おくむらひさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

1.9

ポスト・アイデンティティ・ポリティクス時代に踏み出したブラック・パンサー。

冒頭のヴィブラニウムをシェアしろとワカンダに要求するフランスとアメリカには、16世紀の大航海時代から現代かけての西洋国家の
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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016年製作の映画)

4.5

ワカンダフォーエバーに向けた再上映で再鑑賞。

アイアンマンとキャプテン・アメリカ、どちら派かと聞かれれば完全にジモ派。あえて作品にがっつり巻き取られたレビュー書きます。
ロス長官がわざわざ「米国を拠
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.8

資本主義の存在が全く抜け落ちたままだらしなく過ぎていく若者の日常は、日本社会が30年も前に滑り落としてもう手に入らないパラレルワールド。これが東京ではなく函館であること。クラブでかかるモダンなヒップホ>>続きを読む

ウォッチメン(2009年製作の映画)

1.1

HBOのTVシリーズを観るための予習として鑑賞。原作コミックにはアクセスしづらいので映画版を選んだのだが、基本的な設定やキャラクターの関係を確認する以外に観るべきものが無い。ちなみに原作は未読だが、話>>続きを読む

X-メン(2000年製作の映画)

2.9

DNAの突然変異により特殊な能力を得た「ミュータント」と政治・社会の関係。
ケリー上院議員が「ミュータントのリストがある」と言ってリストにあるミュータントについて読み上げていくシーンにおいては、ジョセ
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.5

香港やタイ的な、もしくはヴェイパーウェーブ的なネオンに彩られた街が何をどう見てもCGなので、来日して撮影していないことは明らか。この冒頭数秒で日本の描写について細かく考えようとするのをやめたので、すっ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.9

自分に正直に生きるために、興味関心に従って様々なものに手を出すのだが、それぞれがそれらだけで食っていけるほど大成しない。人生の脇役のような気分しか味わえない。もうこの時点で共感しまくり。
ジャンルは違
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

15歳と25歳の2人がくっ付きそうになったり離れたりのラブロマンス。10歳年上の女性が手ほどきをするようなものではなく、意外と対等に関係が構築されていく。
ウォーターベッドという今は全く廃れた当時のチ
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

1.1

「神」をスーパーヒーローに仕立てる難しさが浮き彫りになった作品。マイティー・ソーが北欧神話の雷神である時点で、これはよく考えれば当たり前のことだが、一般大衆との間に格差が標準装備されることになる。その>>続きを読む

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

5.0

登場人物と氾濫と展開の連続による筋の読めなさは、60年代カウンターカルチャー、ヒッピーカルチャーに取り残されたドックの立場を語っている。
コーイは家族を再開し、アメックスカードでアメリカ的資本主義社会
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.4

手前に物をぼかして画面の大半を埋めながら奥に小さく顔を映す構図、魚眼レンズで顔を歪ませながらも真正面にドアップで映す構図など、特撮由来のものかよく分からないがとにかく不自然で奇妙に感じた。特撮ファンな>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

2.3

関東地方へのゴジラ上陸という災害を前に、どうしようもなさが浮かび上がる役所のセクショナリズム。会議室のロングテーブルに揃って並ぶマイクなど、人と物の配置にこだわった無機的なカットは役所の融通の効かなさ>>続きを読む

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)

4.2

エドワード・スノーデンの一件を受けアップデートされているものの、前作ボーン・アルティメイタムにおけるブラックブライアー作戦で浮かび上がらせたシャープな批評を大きく更新するまでには至っていない。SNSを>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

1.9

オレンジのモノクロームで映る戦闘機。ケニー・ロギンスのDanger Zoneがかかり、前のめりに映画が始まる。戦闘機を映す引いた空の画とパイロットのアップショットの連続は正直なにが起こっているかは分か>>続きを読む

デッドプール(2016年製作の映画)

2.5

元々3Dで上映されていたのかな?CGの質感、奥行きを意識した物の配置、カメラの動き方で酔った。

グリーンブック(2018年製作の映画)

2.4

130分通してあまり中弛みせずに楽しめた。楽しめたが、優等生の退屈さを感じた。決して、クオリティが低い映画ではない。例えば水色のキャデラックの中で繰り広げる会話を、どこにカメラを置いてどの画角で撮るの>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.4

ウィンド・リバーに派遣されるのは、繋ぎのための適当なFBI捜査官1人のみ。ネイティブ・アメリカンが軽く扱われていることを匂わせる。その匂いに気づいても尚、事情聴取でズカズカと被害者遺族の心に土足で踏み>>続きを読む

アイアンマン(2008年製作の映画)

4.2

再鑑賞3回目
そもそもMCUに惹かれているのはサーガの構築ではなく、スーパーヒーロー映画のパッケージの中で強烈にアメリカの話をしているからだと再認識させてくれる作品。
冒頭、アフガニスタンでトニーを負
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

NYのビルの外壁での戦闘、戦いを眺める一般人の芝居くさい驚いた顔のショット、CGで描かれた人間のヌルっとした動きやダニー・エルフマンの劇伴がスパイダーマンを想起させ、開始十数分で一気に引き込まれた。>>続きを読む

TIME/タイム(2011年製作の映画)

2.2

26歳以降の寿命を通貨とする世界。一番に問題提起しているのは固定化された経済格差だ。富裕層は百年以上もの時間を有するのに対し、貧困層は数日単位の命を繋げるしかない。物価や金利の理不尽な上昇は、富裕層が>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

3.6

蝋燭の火や窓からの光に照らされ反対側に影が落ちるポートレートが美しい。ミツバチのささやきと同じく、フィルムの持つアドバンテージを感じさせてくれる。保守派ではなく共和派であり、強権的でない父の抱える秘密>>続きを読む