majiziさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.0

一度国家が侵略されてしまうと、取り戻すための代償がいかに大きいか。

アルジェリア独立運動の活動家たちの行動を追いながら、一方でそれを取り締まるフランス軍の動きも見せていく。

人物描写に重きを置いて
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悪魔のような女(1955年製作の映画)

3.5

最後まで引っ張るのが上手いサスペンスでした。

なんとなく展開はこうかな?とわかるんだけどラストの少年の台詞であっという間にホラーへ。

オープニングから意味ありげに水面を映し、劇中ずっとジメジメ湿度
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紳士協定(1947年製作の映画)

3.5

昔の映画はド直球。

奇をてらわずに男前なグレゴリー・ペックの正義のヒーローっぷりはいかんせんちょっと臭いのですが。

反ユダヤ主義の記事を書くために、自分がユダヤ人のふりをして過ごすという物語。
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サラの鍵(2010年製作の映画)

4.0

フランスがナチ占領下時代にユダヤ人を大量検挙し、その後収容所送りにしていた事実が背景。

ジャーナリストの主人公ジュリアが仕事のためにこの事件を調べながら、自らが引っ越すことになるアパートの過去に疑問
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.0

『少年の君』のデレク・ツァン監督の長編デビュー作。

台詞に頼らず、画でみせることのお手本のような作品でした。

女の友情は男が介入することでいともカンタンにもつれてしまう。

「私たちはお芝居ばかり
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インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実(2010年製作の映画)

4.0

リーマンショックにはじまった2008年の大不況にまつわるドキュメンタリー。

わたしは極東のかたすみでひっそりと会社員をしていたけど、その嵐はしっかりとやってきたのでよく覚えている。

まずオフィスの
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.0

ラジオや手紙は『熱帯魚』『ラブゴーゴー』と同じく、幼い頃の心の支えでその後の人生を左右するものとして象徴的。

大人になっても主人公の二人にはそれは進行形で存在し、瞬間を切り取った写真は時間を超えてい
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ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

3.5

胸焼けしそうなルートヴィヒ2世の生涯。

ヴィスコンティが描くので、画面の端々まで油断なく全てが優雅で格調高い雰囲気。

ルートヴィヒのヘアスタイルどしたんって爆笑してたら肖像画そっくりで真顔になりま
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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(2016年製作の映画)

4.0

ナチス占領下のチェコスロバキア。
レジスタンスによるハイドリヒ暗殺計画。

最初から緊迫感があって中盤の実行から終盤の展開が凄まじい。

そこには映画的な終わりは一切無い。
現実がいかに虚無的であるか
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

ジーナ・ローランズの80年代ファッションが最高なんですけど!!(作品は91年だけど)あのオーラだけで満足。
ギラギラしたアクセサリーもカクカクのバゲージも赤いネイルも細長いタバコもめちゃくちゃ惚れる。
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少年の君(2019年製作の映画)

4.0

中国における過酷な受験戦争の渦中にいる高校生のいじめ、社会的経済格差、貧困によるストリートチルドレンなどうまく絡めた作品でした。

日本公開前は中国でのパクリ疑惑であまり宣伝されなかったようです。
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心中天網島(1969年製作の映画)

4.0

近松門左衛門の心中ものです。

映画を人形浄瑠璃からどうやって昇華させるか、実験的かつ挑戦的な作品だと感じました。

文楽の要素をふんだんに取り入れ、物語はほぼ同じ内容で進みます。

音楽も美術も演出
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(1960年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

脱獄映画の名作。

床や壁を打ち付けて穴を掘る作業をずっと見せられているため、なんかこの時間いる?みたいな場面ばかりだけど絶対必要だね!

ちょっと穴掘り作業の音立て過ぎでしょ〜とか、本当に刑務所なの
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緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

3.5

真面目な中年男クリスが偶然夜道で助けた女優の卵キティに騙されてしまう物語。

今で言うとホストに入れ込んでるキャバ嬢だか風俗嬢に本気で恋してしまうおじさま(事件が起こるかのように仕事は出納係)みたいな
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肉弾(1968年製作の映画)

4.0

ここまで滑稽で皮肉に満ちた内容は、戦争体験者でなければ描けない作品かと思います。

一兵卒、ごくごく普通の若者の命が使い捨てにされるという恐ろしく残酷な現実と、
その時代を生きるしかない庶民たち。
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セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター(2014年製作の映画)

4.5

写真家のドキュメンタリーなのに、ラストは思いもかけない着地に静かな感動がありました。

彼の写真家としての軌跡が全てそこに繋がっていて、このぬるい邦題をつけたくなった気持ちもわかります。
厳かな雰囲気
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自由を我等に(1931年製作の映画)

3.5

刑務所から脱獄しようとした二人。
一人は成功、一人は失敗。
その後の人生を友情と共に描いたコメディ作品。

刑務所内での作業も、工場での流れ作業もまるで同じ。
人間は組み立てラインのひとつの歯車に過ぎ
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.5

なんてオシャレで楽しい作品。
昭和10年って何のことですかというくらい今でも面白い。

特に女性たちが元気で明るく男性たちに好き放題言ってるところが最高だし、それでいて言葉使いは美しく所作はたおやか。
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生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

4.0

コメディなプロパガンダ作品。

監督のルビッチがユダヤ人なのでこうなるのは仕方ないのかもしれない。

ドタバタ具合と現実離れしたストーリー展開が楽しい。

ナチスを描くには実際的な陰湿で露悪的な表現そ
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私の20世紀(1989年製作の映画)

3.5

お伽話の中に入り込んだようなモノクロの世界。お星さま同士が発明された電気と同じく煌めいて会話をする。

20世紀の始まりは科学がいよいよ全てを凌駕する時代。

マッチ売りの少女だった双子はそれぞれ生き
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リリス(1964年製作の映画)

3.5

リリスとはユダヤの伝説やカバラの伝承ではアダムの最初の妻で、鬼母神、魔女の母とされている。

神話では子供を殺したり男性を誘惑したりするいわゆる悪の存在。

そんな名前を持つ統合失調症のリリスに惹かれ
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シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)

3.0

極限の状態での会話は全てが本音ではないだろうし、心の声がずっと聞こえてくるモノローグ多用は戦争映画に合っている気がします。

ただ、登場人物が次から次へと出てきて散漫なので感情移入が難しい。

こんな
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リラの門 4K デジタル・リマスター版(1957年製作の映画)

3.5

そんな終わり方なの?
という予想外なビターな味付けでした。

ダメ人間なジュジュ。
逃亡中の殺人犯を友人と匿うことに。自分の世話も出来ないくせに甲斐甲斐しく犯人のことをお世話する。

ジュジュはダメ人
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巴里祭 4K デジタル・リマスター版(1933年製作の映画)

3.5

1組の男女の恋の行く末。
巴里の街に流れる歌と共に進みます。

ふたり以外の登場人物がけっこう前に出てきてコメディ要素がありながら、それらが最後にはきっちり繋がっていく展開。

90分でしっかりまとめ
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.5

ジム・ジャームッシュは本当に人生楽しそうだな〜と思います。

映画作りに対しても大作や配給会社の思惑とは無関係なところにいて、本当に自分のやりたいことをそのときそのときで取り組んでいるのかなあと勝手に
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.5

女性目線の西部劇。

開拓団から外れて道案内人を雇い進む3組の家族。

なかなかたどり着かない目的地。尽きてくる水。だんだん道案内人のことを訝しんでいると一人のインディアンに遭遇。

当時の開拓がどれ
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.5

珈琲と煙草で繋がるオムニバス11編。

ジム・ジャームッシュ監督作品でおなじみのミュージシャンや俳優がそのまま本人役で出演したり、観ているだけで楽しい作品。

会話はどの話でも大体が通じ合っていなくて
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名もなき生涯(2019年製作の映画)

3.5

ヒトラーに忠誠を誓うことを拒否した1人の農夫の物語。

監督独特の世界観、登場人物たちの会話ではなく心の声のモノローグの多用、美しく緻密に計算された光が射す映像、そして揺れるように人物や対象物を追う動
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

4.0

一生懸命で真面目に生きているだけなのに、その純粋さゆえに村人たちから疎まれ嫌われてしまう司祭。

村人たちの中でも領主の一家との関わりでさらに複雑化していく立場。

若さと信仰への道に苦悩を抱えるのは
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.0

上原謙が演じる乗り合いバスの運転手。
台詞の9割が「ありがとう」
そんなこんなでみんなからは「有りがたうさん」と呼ばれて慕われている。

この時代の暗い世相とは反対に、軽快な音楽と明るい雰囲気のロード
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キャッシュトラック(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

私の理解力が足りないのか途中から迷子に。

このハゲの正体はマフィアだかなんかの悪い軍団のボスで、自分の手下たちがやっていた仕事がきっかけで?
あることが起こり、その復讐のために警備員になったんですよ
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レインボー(2015年製作の映画)

3.5

姉と盲目の弟が映画スターに会いに行くというロードムービー。

インドで子供だけで旅をするなんてどうしても治安レベルを気にしてしまうけど、どこまでも出会うみんなは優しい。

最初から明るい雰囲気がたっぷ
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血と砂(1965年製作の映画)

4.0

悲惨でひたすら悲劇一辺倒な戦争映画は苦手なので、この作品のどこかコミカルな雰囲気もある内容が好きです。

不条理なことばかり、いつ死にゆくかわからない戦場の日々でも娯楽とユーモアがあるのは当然だったか
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銀座化粧(1951年製作の映画)

3.5

銀座で働くシングルマザーの物語。

この頃の銀座の風景が新鮮です。

バーには子供が花売りに来たりどこかゆるい戦後の日本の姿がありました。
今の銀座のクラブとは全然違う雰囲気です。

いつの時代もある
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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.0

『アリス』のヤン・シュヴァンクマイエル監督。

チェコの民話が元になったダーク・ファンタジー。

気持ち悪さと狂気の詰め合わせです。
でもそれだけかと言われるとそうでもない気もします。

不妊に悩む夫
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ANNA/アナ(2019年製作の映画)

2.0

美しく華奢な女スパイは頭も良く凄腕。
派手なアクションを楽しむ作品です。

脚本というか構成が安直で、時系列を遡って実はこうでしたというパターンを何回もやるのはさすがに下手だと思いました。

少し前に
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