ(2006年製作の映画)

4.2

【恋のキラキラ星】

♫ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィー、ビヨンセ、ジェニファー・ハドソン等々がアメリカ各地を巡業しながら大熱唱を披露する豪華絢爛なミュージカル映画。

♫当時のモータウン・
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ウォーカー(1987年製作の映画)

4.1

若干、マイケル・ムーアの著書を彷彿とさせるブラック・ジョークの効いたパロディ風アドベンチャー映画の秀作。アレックス・コックスによる遠回し的なアメリカ批判が全編に渡り炸裂している。

モンテ・ヘルマンの
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レポマン(1984年製作の映画)

4.6

これぞアレックス・コックス、これぞ真性の映画オタクが作ったやんちゃムービーの傑作。若い頃にしか作れない瑞々しさに溢れた逸品。🛸

ロバート・アルドリッチの『キッスで殺せ!』をトレースした二転三転転げ回
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ファインディング・ニモ(2003年製作の映画)

3.6

タイトル、今まで『ファイティング・ニモ』だと思っていた。内容的に違和感ありまくり…。😓

映像の技術等は申し分ない出来だが、そのあまりにもストーリー優先主義的な作風が個人的に苦手である。ディズニー/ピ
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

3.7

昔から(『トイ・ストーリー』の頃から)どうもピクサー作品のベタベタな演出と優等生的な脚本が肌に合わず、たしかにCGを駆使した技術そのものは素晴らしいのだが、だいたい予想の範囲内のオチだった。ちょっとガ>>続きを読む

欲望という名の電車(1951年製作の映画)

4.4

エリア・カザン監督らしい人間の偽善にメスを入れた骨太な演出が秀逸。主演のヴィヴィアン・リーはそれほど酷い女に見えずラストの狂いっぷりを観る限りではむしろ可哀想な人に思えてくる。

彼女の偽善ぶりを暴く
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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

4.4

原作はセオドア・ドライザーの小説『アメリカの悲劇』。同時期の木下恵介の『日本の悲劇』と内容が若干、被るのは何故だろう?😔

野心家のモンゴメリー・クリフトが殺人を犯したり人を欺いたりして、セレブへの道
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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作の映画)

4.5

マイケル・ムーア監督って、今じゃ過去の人として認識されてる気がするがこの頃はとにかく熱かった!🤔
アメリカはやはり怖い国だなー、と痛感させられる。歪んだ大国。😓🇺🇸

アメリカ銃社会の矛盾に密着したア
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ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!/ハード・デイズ・ナイト(1963年製作の映画)

5.0

なんとも無邪気で可愛い映画である。🕺✨
其処彼処に即興演出を取り入れたリチャード・レスター監督ならではの喜劇精神が活きたアイドル映画の原点にして頂点。

粒子の荒い白黒映像ならではの味わい。ビートルズ
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抱きしめたい(1978年製作の映画)

5.0

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督、幻のデビュー作。制作はスピルバーグで脚本はボブ・ゲイル。これか後に『1941』へと結実する訳か…。😂

ビートルズ世代には堪らない、アイドル
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台風クラブ(1985年製作の映画)

4.0

敢えて言わせてもらうが…。🌪

個人的に相米慎二の十八番である「長回し演出」に物凄く苦手意識があり、彼のどの作品を観ても途中で寝てしまう。『翔んだカップル』然り『雪の断章/情熱』然り…。

たしかに演
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

自分にとって、ロベール・ブレッソンの映画は敷居が高い。観ていてひたすら堅苦しく、窮屈で仕方がなかった。

その手のインテリゲンチャの方だったらハマるのだろうが、極端に厳格過ぎる演出と何やら正義感が強く
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ドアをノックするのは誰?(1968年製作の映画)

4.5

【小沢健二の曲とは何の関係もない作品】

コッポラの貴族趣味と比べ、スコセッシの映画は如何にも低賃金、低所得といった貧乏臭いムードが堪らない。やはりニューヨークのリトル・イタリー地区出身という体質が起
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.6

【止められるか? 俺たちを】

💣スコセッシの代表作であり、ドス黒い笑いに溢れた実録調のマフィア映画である。本来主役の筈のレイ・リオッタとロバート・デ・ニーロが脇役ジョー・ペシに食われてしまっている。
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

4.7

この世界を牛耳るセレブや超富裕層(堀江貴文、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス等)には何か、心にやましいことがあっていつもビクビクしてる側面がある❗️

いわゆる大金持ちの「内面世界」を具体的に映
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

4.1

今をときめくタイの若手監督、アピチャッポン・ウィーラセタクンによる不条理ファンタジー。商業性を完全否定している為、好き嫌いの分かれそうな雰囲気だ。😥

タイの独裁政権時代の悪夢を現代に呼び起こす「装置
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砂漠のシモン(1965年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

【何とも忙しない神様なのだ!?】

凄く面白いのに未完で終わったのが悲しい。ルイス・ブニュエル監督による元祖『バック・トゥ・ザ・フューチャー』というべき小品佳作。

だだっ広い砂漠の中、柱の上でレタス
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皆殺しの天使(1962年製作の映画)

5.0

ブニュエル監督の十八番、辛辣なブルジョワ批判劇。不条理系、或いはシュルレアリスム映画の頂点とも言うべき傑作。

ブルジョワ達のいる屋敷内の時間が停滞して空間と場所だけが取り残されるという異様な設定と奇
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ビリディアナ(1960年製作の映画)

4.6

ルイス・ブニュエル監督による辛辣な堕落した金持ち批判劇。宗教的な背景をちゃんと理解しないと、ついていけない内容かも知れない。

初期メキシコ時代のブニュエルは娯楽と前衛の両方を往来する作風が個人的には
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オリエンタル・エレジー(1995年製作の映画)

4.1

🦢何故か中古DVDで売られてて思わず購入してしまった、アレクサンドル・ソクーロフ監督による映像詩。一応ドキュメンタリー映画という事にはなっているが…❓

彼なりの「日本への郷愁」がぼんやりした霧のかか
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地獄への道(1939年製作の映画)

4.0

古き良きウエスタン・ムービーの掘り出し物。主演のタイロン・パワーとヘンリー・フォンダ、ジョン・キャラダインの魅力が爆発。🌵🏜

西部の荒くれ者ジェシー・ジェームズ兄弟の波乱に満ちた半生をドラマティック
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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.2

いわゆる映画オタクが作った映画というのは、実に分かり易い。タランティーノやコーエン兄弟、ピーター・ジャクソン等々…。

本作も徹底して過去のホラー映画、スリラー映画へのオマージュと観客を小馬鹿にしたよ
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スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい(2007年製作の映画)

4.0

『NARC/ナーク』で注目された、ジョー・カーナハン監督の二作目。興行的にも批評的にも見事にズッコケた作品と記憶している。

如何にもその手のオタが作った雰囲気の擬似タランティーノみたいな作風だが、割
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コレクター(1965年製作の映画)

4.0

【ノーマルを装ったアブノーマル映画】

女性を誘拐→監禁→蒐集を繰り返すテレンス・スタンプのどこか悲哀に満ちた眼差しが印象的だった。スリラーの割にそこまで怖くないのが難点だが…。🤔❓

あくまで実録調
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

3.8

【仏作って魂入れずみたいな映画】

🎷こういった群像劇風の犯罪映画は『現金に体を張れ』や『パルプ・フィクション』の源流なので、脚本にそれなりの説得力が必要。その点に於いてこの監督はまだまだ未成熟な印象
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CURE キュア(1997年製作の映画)

3.9

🏫立教大学時代からゴダールやブレッソンなど、その如何にも蓮實の理論+シネフィル的意匠を凝らした自主映画を大量生産してきた黒沢清の、サイコホラーに方向転換した記念碑的作品。

🤔果たしてこの映画が純粋に
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