ねこさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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アトランティス(2019年製作の映画)

3.6

サーモグラフィが描くふたりは、ぬくもりを共有しながら赤く染まる…わけじゃない
生きてりゃ誰だって赤く映る
独裁者も偽善者もみな同じ
単なる科学技術の結果でしかない
そこに意味をくっつけてしまうのは、彼
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Tメン(1947年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

調査報告書を映像化したような中に刻まれる夫婦の遭遇と仲間の死
懸命に装う男たちの表情が苦しい
潜入捜査官のお仕事紹介といった感じだが、テンポの良さと徐々に高まる緊張感で最後まで目が離せない面白い作品だ
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あなただけ今晩は(1963年製作の映画)

3.7

芸達者な二人を見ているだけで楽しい
ジャック・レモンなど、出てきた瞬間から可笑しいのだから
少し長いかなとは思うが、予想外の展開と不思議なラストで面白かった

シャーリー・マクレーンの露出度が高いこと
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犯罪河岸(1947年製作の映画)

3.6

思いもしなかった刑事と写真家の背景
自分の中に古い作品に対する先入観があったことに気付かされた
この時代にこのさりげなさ
この時代だからこそのさりげなさ
監督の手腕に驚く

夫婦どちらもどこに魅力があ
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ショッカー(1989年製作の映画)

3.3

まるで少年マンガの展開
そう思って観れば、荒唐無稽も案外受け入れられる
悲惨な経験をしても衝撃の事実を知っても全然ヘコまない主人公が、鋼のメンタルでぐいぐいと物語を引っ張っていく
何故そうなる?などと
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公の行動力と生き物に対する愛
夢や希望の存在意義
そこまでは理解できたのだが、組合であるにも拘らず言い出しっぺの泣き落としで物事が決まってからは一気に気持ちが冷めてしまった
馬の意志を感じるシーン
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.0

オリジナルでは「知らない頃の古い映画」という前置きでスルーできたことが「リアルタイムの新作」ではできない
この話、今の人が観て面白いのだろうか?
トニーとベルナルドの配役はこれでいいのか
そんな気持ち
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

仕事、家庭、これから生まれる命とその母、そして自分自身
「誠実さ」ってなんだろう…と考えさせられた

片道2時間なら仕事の件はどうにかなるのでは?という疑問もあるが

ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

3.4

子に告げられない気持ちはわかる
その存在自体を否定するような事態になりかねないから
穏やかに説明できない気持ちもわかる
罵って別れた後悔と永遠に失うかもしれない恐怖、そして残り時間が少ないことへの焦燥
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レディ・マエストロ(2018年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

音楽、恋愛、出自の秘密という三要素の中で最も薄かったのが音楽だった
特に主人公の音楽に対する情熱や実力のほどがぼんやりしており、女性指揮者のパイオニアを描くという部分では物足りなかった
冒頭の劇場エピ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.0

アニメ、なのだろうが、個人的にはもう現代アート
爆裂センスの映像に溺れた
どうやったらこんなアイディアが湧いてくのだろう
それくらい隅から隅まで観察し甲斐のある映像だった
音楽もとても良い

夏休み(2023年製作の映画)

3.5

淋しさと煩わしさの境界線を自分で見極められるようになるまでの修行のひとつに見えた
これでいいんだと思ったり、これじゃダメだと思ったり
妥協と言ったら語弊があるが、心地よさのためには諦めなければならない
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.5

ワンカット云々よりも、働くってこういうことだよなぁ…という気持ちの方が積もってしまい、えらく疲れてしまった
それぞれがそれぞれの役割を正しくこなせば一定の質は保たれるのに、どうしてそれができないのだろ
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.8

自然の、命の、「さだめ」を見た
賢くて勇敢で好奇心旺盛な“彼女”に魅せられっぱなしだった
ヒトにとっての摂理とはいったい何を指すのだろう
ヒトだけが例外であることは正しいのだろか
寡黙な“彼女”の姿に
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ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.0

大人たちの癖が強過ぎて、度々中身を見失いそうになる
どんな人もどんな場所も成り行きで受け入れていく少年の柔軟さには驚くばかりだが、後半にいくにつれ面白味が感じられなくなり少々退屈だった

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.4

ブラッドリー・クーパーの熱演と作品の内容とに温度差を感じた
『その音楽と愛』と題する割に描かれているのはレナードとフェリシアの関係のみで、それすら表面的な印象を受けた
もう少しレナード本人を深掘りした
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オマージュ(2021年製作の映画)

3.7

主人公が感情を爆発させることなく日々淡々と生きている様が実にリアルで、共感できる女性も多いことだろう
ほんのひとことではあったが、息子の言葉から夫の本音も聞こえてきた
家事を強いられるのは女だから
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

揺れる心と揺るぎない心
せめて示し合わせることはできなかったのか
レオが自分の中に渦巻くものを飼い慣らすのにどれほどの時間が必要かはわからないが、たとえあの華奢な両腕が逞しくなる時が来ても、それを握り
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ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

3.7

リジーのイライラの全部がよくわかる
過剰な罪悪感や劣等感も
だから、あのラストにしみじみできる

たぶん次の日にはまた同じことでイライラするんだろうな

ベスト・セラーズ/小説家との旅路(2021年製作の映画)

2.5

ひとつひとつのエピソードに意味が感じられないし、主役二人のキャラクターもリアリティ不足で魅力的とは言い難い
マイケル・ケインが勿体無い…という感想しか残らなかった

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

チャリを漕ぐマイキーが無邪気な子供のようで妙に清々しい
くだらないことだらけなのも面白おかしく見ていられる
だが、ストロベリーに関することだけは引っかかる
ずいぶん年上の男が10代の女の子を利用しよう
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.5

今回もキアヌの頑張りは凄いが、やはり際立ったのは座頭市ドニーのキレの良さ
“差し出す”前はさぞかし…と妄想が膨らみまくる
延々と続くアクションシーンは楽しいしスタントの素晴らしさにも感心したけれど、さ
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ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)

3.6

タイトルに“犯罪”とあるのに、暗さも悲愴感も無い
どのキャラクターも深刻さとは無縁で、もしかするとこれが上手に生きる極意なのかもしれぬ
中でも、ヴァランティーヌの達観したような明るさがとても良かった
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明日になれば〜アフガニスタン、女たちの決断〜(2019年製作の映画)

3.7

毎日毎日数十年後の自分の姿(義母)を見ながら暮らす身重のハヴァ
他より少しばかり世界を知っていると思われるインテリのミリアム
まだ若く無知で無防備なアイーシャ
そんな、世代も環境も違う3人の女性たちが
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ナイン・マンス(1976年製作の映画)

3.8

あくまで自然体なユリが良い
声高な主張や頑なな拒絶とも無縁
男とか女とかではなく「私」で生きている
だから余計にヤーノシュが滑稽に映る
“子供がいることを許した”とな
傲慢が過ぎて大笑い

公開当初、
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ナイルの娘(1987年製作の映画)

3.5

走ろうが歩こうが立ち止まろうが、流れる時間に違いはない
同じところをぐるぐる巡るしかない暮らしにも、寸分の狂いなく時は訪れて過ぎていく
なんと残酷なことだろう

「幸せですか?」と訊ねたら「幸せってど
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カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)

3.2

物語はわかりやすいが、中東は複雑すぎてお手上げだ
単純に敵味方の色分けはできないし、大国の思惑も絡んで厄介なことこの上ない
みんなどうやって生きているのか
どうやって心を保っているのか
ホッとするラス
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.7

衝撃というより居心地が悪かった
目の前に突きつけられている映像が現在進行形の事案と重なり、どんな気持ちで観ればいいのかわからなくなった
描かれていた鬼畜の所業の多くは過去を踏襲したものだろう
それは悪
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賭博師ボブ(1955年製作の映画)

3.6

肝心なところで賭博師の性が…
その界隈では顔だとしても、根は生まれながらの博打うち
皮肉なラストが何とも可笑しい
キャスティングも含め派手さはまったく無いが、イヴォンヌとボブ、警視とボブの関係に古き良
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海外特派員(1940年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

傘、傘、傘…がとても印象に残る
飛行機からの脱出シーンも、時代を考えればなかなかの迫力ではないだろうか
きな臭いご時世に清く正しく理想を唱える娘の単純さはどうかと思ったが、開戦だなんだと世間が騒いでい
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ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

やむを得ない事情があったにせよ、あの頃のドイツでユダヤ人がカフェに入ったりバスに乗ったりしていたことに驚いた
何が起きていたかを知ったのは戦後数年経ってからだと当事者の一人が語っていたように、渦中の多
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アウトフィット(2022年製作の映画)

3.8

ひと針ひと針確かな技術でこつこつと信頼を得ていく仕立て屋と、信頼も命もたった一発で吹っ飛ばすギャングの駆け引き
毎度のことながら、肝の据わった裁断師を演じるマーク・ライランスの表情がとてもいい

こじ
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大恋愛(1969年製作の映画)

3.6

噂話にどんどん尾鰭が付いていく様が面白い
鈍感でないと欲望を達するのは難しそうだ
下世話な話でも品を損なわないエテックスの不思議

65/シックスティ・ファイブ(2023年製作の映画)

2.0

アダム・ドライバーが出ている
それ以外の魅力がひとつも見つからん
地球人じゃないよ別の惑星の人だよ…いや、無理
120分でなかったことには感謝する

これでいいのか?タイトル

野性の葦【HDリマスター版】(1994年製作の映画)

4.0

微熱時代の若い人たち
傷を隠し持ち、潔癖で極端で繊細で、常に答えを探している人たち
彼らの痛みを終始浴び続けて、心の奥で消えかけていたものがほんの少し爆ぜた
そして、あの時の畏れをぶつけられる相手がい
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.4

三兄妹の周囲に漂う空気感をリアルに感じ取るのは不可能だが、あの気まずさには覚えがある
その瞬間に遭遇するのが嫌だから、避ける技術だけが上達していると感じることが今でもある
自分で作る壁も社会がこさえた
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