mat9215さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

mat9215

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ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)

2.5

ジェイク・ギレンホールの取り憑かれたような眼差しと、二階建て列車内の空間配置が印象に残る。ただ、マジに考えると、過去の可能世界を構築するには列車内で事故に遭遇した男の8分間の記憶だけでなく、世界の事象>>続きを読む

自由を我等に(1931年製作の映画)

4.0

サイレントから映画を作り始めた人は、トーキーでも台詞に頼らず絵で語ることが上手い。本作で台詞よりも雄弁な音声は”A nous la liberte”の歌声だ。自動生産によって労働から解放された人々に交>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

5.0

『汚名』の後に観ると、酩酊したドライバーによる暴走とか、潜入した女エージェントとの恋とか、プロットが似ていることに気づく。

汚名(1946年製作の映画)

4.5

父親が売国奴として有罪判決を受けた後、自宅のパーティで荒れるイングリッド・バーグマン。ソファに座った後ろ姿のシルエットだけでそれと分かるケーリー・グラント。そして、嫉妬を紳士的に見せるクロード・レイン>>続きを読む

春画先生(2023年製作の映画)

2.5

塩田明彦の『映画術: その演出はなぜ心をつかむのか』という著作は面白かった。その面白さに及ばない。ちなみに『さよならくちびる』は、ちょっとあざとい設定だと分かってはいても泣けました。本作は、全体に適当>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

2.0

キャラクターや背景などビジュアルの一切合切が印象的。それだけを1時間以上見るのはきつい。

影なき声(1958年製作の映画)

2.5

時折展開がシャープだったり変な演出があったりするサスペンス。というか、鈴木清順が松本清張原作ものを手がけていることに驚く。製作された1958年(昭和33年)は、日本の映画人口が最大だった年だ。以下、気>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

3.5

俳優4人による会話劇で、各人に一回ずつ大芝居の見せ場がある。大芝居でなくても、終始目を釘付けにするのがアン・ダウドであることは間違いない。展開自体は予定調和とも言えるものの、この4人が対峙する前後だけ>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

4.5

一見温厚そうに見えるジェームズ・スチュワートは、執着する眼差しに狂気を見せることがある。フランク・キャプラ『我が家の楽園』とか、アンソニ・マン『ウィンチェスター銃'73』とか。ヒッチコック作品には精神>>続きを読む

薔薇のスタビスキー(1973年製作の映画)

2.0

アラン・レネはどうにも相性が悪くて、かの『去年マリエンバードで』も二回見て二回とも眠ってしまった。

鉄道員(1956年製作の映画)

3.5

小学校と中学校のときに二度見ている。A面が『鉄道員』、B面が『刑事』のサントラEP盤もまだ手元にある。もちろん例によってほとんど忘れていたのだけど、覚えていたショットがいくつかある。まず、走行する機関>>続きを読む

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)

2.5

階下のスタジオにマイクを付け、そこで繰り広げられたセッションを録音するだけでなく、廊下や階段にマイクを付け、さらには電話やラジオまで録音していたというユージン・スミス。写真家というより録音家だ。怪しい>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

2.5

一作目から回を追うごとに壮大になり、上映時間も長くなってきたこのシリーズは、ついに3時間に近づいてしまった。それでも、閉鎖集団内のルールに縛られていたり、街中から刺客が湧き出てくるなんていう厨二病っぽ>>続きを読む

真人間(1938年製作の映画)

4.0

フリッツ・ラング版の『ラルジャン(カネ)』は教育的な一篇。オープニングは、ミュージカル仕立てで「何でもできる、カネさえあれば」という歌が流れる。そして、犯罪者たちに、犯罪では儲からないことを黒板を使っ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

-

『ヘンリ・シュガーのワンダフルな物語』に感想を記載。
https://filmarks.com/movies/109193/reviews/162025568

白鳥(2023年製作の映画)

-

『ヘンリ・シュガーのワンダフルな物語』に感想を記載。
https://filmarks.com/movies/109193/reviews/162025568

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.0

ロアルド・ダール原作の4連作は、近作『アステロイド・シティ』より好み。同作で顕著だった舞台劇の手法が極まっている。背景の書き割りが横移動し、あるいは、カメラがセットの中を横移動して場面転換する。また、>>続きを読む

潮騒(1972年製作の映画)

2.0

フランスの大スター・イヴ・モンタンと、米国のちょっとスター・キャサリン・ロスが出演しているのが信じられないほどの怪作。カルト映画扱いされるかも知れない。偶然と暴力(原題)に関わる寓意を込めたようだ。モ>>続きを読む

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

2.5

映画を観ては映写機に目を向け、着色ガラスを通して風景を見る。この少年の関心は光学から、1秒間に24コマの静止画を見せる映画の原理に移行し、仲間とともに映写装置を自作する。実際のところ、フィルムの1コマ>>続きを読む

スパイキッズ:アルマゲドン(2023年製作の映画)

2.0

どんなにテンポ良く作っていても、小児向けロバロド作にはあまり心が動かされない。配役やVFXがいい感じに雑なところは好感が持てるけど。一作目と同じ構成において、一作目のダニー・トレホみたいなおっさんが出>>続きを読む

ヘカテ(1982年製作の映画)

3.5

モロッコでロケーション撮影し、アメリカの(準)スターを招き、撮影時より数十年前の衣装を用意し、クラシックカーを集める。そんな大規模なプロダクションでも、ダニエル・シュミットが作り上げる世界にブレはない>>続きを読む

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.5

山間僻地の学校に教師が赴任するというジャンルの中では好感が持てる一作。風景もさることながら、人々の顔が素晴らしい。台詞が多い俳優以外は、級長の少女を含めて現地の人たちのようだ。映画って現実の人やモノを>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

3.5

30数年ぶりの再見。すべての場面のすべてのショットに作家の意志が貫徹されていて、素晴らしいけれど食傷する。幼児期のトラウマからファシズムへの傾倒っていう図式を、ヒネりなく扱っているのも鼻につく。前作『>>続きを読む

恐るべき親達(1948年製作の映画)

4.0

多芸多才のコクトーはオリジナル映画を作っても上手いし、舞台劇を映画にしても上手い。舞台劇を映画にするにあたって、サッシャ・ギトリが演劇的なアプローチの中で奇抜な映画表現を繰り出すのに対し、コクトーの映>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.5

アキ・カウリスマキ作品ではこれが一番好き。物語を手際よく進める一方で、剣呑な眼差しの主人公ジャン=ピエール・レオやシワい表情の殺し屋ケネス・コリーのエピソードはじっくりと描く。フランスつながり(フレン>>続きを読む

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

3.5

ストリートに住まう連中がゆるい笑いを誘う。なかなかよき。誰もがよく喋り、相手に頓着せず自己主張を貫く。よく言えば、ギリシャ悲劇っぽい。たとえば、クルマに轢かれそうになった子どもを助けた〈市長〉に対し、>>続きを読む

ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

2.5

レオーネやタランティーノやジョン・ウィックからの引用には思わずニヤリとするけれど、キレのない演出が残念。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

劇中劇を作る人々—劇作家、演出家、俳優たち—がモノクロの世界で沈潜する一方で、ポップなウェス・アンダーソン・カラーの人造的な劇中劇で俳優たちがドラマを生きる。唐突に立ち上がるキノコ雲や逃走車とパトカー>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

1.5

バンリューを舞台にしたファンタジー。苦手。バンリューに住まう貧しい有色人種たちが、ちょっと騒いだだけで粛々と立ち退いていくという世界観は『レ・ミゼラブル』とは正反対。廃物商のドニ・ラヴァンが、本物にし>>続きを読む

スパイキッズ(2001年製作の映画)

2.5

ロバロドって、ちょっと下品で切れ味のよい作品よりも、キッズ向けの方が好きなんじゃないかと疑っている。

リリオム(1934年製作の映画)

3.5

神話劇、SF、サスペンスといったジャンルの立派な作品で名声を得たラングが、異国で初めて手がけた通俗劇。といっても、オーストリア=ハンガリー帝国出身の作家による原作は、ラングにとって馴染みのあるものだっ>>続きを読む

アイデンティティー(2003年製作の映画)

4.0

切れ味のよい密室サスペンスを短い尺でまとめているのは美徳。解離性同一性障害(多重人格)でモーテルといえば、アレを思い出さずにはいられないところ、ビニールのシャワーカーテンで控えめにアレに言及している。>>続きを読む

蜂の巣の子供たち(1948年製作の映画)

4.5

ときどきトラックや船に乗る以外はひたすら徒歩で移動するロードムービー。徒歩旅なら雨が降る辛い日もあるだろうけど、本作では気持ちの良いピーカンが続く。行く先々で別れた人物と再会するのを含めてファンタジー>>続きを読む

高原の情熱(1944年製作の映画)

4.5

豪勢な映画だった。
オープニング、豪快な発破と斜面を転がり落ちる無数の小石。一転して、眺望のよい坂道を登るバスから降り立つマドレーヌ・ロバンソン。ここは清水宏の『明日は日本晴れ』みたい。コイバナの舞台
>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

2.5

作り込みはすごい。三次元の物体と背景の壁にある二次元の絵が渾然一体となった悪夢を見せる。壁の絵はセルではなく、壁に描いた絵を次々と上塗りしていくという途方もない手間ひま。ある場面では、蝋燭が見る見る短>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

3.5

チョン・ドヨンは事件が起きる前から何かしでかしそうな不穏な表情を浮かべている。子どもが家の中に隠れて見つからず泣き声を上げるところから始まって、ソ・ガンホが勝手に壁に下げた偽のピアノ経歴書をそのままに>>続きを読む