morinaliさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

「フレンチアルプスで起きたこと」の絶妙なシニカル加減(えっ、これ笑ってもいいの?とか、背筋が凍る一撃とか)を愛してやまない私としては、今作はルッキズムにがんじからめの階級社会の下品さを、あえて分かりや>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

パク・チャヌクの作家性のひとつとも言えるであろうショッキング、エロティック描写は封印した、一見シリアスなメロドラマ。しかしながら、至る所のショットがいちいち震えるほどにスマートに衝撃的(死体の眼を蟻が>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

世界を震撼させた「スリービルボード」のマーティン・マクドナー監督最新作。
ものすごい演劇っぽい、空間的には閉鎖的なのに、心理的奥行きのある物語だなと思ったら、劇作家でしたマーティン・マクドナー氏。納得
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

周知の事実である、醜悪なハラスメント(ってか犯罪)を再現することなく、事件を調査報道する女性ジャーナリストのリアルな姿(ワークキングマザーでもある)とサバイバーの声によりそう真摯なつくりに敬意と共感し>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

4.0

ソン・ガンホ×チョン・ドヨン!(「シークレット・サンシャイン」以来15年ぶり!)アンド、イ・ビョンホン!の超弩級キャスティングによる
フライトパニック(バイオテロ)もの。

2000年代初頭、第一次韓
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冬の旅(1985年製作の映画)

4.0

自由を求める放浪者というよりも、臭気と怒りを携えた浮浪者を、内面に迫るでもなくカタルシスも出会いにおけるエンパワメントもないままに道端で野垂れ死ぬまでを淡々と捉える。しかも主人公は18歳の女性。

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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.3

基本的に漫画(2D)のアニメーション化(3D)に懐疑的だったけれども、これは完膚なきまでに漫画が漫画のまま動きだしてた!
リアルとファンタジーの完全無欠のバランス感。
エポックきた!感激がすぎる。
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あしたの少女(2022年製作の映画)

3.6


コールセンターで実習生として働く女子高生が、過酷な労働状況や教育制度と企業に搾取され続け追い詰められ自死するという、2016年に実際に韓国で起きた事件がベース。
前作のデビュー作に続き、今回もハード
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.7

第35回東京国際映画祭(TIFF) で鑑賞

ノア・バームバック監督・脚本で、興行映画では到底企画が通らなさそうな壮大なディザスターもの(ノア・バームバックにとってはヒューマンドラマ)
を彼のファミリ
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あのこと(2021年製作の映画)

4.0

"2022年のノーベル文学賞を受賞した"不平等と闘い続ける女流作家”アニー・エルノーの小説「事件」を映画化し、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した話題作。"
ずっと観たかった。やっと観れた。

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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

イラン政府に創作活動が反体制活動とみなされ、映画製作と脚本執筆、メディア対応と海外渡航を不当に禁止された中で秘密裏に映画を撮り続けているイランの名匠ジャファール・パナヒ監督。

自宅軟禁中に自宅で密か
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.9

初めてタイトルコピーを観た時の衝撃たるや、、、「最愛の人を失った8歳のネリーは森の中で少女と出会う。それば“8歳のママ”だった-」まさかのSF設定⁉︎
しかしながら、73minというコンパクトな作りで
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.8

人種差別、格差社会などの社会問題を黒人監督がホラー・スリラーというジャンル映画で描くという、あの”GET OUT”と”US”の監督ジョーダン・ピール最新作。あえて前情報ゼロで挑む。

エンタメ業界(ハ
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

ヒーローもヒロインも、アンチヒーローもいない。
カタルシスもなく、エンパワメントされることもない。
抑圧されてきた女性、人間をあけすけに淡々と描くという身も蓋も無い内容で、カメラワークやフレーミング、
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.8

女性30歳、痛烈で破壊的な日常とつかみ切れない不確定な未来への渇望。

「ジェンダー・ギャップ指数」が常にトップ3圏内に位置するノルウェーの女性という状況は抜きに語れないとは思うけれども、新しい!!
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.8

特報でこのキャスティングを知った時、本気で唸った。
ソン・ガンホ!ペ・ドゥナ!カン・ドンウォン!IU!韓国版アベンジャーズ的ミラクルキャスティング!
韓国映画でもこのキャスティングは実現できないはず。
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.1

ネガティブなイメージのものには目を背けたくなるし、良く知らないものは怖かったり、対峙するにはパワーが必要だったりする。
でも、知ること、想像すること、思いやることなしには分かりあうことはないと思うわけ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.0

「20th Century Women」が結構好きだったので、A24製作だし期待していたのですが、正直なところ拍子抜け。

妊娠〜出産、そして育児を5年継続中の人間としては、(私の心の余裕のなさ故とは
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.3

預言者(2009)あたりからハズレなく大好きな監督ジャック・オーディアール。3年スパンくらいで全く異なるジャンルの作品を撮り続け、常にフレッシュ且つ濃厚!そして気づけば70歳!で、新作はセリーヌ・シア>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

4.3

まさかの盗作疑惑で暗雲立ち込めたのも束の間、誤報とのことで晴々しく意気揚々と。
イランのもはや巨匠アスガー・ファルハディ監督の最新作!

「賞賛」と「疑惑」が交錯するソーシャルメディアの光と闇。
って
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

5.0

演技経験のない市民参加の即興演技ワークショップから派生して生まれた映画作品。

映画なのか、演劇なのか、はたまたドキュメンタリーなのか、いやいや全くの新感覚。
体験したことのない、怖いくらいの臨場感に
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

-

なんの参考にもなりませんが、記録まで。

ウェス・アンダーソン作品は毎度劇場に駆けつけるものの、100%うとうとと寝たり起きたり。毎度のことなので、驚きも悔しさもなく。
劇場で寝て、ソフトで観直して、
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声もなく(2020年製作の映画)

3.5


「貧しさゆえ、犯罪組織の下請け仕事で生計を立てる口のきけない青年と、息子ではなく娘だったことで身代金の支払いを渋られる少女の誘拐劇。」
だいぶヘビーなイントロダクション&トレイラーに覚悟して挑んだも
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ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

3.0

なんか惜しいというか、話が微妙すぎて。雑すぎて。「チェイサー」「哀しき獣」の脚本家の監督作ということですが。
(やっぱナ・ホンジンが超人的なんやろうなと再認識)
ファン・ジョンミンの演技がうますぎてリ
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0


エドガー・ライト「ベイビー・ドライバー」(大好き)から4年ぶりの新作は、青春、タイムリープ、ミュージカルからの急転直下で血みどろサスペンス・ホラー。

60年代の煌びやかな”スウィンギング・ロンドン
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ダニエル・クレイグ・ボンド15年間お疲れ様!祭り。
本来であれば前作「SPECTRE」でひと段落ついていたにも関わらず、今作(5作目)で改めて締めの祭りを繰り広げた感。2012年ロンドンオリンピック開
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.1


先日の「ドライブ・マイ・カー」では、言葉がドライブしてゆく様の映像表現に激しく心を揺さぶられた私ですが、セリーヌ・シアマ監督の長編二作目「Tomboy」は対照的に、言葉はむしろ必要とされず、登場人物
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

大傑作(頭から言ってやった。)

「原作 村上春樹」はあくまで"精神”の一部であって、完膚なきまでに「濱口竜介」という作家性が支配した作品で、濱口監督の「言葉」の捉え方や「演技」に対する向き合い方など
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映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)

4.0

10年近く前に大好きなミュージシャンの全く相容れないドキュメンタリー作品を観て以来のトラウマがあり、観に行くつもりはなかったのですが、衝動的に。

音がとにかく良い劇映画。劇場に轟く低音がとてつもなく
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.4

Marvel作品はサム・ライミのスパイダーマンとアイアンマンくらいしか観たことないし、アベンジャーズのメンバーなんてもちろん全部言えないようなMarvelやアメコミとは縁遠い映画道を歩んできた私ですが>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.2



「父と娘」にも「感動大作」にも全く食指が動くことなく、監督も知らないしな。でも評判良いしな。
いっちょ観とくか、くらいの感じで観に行ったのですが、驚嘆でした。

認知症の父親の視点で、認知症追体験
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街の上で(2019年製作の映画)

3.0

明らかにオチのない駄話部分が映画としては長すぎなんだけど、それこそリアル。リアル日常。日常は無駄話の積み重なり。
魅力的な俳優陣による、生々しい会話劇。口語が素晴らしい。130分は光陰矢の如し。
ただ
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

3.9


鑑賞後、これはどういう気持ちになればいいんやろうか?と頭を抱え込んでしまう作品(怪作)ばかりをオリジナル脚本で作り続けている信頼の吉田恵輔監督最新作。(たまに原作モノもあるけど脚本は吉田監督が手掛け
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.0


「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督による前作。
映像から演出まで、まんま「ノマドランド」で衝撃。これぞ作家性。

アメリカという国の文化や社会の象徴でありながらも、現代社会ではマイノリティとも言え
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