ヒチさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ヒチ

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リンク(1986年製作の映画)

3.5

執拗なまでに「人と動物は分かり合えない」っていうメッセージを観る者に刻み付けてくる映画。それどころか人と動物の二項対立が極限状態の中で崩れていき両者とも一介の獣となる。ここで冒頭の人間と動物の境とは何>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.3

冒頭の誕生日会から表情のサスペンスが洪水のように押し寄せてきてビビる。その後も物語自体は何てことない昼ドラのはずなのに片時も目が離せない。フリースビーや本音ゲームなどのギミックも効果的で素晴らしいし、>>続きを読む

用心棒(1961年製作の映画)

3.3

前半の知略を巡らせて飄々と振る舞う三船敏郎も、後半の気迫溢れる三船敏郎もどちらも魅力的。基本的にリアリストでありながら実は情に脆いという人物像はありがちだけど、冷酷になり過ぎずかといって野暮にもならず>>続きを読む

果てなき路(2010年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

結果的に立派なフィルムノワールが出来上がってしまったというオチ。今まで観た映画の中でもトップクラスで静謐な作品で、だからこそその最中で進行していく静かな狂気が恐ろしい。

フィクションのような現実を現
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.5

UFOやら地図から消えたやら奇抜な展開に惑わされそうになるけど、内容自体はかなりド直球の寓話。これだけ引っ張っておいて結局これ??っていう肩透かし感も若干あって、もう少し捻りがあっても良かった気がする>>続きを読む

暴力団/ビッグ・コンボ(1955年製作の映画)

4.0

冒頭から陰影がキレッキレ過ぎて惚れた。何あの兄弟の佇まい....。補聴器を使った遊びも憎らしいほどキマってて最高。二人が煙の中に消えてゆくラストも言わずもがな。完璧過ぎて特になんも言えん。

天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.0

初期の作品に比べて一つ一つのシークエンスのキレが無くなっているように思えて残念だった。『消滅の年代記』での日常からの静かな抵抗、『D.I』での狂った世界を凌駕する破天荒な想像力が、今作では世界への悲観>>続きを読む

ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり(1985年製作の映画)

4.0

B級と見せかけてもはやゴリゴリのA級映画。ゴア描写、ストーリー、テンポ、全てが完璧。破綻のない突き抜けっぷりで文句なしに楽しい。この手のホラー映画でこちらが見たいものを全部見せてくれるので嬉しくなっち>>続きを読む

チェド(1976年製作の映画)

3.0

アフリカに忍び寄る狡猾な侵略者に対して孤独な抵抗を続ける「チェド」たちへの讃歌。物語をあえて図式的にすることで、アフリカの受難と抵抗の歴史をダイレクトに描く。ただ演出がどうにも一本調子なので、作中の出>>続きを読む

ボディ・スナッチャーズ(1993年製作の映画)

4.5

敵見つけたら指差して「アアアアアア!!」って言うやつ声量がアホみたいにデカくて大好き。みんな一方向から全速力で走ってくるのも絵面が意味不明すぎて最高だった。楽しそうだから知り合い集めてみんなでボディス>>続きを読む

万歳!ここは愛の道(2019年製作の映画)

2.5

正直作中で主人公が言われてた自己満足云々の言葉以上の感想が思い浮かばなかったし、別に自己満足でも自意識曝け出しても結局は出来上がったもんの質次第(倫理的にNGなやつは除いて)だけど単純に作品として面白>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

3.3

デビュー長編特有の青さが作風にカッチリ噛み合ってて見事。主人公の焦燥がそのまま作品の終末感に直結してるのが面白い。ただの失恋を「世界が滅びてしまう」って表現しちゃう銀杏BOYZの世界観の原石を見た気が>>続きを読む

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

3.3

過去と現在を巧みに交差させながら2人の出逢いと別れを描いていく構成が効果的で良かった。時系列がちょいちょい変わる作品だけど、パパの毛量の変化で過去と現在が手に取るように分かる親切設計なので安心して観ら>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

3.8

現代のお伽話。身体が不自由な男性と心が不器用な女性が、夢の中で鹿の姿となって共鳴するように惹かれ合う。双方がまったく違う性質の持ち主だからこそのもどかしさや重なり合ったときの尊さが微笑ましかった。心と>>続きを読む

すべてを実行するには不可能なたくさんのアイデア(2019年製作の映画)

3.8

ずっと霧の中にいるようなジェーン・ブラッケージの存在感が最高。この人を撮りたくなっちゃう気持ちもわかる。バーバラのフッテージ以外も全カット超絶格好良くて惚れた。

ヴェヴェ(バーバラのために)(2019年製作の映画)

3.5

バーバラ・ハマーのグアテマラを映した映像&軽妙な語り口にマヤ・デレンの遺したキレッキレの文章&サウンドスケープを重ね、デボラ・ストラマットマンが編集した作品。三世代の作家の精神的繋がりが感じられて興味>>続きを読む

ベント・タイム(1984年製作の映画)

3.0

ポーリン・オリヴェロスの激ヤバドローンと歩くリズムが微妙にズレていく映像の相乗効果で奇妙な陶酔感のある作品。時間が折り曲がるってこういうこと?
若干『フランケンシュタインの恍惚』っぽい。

透明人間(2019年製作の映画)

3.8

透明人間が現れてからの、空間の余白に注意が向くような演出がめっちゃ巧い。そして何よりも、今のカメラの視点がもしかして透明人間の視点なのでは?という恐怖が新鮮で面白かった。透明人間と知らず知らずの内に視>>続きを読む

In Gefahr und größter Not bringt der Mittelweg den Tod(原題)(1974年製作の映画)

3.3

フィクションとノンフィクションを巧みに織り交ぜる手法が興味深かった。ぶつ切り感のあった二つの要素が次第に境界を越え、二人の主人公が現実の映像に肉付けされていき、現実の映像もまたフィクションによって新た>>続きを読む

ホステル(2005年製作の映画)

3.3

アキレス腱は痛いよぉ....。ゴリッゴリのエログロだけど最後はスカッとして大満足。B級映画の快楽を過剰に詰め込んだ映画。欲を言うならせっかく色々な道具用意してあるんだしもっと多種多様な拷問が見たかった>>続きを読む

スローモーション、ストップモーション(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

監督がタイでの日々を記録した日記映画。日記映画だと当然、カメラの視点=語り手の一人称になるので視点が別の誰かに移り変わることは普通ないはずだけど、この監督はカメラをあっさりと他者に渡してしまうところが>>続きを読む

ハロウィン(1978年製作の映画)

3.5

もはや王者の風格。刺されてもヘッドショットされても何事もなかったかのように襲いかかってくるブギーマンの無敵っぷりに大興奮。序盤の見慣れた街の風景に異物が入り込む不気味さ、中盤のハロウィンに浮かれる街の>>続きを読む

暗室(2016年製作の映画)

3.0

金村修が中平卓馬のネガフィルムを現像する様子を映した作品。震災の記憶、反復する言葉、暗闇の中に横たわる中平卓馬の不在。

きわめてよいふうけい(2004年製作の映画)

3.0

中平卓馬のドキュメンタリー。個人的には記憶喪失前の写真と鮮烈な批評が好きなんだけど、それでも写真を撮ることでどうにか生きながらえているような彼の存在に触れることができてよかった。それにしても後期のあり>>続きを読む

性の劇薬(2020年製作の映画)

3.0

作中を覆う死の雰囲気に抵抗するかのように、性が次第に生へとスライドしていく流れが見事。余田による調教(生)と自殺未遂に至るまでの回想(死)を繰り返し、桂木が生への欲求を取り戻すまでの前半、過去への後悔>>続きを読む

関公VSエイリアン(1976年製作の映画)

3.5

1976年、初の中国語特撮SF映画『戦神』が公開され、ヒットしたが1982年の豪雨によってプリントが浸水し全滅してしまう。その後都市伝説としてネットユーザーの間で語り継がれてきたが、パン・ホーチョン監>>続きを読む

アンダーカヴァー(2007年製作の映画)

3.8

愛情というよりももはや呪いに近い家族の絆。その呪いが主人公を運命へと駆り立てる。まるで初めから他に選択肢なんてなかったかのように。ラストの氷のように冷たい「愛してるよ」が全てを物語っている。全編観た後>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

3.8

とんでもない異物感。復讐シリーズに通底する虚無感がこの作品で極みに達した印象。もはや明確な話の筋すらも消えていき主人公の虚ろな心象風景、もしくは繰り返された復讐劇の残骸のような物語が淡々と展開されてい>>続きを読む

炎のマリア(1972年製作の映画)

4.0

17世紀ブルガリア、オスマン・トルコの圧政に晒されていた時代の物語。山村で平穏に暮らしていた親子は、突然現れたトルコ人たちによってズタズタに引き裂かれる。母親は泣きじゃくる幼い娘の目の前で暴行を受け、>>続きを読む

バイオハザード(2002年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

大量のゾンビに囲まれる中「ここは俺に任せて先に...」をやっておいて普通に戻ってきたと思ったらその後あっさり死んだの笑った。お疲れさまです。

ワザリング・ハイツ ~嵐が丘~/嵐が丘(2011年製作の映画)

4.3

肌と肌、身体と大地、登場人物たちと周囲の世界との交わりが丁寧に描かれていて素晴らしかった。手触りのある映画。彼女たちは実直なまでに自らの感情を身体で表現し、時に全身で喜びに打ち震え、時に全身が砕けてい>>続きを読む

密告の砦(1965年製作の映画)

3.8

果てしなく続く荒野に佇む刑務所の中で繰り返される密告と処刑の連鎖。この世界の一部とは思えない特殊な舞台設計と特定の視点をほぼ取らずに中立的な視点から登場人物を捉え続けるカメラがその異様さを際立たせる。>>続きを読む

地上の輝き(1969年製作の映画)

4.8

回帰する時間と二度と戻らない時間、記憶と忘却、逝ってしまった人たちとその後も生き続ける私たち。輝ける今への喜びといつか過ぎ去り忘却される今への悲しみを、寄せては返す波のように繰り返す主人公。特に序盤に>>続きを読む

ギャンブラー(1971年製作の映画)

3.8

どうしようもない男のどうしようもない顛末。大義も何もなくただのつまらない意地によって野垂れ死に誰からも垣間見られることになく雪に埋もれていく。アルトマンの映画は優しい。

お引越し(1993年製作の映画)

4.0

通過儀礼の映画。両親の離婚騒動に巻き込まれる子どもの話が、そのまま子どもの精神世界に突入していく異様さ。親の勝手な事情により周りよりも早く大人になることを強いられる主人公。「早く大人になるからね」とい>>続きを読む