金宮さんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

正しいバスの見分けかた(2015年製作の映画)

4.0

日常系?いやいや割と事件起きてますやん!
と他作品に言わんばかりに、本当にまったくなにも起きないがなぜか概ね見てられる会話が続く。

競馬四季報持ってる中条あやみさんとソニックユース聴いている萩原みの
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.0

言葉を失った女性と半魚人のような生物の交流を描くことによる、多様な愛への賛歌。

その対比として、ごりごりの人種差別とちょこっとだけのセクシャルマイノリティ偏見が描写されるが、割と明確に嫌な感じ。
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マスマティックな夕暮れ(2017年製作の映画)

4.0

「劇団の笑い」は自分的に悪口だったのですが、ヨーロッパ企画様が払拭してくれています。

とにかくつっこみレスでボケまくる。ハイテンションなのもヤンキー設定なので無理なく不快がない。お気に入りは勉強でき
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.0

やはりウェスアンダーソンのつくる世界はとっても好み。なんというか質感がウェットにならないのがよいです。感動シーンであっても少し照れ隠しが入るというか、今作だとチーフにビスケットをあげるシーンとかね。>>続きを読む

中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

田舎に残り稼業の酒屋を継いだ兄と東京から急に戻ってきた弟。兄は、認知症で息子のことすら忘れた母の面倒も1人でみているという苦境。弟はどうやら東京で充実した生活をしていたようである。

どうしても西川美
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ある男(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人間関係で先入観から逃れることは不可能。だいたいの人が「いやいや自分はそんなことない」と言いたくなるが、今作では苗字・生まれ・稼業・血縁などなど様々なアプローチで実例を示す。やってないとは言わせない。>>続きを読む

疑惑とダンス(2018年製作の映画)

3.0

出演陣には設定だけ伝達し、密室ワンシチュエーションを脚本すらなしのアドリブで撮りきったという実験異色作。

流れ自体が出演陣のアドリブ任せ展開大喜利になる。おそらく「コメディ方向にしてくれ」とだけは指
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リトル・フォレスト 冬・春(2015年製作の映画)

4.5

丁寧な暮らしの飯テロ映画にとどまらず、名台詞のオンパレードで人生観について考える

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前作の夏/秋に引き続きの飯テロっぷりなんですが、比較的一般家庭でも再現できそうなものが増えてい
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still dark(2019年製作の映画)

3.5

盲目の青年が料理人を目指す青春を淡々と描く、素晴らしい作品でした。

料理長とケンタのすごさが、ノータイムでユウキがいちばん望んでいる言葉を選択できる会話で端的に表現されています。一方で過剰な気遣いを
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老後の資金がありません!(2020年製作の映画)

3.5

ドタバタコメディの様相を呈し、さらには随所によしもと芸人やバラエティでの人気者を配置することで軽薄な印象があるが、実は相当なお金持ち以外にとっては身に迫る内容。

姑はかなりの毒親だし、打ち解けるきっ
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リトル・フォレスト 夏・秋(2014年製作の映画)

3.5

どれもこれもとっても美味しそうだけど、その丁寧な手順にびっくり。(特に栗の渋皮煮!)食べることって単なる生命維持ではなく娯楽なんだなとあらためて。もちろん、いのちをいただいているということを再認識する>>続きを読む

はりぼて(2020年製作の映画)

4.5

血税の不正利用なのでタイムリーな話題。

コント調に演出することに一貫してますね。そしてそのセンスが抜群に良い。途中まではサービス精神なのかな?と思ってましたが、違いました。闇雲に怒らず茶化せているの
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.0

音楽とカーチェイスのコラボをとにかくクールにかっちょよく、のアイデアでひたすら一点突破。

エドガーライト監督、ショーンオブザデッド(ゾンビ&コメディ)でも感じたんですが、割と誰でも思いつきそう感すら
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.5

白石監督にしては希望の残る終わり方。
完全にクズな郁男になぜか周囲の人間は懐くし、手を差し伸べる。そのなぜか?の説得力として香取慎吾さんの溢れ出る人間的魅力を活用する。その手があったかという感じ。
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

アメリカ映画で育児ノイローゼ的な描写をするのも珍しいな、という印象から入りました。でも主人公姉の子どもへの姿勢は割とドライ。「子育てめっちゃ大変でクソガキすぎて意味わからん時もあるけど、まあ可愛いから>>続きを読む

最初の晩餐(2019年製作の映画)

3.5

父親の死をきっかけに家族が再集結し、思い出の料理とともにあった出来事を回想する。

まず何よりもとんでもなく華がある家族ですね。

終盤、母親から打ち明けられるある秘密に関しては、言わなくてよかったん
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とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)

3.5

あれこれ考えずぼーっと楽しみました。

終盤、屋敷くんとマッシュアップするところはおぉ!となったし、ハイライトのHeaven Is A Place On Earthも納得。やっぱりみんな知ってる曲が1
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.5

曲解かもしれないんですが、目指すものすら何もないモラトリアム時期をとてつもなくダサく描くことによる「そんないいもんでもないぞ」の注意喚起に感じました。

「コンビニのレジ前で仲間と大はしゃぎ」「真昼間
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響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)

3.5

響のぶっとんだキャラ設定に霞んでしまいそうですが、実は各登場人物をとっても丁寧に描写しており、一瞬でそれぞれの性格を理解させる凄腕の演出と脚本だと思います。

観る側の読書遍歴に寄るでしょうが、それぞ
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

2.0

冒頭のライフ誌に突撃するところから台詞が全部説明的で、ん?という第一印象。集会所で市民が議論する場面「感情的になるな!」って感情的に叫びながら別の市民が入室する様なんてコントのよう。ダメだ、実にあやし>>続きを読む

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.5

ゲイの安藤くん(神尾さん)に恋する、BL好き三浦さん(山田さん)がとにかく可愛らしくて真っ直ぐです。

でも真っ直ぐすぎて観覧車での告白は、けっこう好きの暴力性が高いなと思いました。断りづらいですよね
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ナイルの娘(1987年製作の映画)

3.5

芸術性を求める運動としての台湾ニューシネマのさなか、レコード会社の出資によるアイドル主演映画という異色感のある作品。

商業映画にあってもホウシャオシェン監督の自己主張はふんだんに盛り込まれ、象徴的な
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来る(2018年製作の映画)

3.0

もうちょっと破天荒寄りな霊媒師アクションかと思ってたので消化不良。期待しすぎたのかも。この豪華キャストをもうちょっと暴れさせて欲しかったなあ。

みんなで飲みながら見るのがいいかもしれない。

どうし
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

4.0

親子関係を呪縛にしちゃうと、とにかく大変なことになっちゃうぞ!

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我が子の狂信者たる父と継母の崩壊を描く、とにかく底意地が悪い作品。

田中圭さんサイドはわかりやすく血縁にとらわ
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.5

100分で誰もがグスタヴと彼の世界の虜。

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全ての人に大手をふっておすすめできる映画って体感100本に1本くらいなんですが、今作はまさにそれ。

おしゃれな彼女とのデートにもぴっ
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前科者(2022年製作の映画)

3.0

保護司という馴染みのない役割を啓蒙しながら「加害者が過去に悲劇的境遇にあった場合、罪に正当性はあるのか?」という意欲的なテーマにまで踏み込み、観る側を悩ませる骨太な作品。

しかし、今作の勘所であろう
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さがす(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

自殺幇助を通して、生きる活力・自分にできることを考える。

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序盤の捜索サスペンスから一変し、テーマは安楽死や自殺幇助となる。今作は幇助する山内を薄っぺらく描いているように思う。そ
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.5

マブリー沼につかっている私としてはあと3倍くらいアクションがあってもよいくらいですが、いったん満足しといてあげます。あと、マブリーにはやはり白兵戦なんだなということも学べました。

・世紀末描写ではマ
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

登場人物の行動が生む、偶然ではない繋がりがハッピーを連鎖させる幸せ群像劇。

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ごく自然に連想ゲーム的に場面が接続する感じがとても心地よいというか、委ねて観られる安心感があります。
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青春神話(1992年製作の映画)

3.5

戒厳令解除まもない台湾。行き場のない若者たちの衝動を立体的に写実する。

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片方の主人公はアザー。行き場のない情熱を夜遊びにぶつけ、男2女1黄金比率のトリオで行動してる。彼らを待つ
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スパイダーマン:ホームカミング(2017年製作の映画)

3.5

アメコミ映画に求めるのはこういうことなんです。メッセージや陰鬱さは他で接種するので最小限で結構です、というわけで今作は最高です!!

ピーターパーカーは基本的に明るくていい奴。

ザ嫌な奴フラッシュも
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.5

現実的におこりうる、なかなか複雑な親子関係を追体験し、大人の未熟さを反面教師とする。

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子持ちどうしで再婚した浅野忠信さん(家庭優先めっちゃいいパパ)田中麗奈さん(天真爛漫ママ)
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.5

凄まじくハイクオリティに韓国民主化の史実を多角的に描く。この濃密さは2時間とは思えない大傑作。

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史実だとわかっているので不謹慎とは思いながら、映画がすすむにつれて高揚していく気
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