ねこさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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画家と庭師とカンパーニュ(2007年製作の映画)

3.7

老境にさしかかったとき、その手に残るものは有るか
大切なものをしっかりと握っているのか
指の隙間からこぼれ落ちているのか
空っぽなのか
それは、どれだけ誠実に他者と向き合ってきたかで決まるのかもしれな
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.9

顔で語るオスカー・アイザック

自分を罰するように生きても罪は消えず、差し出した手は届かず、自爆する道を選ぶテル
そんな彼も、いつかゴードと同じ目に遭うかもしれない

加害者であり被害者でもある立場の
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ティル(2022年製作の映画)

3.5

結果、多くの人の人生が変わってしまった

人種差別が悪だというのは大前提として…
この時代の北部に暮らす黒人は、南部との違いをどれくらい認識していたのだろう
そしてそれを子育てにどう反映させていたのだ
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ロッキーVI(1986年製作の映画)

3.6

マッティ・ペロンパーの胡散臭さ全開
思いやりのかけらも無いのがいい

どうみてもロッキーより連れの女の方が強そうだけど

トータル・バラライカ・ショー(1994年製作の映画)

3.6

異色のコラボレーションで異様な盛り上がり
大真面目な面々と真面目に不真面目なロック野郎の楽しげな様子が不思議と面白い
ただ、今という時代に観ると、ちょっとした不気味さも感じたりするのだが

白い花びら(1998年製作の映画)

3.5

カティ・オウティネンが幸せそうな顔をしている…
もう悪い予感しかしないじゃないか!

失くして初めて気付く幸せ
失くしてみなければ気付かないのが幸せ
宝物を盗られてがむしゃらに暴れる子供のようなユハの
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暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

快活で笑顔の素敵な女性だったジョーンが、たった一人の男のために聖母と狂女とを行ったり来たりする様子を見て、二人にとってこれ以外の道はないのだと悟った
汚れているのは前科者かそれとも世間か、という問いか
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マッチ売りの少女(1928年製作の映画)

3.3

最後の“バカだね…”は、誰かの言葉ではなく世間の声だと思う

少女の見るささやかな夢
死神との幻想的なシーン
きっとこの時代の精一杯の工夫が施されているのだろう

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

4.0

なんてカッコいいんだ男たち
金も大事だが、それ以上に大切なものもあることをちゃんと知っている
そんな三人が助け合い精神で急場をしのいでいく様は、見ていて実に心地良いのだ
最後に流れる予想外の曲には驚か
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.6

なんなんだこの無力感
救えず報われず、悪だけがニヤニヤと獲物をひったくって行く
あのことさえなければ、皮肉なものだと思っていられた
あのこととポランスキーという取り合わせが余計に気分を害させる

鬼畜
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ハムレット・ゴーズ・ビジネス(1987年製作の映画)

3.5

珍しく誰にも愛着が湧かないのは富裕層の話だからだろうか
いつもの小市民を描いた作品にはある愛嬌が感じられない
と思っていたらあのラスト
いいぞ、そのしたたかさ

無表情の奥で微妙な心情の変化をしっかり
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

3.6

殴り合いが痛い

メガネなんてかけたくないんだよ
余計なものは見なくていい
面倒はごめんだ
それなりの日々を壊してまで変えたいものなどない
おかしいとか間違ってるとか思わないこともないけれど、今のとこ
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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.5

一作目とは大違い

あるのはわかっているのに、そこに至る方法がわからない男たちの行き当たりばったり
道のりは甘くはなかったが、最後の最後、失望の後にもまだ希望がある、かも
その僅かな「かも」に向かって
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罪と罰(1983年製作の映画)

3.7

道理を殺したかった男が道理に戻る

カウリスマキ長編第一作
初めからあったんだな、ささやかな希望が
さすがカウリスマキ
これぞカウリスマキ

孫文の義士団(2009年製作の映画)

3.7

これでもかと煽ってくる劇伴に身を任せ、熱い世界を堪能する

とにかくキャストが豪華なのが嬉しい
珍しくダメ男を演じるドニーが本物を相手に繰り広げるアクションシーンはさすがの迫力だし、ワン・シュエチーの
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オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)

3.6

日常だと思っていたらSFという怖さ
ネタばらしの後に見ると、恋人も親友も妙によそよそしく感じてしまう、人の心の不思議
どちらがどうなのか理解が追いついていない部分もあるが、かなり昔の作品なのに古さを感
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ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)

3.6

ベガスがおおごとに

またしても苦悩のジェイソン・ボーン
彼が殺られることに対する不安は1ミリもないが、いつまでたっても迷子のようなところはずっと心配なままだ
人間不信がいっそう募ったであろう今回、そ
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女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.7

コミカルなシーンだらけなのに飽きさせない
いかにも恋愛経験の少なそうな男を、エテックスが台詞ではなく全身で縦横無尽に語り尽くす
彼の父親もその昔、あの妻に対して“恋する男”だったのだろうかと想像するの
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.5

金塊返せこのヤロー!だけで頑張るのがいい
いろいろと吹っ飛びまくるが、自然はとても美しい
理屈は無視して不死身を楽しもう

マイ・ファースト・ミスター(2001年製作の映画)

3.3

ジェニファーの拗らせ方が幼稚な気がするのは20年前の作品だからか
ランダルの内面描写も足りないし、二人が近付いていくエピソードも少しピントがズレているように感じたが、終わりの温度は素敵だった

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.0

あらすじから想像したものとずいぶん違い戸惑ったが、終わってみれば終盤のハーパーの表情、まさにそんな気分だった
この作品の言いたいことはちゃんと伝わっているのだろうか?
そこが気がかり

評決のとき(1996年製作の映画)

2.5

これは正義なのか?
弁護人は陪審員の感情に訴えたわけだが、さすがにあの判決はどうかしていると思う
それでも涙が出たのは、実際に同じような目に遭った子供が世界には大勢いることを知っているからだ

それに
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アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

3.6

単刀直入というか無駄がないというか、遠慮や婉曲とは無縁な会話に、当時のハンガリーが透けて見えるようだった

たとえアンナが夢に破れても、カタの所に戻ればいい
きっと彼女は宣言通り、男には頼らず歩いてい
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.8

車社会の悲哀

ふてくされて酔い潰れていても、待っていてくれる人のいる幸せ
この後の二人の会話を想像するのも楽しい

世界最速のインディアン(2005年製作の映画)

3.8

バートは、必ず自ら名乗り手を差し出す
バートは、困ったら手近なところに助けを求める
バートは、人の好意を素直に受ける
バートの世界は、自分にとって大事なこととそれ以外のこととでできている
実にシンプル
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

3.8

実際はこれほど簡単ではないと思うが、本作においてはその軽やかさがとても好ましかった
肉体の柔らかさだけでなく心の柔軟さまで手に入れたエリーズが、ふたつ目の人生のスタートを切る
なんと後味の良い物語だろ
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私たちの幸せな時間(2006年製作の映画)

3.3

宗教、死刑制度、愛、どれを主題にしたいのだろう
どれも重い題材だが、それにしては最後以外は中途半端で軽い印象を受けた

冷たく無感覚な人間のままではなく、人の心を取り戻し、生への執着が生まれてから命を
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ノベンバー(2017年製作の映画)

3.6

神秘的なのかと思いきやかなり卑俗で、剥き出しの欲望ばかりが現れる
それでも観続けてしまうのは、美しい映像のせい
物語か否か、それすらわからないが、冒頭のシーンのインパクトは大きかった

形を変え場所を
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Exit The Matrix(2021年製作の映画)

3.4

見捨てられた村
そんなイメージ
人間の良心や環境順応力が国家に利用されているさま
意地悪な目にはそう見える
これほど与えられていない場所にも他と等しく徴兵は存在するとしたら、兵士たちはいったい何に命を
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アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台(2020年製作の映画)

2.0

なんだこのすり替え話
演出家が積年の夢を叶えただけではないか
囚人と演出家、双方が吐く“限界”という言葉の意味がさっぱり理解できない
最後の拍手は何に対して??
笑顔で迎える娘と所長もどうかしている
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スウィート・シング(2020年製作の映画)

3.6

ビリーのいつも不安そうな瞳に気付く大人はいない
彼女のために歌ってくれる人も

たとえこちらが「どのツラ下げて…」と思ったとしても、姉弟が望むならそれでいいと思うしかないラストシーン
それでいい、それ
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星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.4

ゴルフでさえカートで周るような初老のおっさんが、いきなりあの距離をすいすい歩けるものか!という捻くれ心が先に立ち、あまり入り込めなかったのだが、この旅が父親にとって何よりの救いとなったことは間違いない>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

キリスト教と悪魔の話だから、やはりわかったようなわからないような
これが1980年代ということに驚くし、悪魔の憑依の仕方に時代の変化はないらしいことにもびっくり
実話なのか実在の人物をモデルにしただけ
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クラッシュ(2004年製作の映画)

4.2

他人にも自分自身にも、見たい部分、見える部分だけを見続けることの愚かさ
そこ以外の場所にも視点を移せば、180度違うものが見えるかもしれないというのに

問いはいくつもあるが、辿っていけば答えはひとつ
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THX-1138 ディレクターズカット(1971年製作の映画)

3.7

デュヴァルがこんなに若い時代
さすがに装置などには古さを感じるが、描かれているのは普遍的なことだった

はっきりとわかることは何もない
現れる人と消える人、白い部屋と白い空間
管理、監視、標準値、機械
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ランド/再生の地(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公の極端すぎる思考も行動も混乱ゆえのものと思えば理解できないこともない
光射すようなラストもいいと思う
その上で、主人公に変化をもたらしたのが動物や自然ではなく同年代の男性だったというありきたりな
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