ヒチさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ヒチ

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拳銃魔(1949年製作の映画)

3.8

冒頭の神聖さすら帯びるキレッキレカットから中盤の有名な長回し強盗(あのそっけなさが良い)、終盤の2人を包み込む深い霧まで濃厚過ぎる90分。都会を駆け巡った2人が最後に辿り着くのが人の手が加わっていない>>続きを読む

オーディション(2000年製作の映画)

3.5

噂通りの激痛っぷり。こちらの痛覚を的確に攻撃してくるグロ描写の鬼畜度はもちろん凄いけど、それよりもその前後に挿入される悪夢のようなイメージの連続に心を蝕まれる。

墓地裏の家 4K レストア版(1981年製作の映画)

3.0

ビジュアル先行型ホラー。背後から頭を串刺しにされる女性から始まり、頭部の外れたマネキンから覗かれる肉片、えぐり取った腹部から湧き出るウジ虫等々気合の入りまくったゴア描写が最高。破綻した物語の隙間を縫う>>続きを読む

Kill It and Leave This Town(原題)(2020年製作の映画)

3.5

止めどなく展開し続けるグロテスクな想像力に眩暈がする。絶望し続けることでやっと手が届く希望もきっとあるよね。

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.3

冒頭、波の音→ハーシュノイズ→イヤホン越しの声という流れの美しさにテンション上がった。こんな中学生流石におらんやろと思いつつ、あの頃特有の身体と心のアンバランスさを強調するための演出として見ればそんな>>続きを読む

ビバリウム(2019年製作の映画)

3.0

結婚して子ども産んでマイホーム建ててっていうステレオタイプを皮肉った映画。たぶんそれ以上でもそれ以下でもない。ステレオタイプの墓場とも言うべき団地の強烈なビジュアルが鮮烈だけど、展開が一本調子なのでダ>>続きを読む

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)

3.8

田舎=未発達、野蛮、コミュニティの強さ、世話好き、父権社会、娯楽の欠如などなど田舎への勝手なイメージを詰め込めるだけ詰め込み極端に強調した異形の作品。偏見を是正せず逆に増長させることによって、観る側の>>続きを読む

ビリーの風船(1998年製作の映画)

3.5

絵柄と内容の乖離が異様さを際立たせる。執拗に繰り返される行為と即物的な音の恐怖。この人を黙らせる理不尽さこそが暴力。

汚れた血(1986年製作の映画)

4.0

デビュー作の惚れ惚れする程の青い衝動が、2作目になって鈍化するどころかさらに尖鋭化していく。2人の輝きを永遠に切り取るような鮮烈なショットと、その行間にブチ散けられる詩情。

フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

3.8

ブラウニングの出自が活かされた「フリークス」と呼ばれた人々への慈愛に満ちた視点と、恐らく同時代の多くの人が共有していたフリークス=怪物という図式が組み合わさって奇妙にねじれてしまった怪作。結果的に1つ>>続きを読む

セリ・ノワール(1979年製作の映画)

3.5

主人公の人格破綻者っぷりに説得力を持たせるドヴェールの圧倒的演技力。苛立ち、優しさ、憂鬱、歓喜がカードを繰るようにランダムに立ち現れては消えていき、何時しかそこに持たざる者にしか宿らない輝きのようなも>>続きを読む

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

3.5

分かっちゃいたけどブラックメタル黎明期のイカれっぷりに唖然。デッドくんが尊すぎて例の拳銃自殺ジャケを部屋に飾って奉りたい気分になった。「血で汚してすまない。」の一文から始まるあの遺書は全遺書書き出しコ>>続きを読む

天竜区奥領家大沢 別所製茶工場(2014年製作の映画)

4.0

環境音も機械音も動物の声(人間含む)も全て平等に扱われる音響によって、それそれの音が調和し合うのではなくナマでぶつかり合う。人間、犬、機械、茶葉の入った袋までもが画面の主役として並列に写されるカットの>>続きを読む

自由が丘で(2014年製作の映画)

3.5

人物の僅かな心の機敏を捉える描写力、淡々とした語り口、湿っぽさゼロの人間関係、生活感の無さ、無機質に整頓された小道具、初期の村上春樹っぽい。いつもと違う主題を扱いながらも、主人公に時間云々のくだりをわ>>続きを読む

処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ(2014年製作の映画)

3.8

オープニングからラストまでノンストップで駆け抜ける超絶娯楽映画。片腕だけラスボスの腕が移植されており、人間ながらゾンビの力も使えるという主人公の少年漫画的なロマン溢れる設定に拍手。ゴア描写も気合入りま>>続きを読む

闇動画8(2013年製作の映画)

3.8

前半二つはジャブみたいなもんだけど、噂の「邪教」はめっちゃ濃密で良かった。ありがちな肝試し系かと思ったらいつの間にか別世界に置き去りにされる。タイトル通り宗教的なモチーフが出てきながらも、それだけに回>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.3

カンニングを青春ものの題材にするという意外性から、さらに社会問題にまでメスを入れる手腕が凄い。ただもうちょっとカンニングによる教室内でのスリルやドラマを見たかったな。後半みたいに大掛かりになると別に題>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.8

どうせこのままビョークが酷い目に遭っていくだけなんやろなぁ...と冷めた目で見てたら、工事でのインダストリアル・ミュージカルにコロッとやられたので我ながらチョロいなと思った。列車のシーンの多幸感もヤバ>>続きを読む

闇動画17(2017年製作の映画)

3.8

「ナビゲーター」
樹海の奥深くで露わになる人間の業とその周囲を不気味に蠢く怪物という見事な筋書き。この短編自体は怪物の存在を物語に全然落とし込めずに終わってるのが惜しい。
「魔窟2 分離」
最初に足が
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復讐 THE REVENGE 消えない傷痕(1997年製作の映画)

3.5

復讐のための復讐へ。主人公の抱える虚無感がまるで子どものような狂気を孕んだ1人のヤクザの組長と共鳴し合い、奇妙な友情が紡がれる。単純な復讐劇であった前作から、メタ復讐劇『蛇の道』、主人公の虚ろな心象風>>続きを読む

ツールボックス・マーダー(2003年製作の映画)

3.5

家の中に家が...って設定が最高。相変わらず呪われた家とそこに棲む怪物の話をやっててなんだか嬉しい。ただ殺人鬼の魅力が微妙だし、殺し方に工夫があるとはいえ驚きが全然無かった。螺旋状の階段を真ん中からよ>>続きを読む

2000人の狂人/マニアック2000(1964年製作の映画)

3.3

血と暴力を気楽に楽しんでもらいたいというサービス精神に満ちたファストフード映画。異常までの陽気さと繰り広げられる拷問とのミスマッチ具合が何とも不気味。サラッとメッセージ性を込めてなんか良い感じに終わら>>続きを読む

闇動画16(2017年製作の映画)

3.5

「魔窟 神出鬼没」
廃墟にやたらデカいお婆ちゃんがいる時点で普通にビビる。こいつらよく平気でそのまま散策続けられるな。昼間なのにこの怖さは凄いなと思いつつ、あの瞬間移動には流石に興醒め。惜しい。
「狩
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悪夢の系譜/日記に閉ざされた連続殺人の謎(1982年製作の映画)

4.3

ド傑作。前半から中盤にかけて丁寧に紡がれていく不吉なムードが終盤になって牙を剥く。こんなにスローモーションが格好いい映画滅多にないんじゃ。角砂糖タワー→トラック突進→銃殺の流れが、その微妙なタイミング>>続きを読む

デコーダー(1984年製作の映画)

3.0

西ドイツのサイバーパンク/ノイズ映画。極彩色のネオン、社会を掻き乱すノイズ、電車で鳴り響くメタル・パーカッション。

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

2.8

内輪ノリのヘラヘラした映画としか思えなくて苦手。ゾンビ映画を期待すると肩透かしを食らうし、それを求めるのがお門違いだとしてもこの作品特有の魅力があるとは思えず。少なくもジャームッシュの中でならもっと良>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

3.5

辺境地のヤバい宗教覗いてみたみたいな映画かと思いきや、植民地主義と結びついたキリスト教の歴史への批判、教義に教義をぶつけることしかできない宗教論争の不毛さから宗教全般への懐疑まで、意外なまでの射程を兼>>続きを読む

メイトワン-1920(1987年製作の映画)

3.8

1920年(100年前!!)の出来事を描いた30年以上も昔の映画なのに、まさに今観るべき作品だと感じられるのが凄い。権力と民衆、企業と労働者、人種問題、移民、資本主義。ささやかな生活に干渉してくる力に>>続きを読む

ブラック・サバス/恐怖!三つの顔(1963年製作の映画)

3.0

1本目が随分ヌルッと終わって不安になったけど、2本目の気合入りまくりセットを見て安心した。『呪いの家』といい異界を作り出すのが巧すぎる。あんな所なにが出たっておかしくない。3本目の音と雰囲気で緊迫感を>>続きを読む

スパイクス・ギャング(1974年製作の映画)

3.8

3人が未知の世界への期待に胸を膨らませながら馬を走らせ、そこに軽快な音楽な流れる冒頭の一連のシーンだけでもう泣けてくる。眩しすぎる3人の姿が逆説的に彼らがもう2度と同じようにこの場所に戻ることがないこ>>続きを読む

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967年製作の映画)

3.8

位置関係よりも画面のスタイリッシュさを重視したカット割でガンガン空間を歪めていく様がスリリング。カットを跨ぐと人物の立ち位置が変わるどころか瞬間移動してたりするので一瞬足りとも気が抜けない。序盤はなん>>続きを読む

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

3.0

めっちゃロマンポルノ。いつの年代が舞台のいつの映画なんだっけ?ってなった。毎度お馴染み過去になんかあったんやろなぁ...って感じの綾野剛ととにかく方言可愛い菅田将暉のコンビがキャッキャしてるだけでなん>>続きを読む

シングルフレームの1ヶ月(バーバラ・ハマーのために)(2019年製作の映画)

4.5

これが老いるということ、孤独だということならば、恐れる事なんてきっと何も無い。

サイコ2(1983年製作の映画)

3.5

ベイツの狂気に当てられるように彼の周囲が狂っていくのが面白い。それぞれがすれ違いながらも奇妙に噛み合っていく殺人の連鎖に何故か納得してしまうのも全部ベイツの存在感のせい。それにしても、モーテルとその脇>>続きを読む

闇動画12(2015年製作の映画)

3.3

「椅子のおじさん」階段を右往左往する慌ただしさがそのまま恐怖のボルテージを上げていく。おじさんの絶妙に場とミスマッチな見た目がやたら不気味。幕切れも秀逸。
「黒い人」ベランダからの景色がめちゃくちゃ不
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初恋(2020年製作の映画)

4.0

超絶おもろい。後追いの自分でも相当興奮したし往年のファンは感涙モノなんじゃ。当初の筋書きがことごとく崩壊して全てがコントロール不能になっていき、それが一つの空間で暴発していく。染谷くんとベッキーの異様>>続きを読む