ねこさんの映画レビュー・感想・評価

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ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.0

安易な同情や憐れみなど、跳ね返されて粉々になりそうだ
本物の瓦礫や廃墟の無言の主張と、どこまでも身勝手な大人たち
戦争に大人に人間に、ロッセリーニは腹を立てていたのではないだろうか

法も倫理も関係な
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僕と一緒に幾日か(1988年製作の映画)

3.7

つまらないわけではないのだが、何を考えているのかよくわからない主人公にモヤモヤさせられることの多い展開でちょっとばかり戸惑った
それなのに最後のシーンを観る頃には、これが彼の愛し方なのだと胸の奥を少し
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テイキング・サイド/テイキング・サイド ヒトラーに翻弄された指揮者(2001年製作の映画)

3.7

なんと難しい問題か
誰の立場になるかで大きく考えが変わるのだから
それぞれの発言はどれも正しく思える
「仕方がなかった」「知らなかった」「芸術には価値がある」そんな言葉で済ませることができそうでもある
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

マッコールさんにもこんな日が来るとは
悪の中で正義の人殺しを重ねるより善き人々との平穏な時を欲するその気持ちを実に人間らしいとは思うのだが、やはり淋しさも付きまとう
これまで以上に私的な感情が爆発した
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雪山の絆(2023年製作の映画)

3.8

“絆”よりもっとしっくりくる言葉がありそうだが思いつかない
もっと神々しいような、あるいはもっと重く沈むような
何にせよ、あの場にいなかった者には一切共有できないものだろう

真っ白という色がこれほど
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.6

何世代もの血を繋いできたのは女性たちだと
どんな命も愛おしく、それを粗末に扱うことは断じて許さないと
そういうことだろうか
生は自由で死は尊い
だから大らかに育まれ、厳かに送られるべきなのだと

男は
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カインド・ハート(1949年製作の映画)

4.0

連続殺人の話なのに軽妙で上品
バリエーション豊かに殺され続けるアレック・ギネスが愉快
常に抜け目がない美しい幼馴染もいい仕事をしていたし、ゴージャスなドレスも素敵だった
品も皮肉も保ちつつ、最後の最後
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マジック(1978年製作の映画)

3.7

自覚していたのに、結局支配される側になってしまった哀れ
コーキーはずっと自分に怯えながらも、ファッツを得たことで解放され安堵していたのかもしれない
ペグの最後のセリフを、どう解釈しようか

幻想殺人(1971年製作の映画)

3.4

映像のインパクトはあるのに終盤の謎解きが駆け足で、しかもほぼ台詞で説明というのが残念
別に難しい話ではないのに、??と思う時間があったのはそのせいか、それとも単に自分がアホなだけなのか

屋敷の女性三
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

3.7

長回しと見えない音のせいで、常に考えさせられる
だが正解はわからない
ついには人でさえなくなったような男の続きも知りたいとは思わない
ただ、冒頭のシーンが頭から離れないだけ
ゆっくりゆっくり動いていく
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ロミュアルドとジュリエット(1989年製作の映画)

4.0

本当の愛を知った男の推進力は誰にも止められない
みんな一緒でみんな幸せ
夢みたいな話だが、とにかくハッピー
愛、愛、愛で溢れてる
鑑賞後はまるでお裾分けをもらったような気分に
すべてはジュリエットの魅
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

リアルの後のファンタジー
いつもならシラけるところだが、アンドレア・ライズボローの熱演もあってか素直に受け入れようと思えた

ろくでなしがとレスリーを切り捨てるのは簡単だし、結局男に頼るのかと落胆する
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アウシュヴィッツのチャンピオン(2020年製作の映画)

3.5

アウシュヴィッツで人々にパンと希望を与えた人…というのはわかったが、テディのそれ以外のことはほとんど描かれず、本人像がぼんやりしたままで終わってしまった
同様に子持ちのナチ将校も、どう捉えていいのか迷
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移ろう季節の中で(2018年製作の映画)

3.5

意識はなくとも聴こえていたと思う
母の言葉もヨンジュンの声もスヒョンには伝わっていたと思う
ラストシーンを見てそう考えたのだが、正直なところよくわからない
あまり語らない作風とはいえ、最後の場面に物足
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ファミリー・ネスト(1977年製作の映画)

3.7

この中で幸せを見つけなければならないとは
部屋さえあれば解決することと部屋があっても解決しないこと
夫と妻が最後に見せる涙が同じ味だとはとても思えない

女性にとっては不愉快なことしかない105分、か
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.4

思っていたより大人しめだった
これからどんどんクレイジーに…と期待していたのだが、割と常識的な展開でまとまっていた
クマも人間ももっとぶっ飛んでいてもよかったんじゃないだろうか

いくらクマでも致死量
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.5

バトラーだから結果はわかったようなもの
どれだけハラハラドキドキさせられるかが勝負
都合良すぎる部分もあるが、尺も短め、ストーリーもわかりやすいということで気楽に楽しめた
乗客の個性をもう少し見せれば
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少年たちの時代革命(2021年製作の映画)

4.0

天安門事件を知らない若者たちが闘っている
“日本以外ならどこでもいい”と思ったことは一度もない、たぶんこの先もないと断言できそうな自分がそれを見ている
非道な扱いに心を痛め涙を流しながらも、(変わらな
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.6

“楽”と“自由”の人は“ありがとう”を言わない人だった

最初から最後まで汚いと思うシーンばかりでそれ以外の感情はなかなか沸いてこず、しんどい時間だった
彼女が望んだ自由はあれだったのだろうか
確かに
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

地味なのに鋭い
散りばめられた大小の皮肉が可笑しいのだが、その可笑しさの裏側にあるものの深さを正確に知ることは難しいと思う

冒頭の大学生との不毛な会話がずっと頭に残っている
通じない人と通じるために
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ジョニー(2022年製作の映画)

3.6

どんな時も、誰に対しても、待ち続ける
そんな恐ろしく難しいことをやってのける人
神父と彼の家族との関係がとても優しくて、見るたびにぬくもりが沁みてくるようだった

今際の際まで人には愛が必要なのか
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バービー(2023年製作の映画)

1.0

どう展開してどんな結末に持っていくのか興味があったのだが、残念なことに驚くほどつまらなかった
可愛いはメッセージを伝えるための手段ではなくただの可愛いで、それ以上でも以下でもなかった
腹立たしさと失望
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腰抜け二挺拳銃(1948年製作の映画)

3.0

昭和っぽい小ネタが満載
当時はさぞかし劇場が沸いたことだろう
しかし令和の今ではさすがに少々退屈
迫力の容姿で女ガンマンを演じたジェーン・ラッセルの身のこなしがもたついていたのも気になってしまった
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

冒頭、川を往く船をじっと見つめながら、自分が既に作品の世界に入り込んでいることを知る
そして何の違和感もなく時空を飛び越え、森で一緒にキノコを探しているのだった

この時代に腕力で生きない男を描き、優
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溺れゆく女(1998年製作の映画)

3.0

アリスは本当にこれでいいのだろうか
こんな風に自分の人生を使いたいのだろうか
おかしな邦題だと思ったが、観終わった今、確かにあれは“溺れゆく女”だった

(1955年製作の映画)

3.5

自らを騙し続けられなければ、ペテン師ではいられない
ペテン師とそれを侮蔑する人々が集うパーティーには卑しさといやらしさしかなく、ただひとり困惑顔のジュリエッタ・マシーナが純白に見えた

第七の封印(1956年製作の映画)

3.7

苦悩してばかりで人生を楽しまないとは
もっと単純に生きれば良いものを…なのか、
苦悩からの解放
人間に楽しいだけの人生などないのだから…なのか

神は乞い願う騎士には何ひとつ示さず、無知なまま生きる芸
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アネット(2021年製作の映画)

3.0

監督の、娘への懺悔なのかと思ったり

他者を愛するとはどういうことなのか
もしかしたら誰かを利用して自分を愛しているだけなのか
愛させて欲しいと言わずとも、勝手に愛せばいい
もちろん見返りは求めずに
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テレフォン(1977年製作の映画)

3.7

たとえKGBでもブロンソンはブロンソン
激渋具合に異常なし

おおごとなのにどこかのんびりとした空気が漂うのは時代のせいか
洗脳だの催眠術だの荒唐無稽とも思える作戦だが、その反面、彼の国ならばさもあり
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陽は昇る(1939年製作の映画)

3.3

生い立ちから考えるに、愛を知らないが故の若い二人の行いと思えなくもないが、たとえそうだったとしても共感しづらかった

アルレッティの貫禄
天に召されるような神々しささえ感じるラストシーンが良い

デッドロック4〜絶対王者ボイカ〜(2016年製作の映画)

3.8

寝ていてもわかるストーリーと寝てなんかいられないアドキンスの超絶美技!!
鍛え上げられた肉体は惚れ惚れするほど美しく、そこから繰り出される回転技はどんなに目を見開いて見ても凄過ぎてわけわからん
こっそ
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ふたりの5つの分かれ路(2004年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

はっきりと示されない部分を想像で補うことになるため、観た後の感想はそれぞれ微妙に違っていそう

幾度か目にする妻の涙の意味さえ曖昧にしか捉えらないが、そのくせ何故かわかる気がすると思うのが不思議だった
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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

(もしかすると妄想なのかもしれぬが)
たったひと言がハリーの人生をロックしてしまった
今という時代に生きる我々は、皮肉なその言葉に乱心する彼の姿を笑っていられるのか
明日は我が身となっても不思議ではな
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コンクリート・ジャングル(1960年製作の映画)

3.4

わからんこと多し
けれど勢いはある
それに押されて最後まで観てしまったが、大筋はわかるけど詳細は…?というくらいの理解しかできなかった

突然神にすがり出す主人公が可笑しい
顔面力は立派だが、色々と迂
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.7

ゲーム知らんしファンタジーも苦手
そんな人間でも楽しめる丁度良さ
2時間超ではあるけれど地味な笑いで飽きさせないし、あちこちの風景がとても綺麗
そしてヒュー様、さすがでございます

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.6

流されない傷付けない傷付かない
そんな人生などあるものか
未来は見えないし自分のこともよくわからない
いつだって迷い悩むに決まっている
ただ、子供を「持つ持たない」と考える男性のそれと、子供を「産む産
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