酢さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

悪徳の栄え(1988年製作の映画)

3.5

実相寺昭雄の映画は物語の巧みさではなくて美学で魅せるタイプなので独特の難易度がある。でも今作は清水紘治様の濃ゆい主演力の甲斐もあって比較的ライトに楽しめた。没落侯爵がこんなに似合う人は他にいない。>>続きを読む

激突!若大将(1976年製作の映画)

3.3

草刈正雄の若大将・第二弾。前作はアメフトをしていたのが今作はアイスホッケーに変更。歌いながら雨に濡れても、住み込みバイトで額に汗してもずーっとハンサム。マドンナは坂口良子。まだ演技が堅いけど、ふくれっ>>続きを読む

ゴングなき戦い(1972年製作の映画)

4.8

ボクシング映画と聞いたのに、ここでは勝ちと負けに本質的な差がない。高揚感と無縁の諦念。絶望にさえ辿り着けない足踏み感。そんな中で甘えて拗ねて、突然奮起してそれでも流されて、来る日来る日をやり過ごす。敗>>続きを読む

SOSタイタニック/忘れえぬ夜(1958年製作の映画)

3.5

沈没に至る経緯や船上の人々の細かいエピソードを脚色し過ぎず淡々と、かつ丁寧に拾っていく手腕は今見ると逆に新鮮。「ドキュメンタリータッチ」と言うと簡単なようだけど、史実への真っ直ぐな敬意を感じる。

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天使の恋(2009年製作の映画)

3.3

バッチバチにゼロ年代ギャルな佐々木希を映像に収めている時点で国宝もん💎

眼鏡の芋くせ〜クラスメイトがいじめられてるのを颯爽と助けてクラブで一緒にフィーバーの希様。住んでるのは全てが白でコーディネート
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裸の銃を持つ男(1988年製作の映画)

3.5

超ベタなネタばっかだけど笑っちゃうからおれの負けだー。日本のこの手の映画だと余分なメッセージが絶対に滲み出るけど、本作はひたすらにギャグを詰め込みまくり。覚悟を感じる。素晴らしい。レスリー・ニールセン>>続きを読む

スペース・トラッカー(1996年製作の映画)

3.3

「デニス・ホッパーで宇宙トラック野郎をやりまーす」ってお題の時点で勝ちが確定してるのずるい。脚本の手際は全く良くないけど、これぞSFな美術としょーもない下ネタ・グロ描写でワハハと見れるよ。そしてここ一>>続きを読む

隔てられた戦争 識別+追跡(2003年製作の映画)

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湾岸戦争のかの有名な爆撃映像をダシに、ハルン・ファロッキ先生の講義が始まる。DJ的な「そこ繋げますか」が面白い評論芸。本編には関係ないけど、スマートフォンやSNSの普及以降で起こったイメージ/画像の概>>続きを読む

この世界を覗く――戦争の資料から/世界の映像と戦争の刻銘/世界の映像と戦争の刻印(1988年製作の映画)

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〈イメージ〉を論理立てて整理するのではなく、むしろ無限に続く連鎖の中に身を投じるような映画。本題は技術論であるとはわかりつつ、映画を含む「見る」行為全般への反省が求められているような気がした。折に触れ>>続きを読む

天城越え(1983年製作の映画)

3.0

汗だくの男が印刷所を訪ねるまでを淡々と積み上げていくアバンタイトルにこれは名作ではと気合いが入るが、少年が母ちゃんのセックスを目撃した後の「ルルル〜♬😭」なBGMで腰砕け。これ以降もここ一番でハイパー>>続きを読む

がんばれ!若大将(1975年製作の映画)

3.3

若大将を草刈正雄に交代しての新章開幕。イケメン優男で四方八方からモテてるけど、基本的には振り回されてヘラヘラ笑ってるだけで特に何が出来るわけでもないのが等身大な大学生っぽくて好印象。というか先代の加山>>続きを読む

セクシー・ドール 阿部定3世(1983年製作の映画)

3.3

人形みたいな顔した三東ルシア。かわいいねー。暴漢に襲われてピンチなところを、突如現れた謎のヤリマン・樫山洋子が救う。二人の出合いによって物語が動き出す……と掴みから期待値爆上がり。タイトルの出方も無駄>>続きを読む

グレムリン2/新種誕生(1990年製作の映画)

4.0

前作ガン無視なパロディてんこ盛りなのに、物語は破綻させないバランス感覚よ。ジョー・ダンテの高い映画スキルがひしひしと伝わってくる。ラストは画面いっぱいのKISS💋からのルーニー・テューンズのキャラに荒>>続きを読む

女王蜂(1978年製作の映画)

3.3

『獄門島』よりテキパキ進むけどやっぱり長い。中井貴恵の可愛さをもっと頑張って引き出してほしかった。初出演作から対抗馬が大女優トリオじゃ浮かばれん。あと伴淳三郎の危なっかしい台詞回しはちゃんとNG出せよ>>続きを読む

獄門島(1977年製作の映画)

3.0

一向に盛り上がらないダラダラ140分。編集で遊ぶ余裕があるならちゃんと物語と向き合ってくれ市川崑。名優の皆さんの無駄に濃ゆいお芝居はそういう出し物だと切り替えたらそれなりに楽しめる。目当ての坂口良子は>>続きを読む

帰ってきた若大将(1981年製作の映画)

3.3

加山雄三ラスト紅白お疲れ様でしたということで。田中邦衛のセクハラギャグが年齢的に生々しくてさすがにしんどいけど、坂口良子の可愛さでオールオッケー◎◎セーラー服ありビキニありのファッションショー状態。ス>>続きを読む

スレイヤーズ ぷれみあむ(2001年製作の映画)

3.0

スレイヤーズ初視聴。適当に手に取った一本だったけど、ファン向けOVAみたいな話なので入門編じゃなかった感が強い。タコを出しているのに触手プレイを全くしない硬派な姿勢にびびる。納谷悟朗・田の中勇が謎に登>>続きを読む

エレキの若大将(1965年製作の映画)

3.5

加山雄三ラスト紅白お疲れ様でしたということで。いつも通り万能の超人・若大将がひたすら人生をエンジョイする様を見せつけられる。泥酔して交通事故を起こしてもお咎めなし。ここまでヌルゲー展開だとエンタメとし>>続きを読む

新・13日の金曜日(1985年製作の映画)

3.3

舞台は森の中の精神病院。だからなのかなんなのか、全編通じて薄っすらとした瘴気が漂っている変な作品。キャラクターに気狂い多め。チョコで汚れた手で真っ白な洗濯物をベタベタ触るデブが特に良い。ジェイソン関係>>続きを読む

メトロポリス(2001年製作の映画)

4.0

再見。あー最高。レトロフューチャーな美術のオンパレードがとにかく眼福🪐🪐好事家は鼻血出して喜ぶんじゃないの。これを魅せるためかやたら引いた構図が多いのも清々しい。全カットが設定資料集として100点。巨>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

3.0

ピエール・エテックスはジャック・タチの亜種にあらず。古き良き時代のサーカスやサイレント映画への憧憬。一方で浮き彫りになる現実世界へのメランコリー。ラストなんて「成功しても欲しいものは手に入らないので死>>続きを読む

王になろうとした男(1975年製作の映画)

4.0

初ジョン・ヒューストン監督作品。『サルまん』的な、誇大妄想じみた野望に燃える漢二人のピカレスクロマン。物語のスケールのデカさに夢を感じるぜ。エキストラ総動員での異国情緒なアジア描写も素敵。ラストは一転>>続きを読む

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男(1983年製作の映画)

3.3

これと言った出来事は起こらないけど、見終わると何かを受け取った気になる不思議な一本。この飾り気のなさは幾多の映画を視聴してきた擦れっ枯らしの猛者達には特別に染みそう。

好きだったのは、ロシア帰りの男
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ポール・ニューマンの ハリー&サン(1984年製作の映画)

4.5

なんだこれ?!LOVEと開放感に満ち満ちてる💝💝『オレゴン大森林』的な人生の苦味が凝縮された激シブドラマを想定していたらノリが全く違うじゃないの。

病気で失業した頑固ヒネクレ親父のハリーと、定職に就
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メルビンとハワード(1980年製作の映画)

4.5

ジョナサン・デミは音楽好きの気の良い兄ちゃん。人生だもん、山あり谷ありだけど楽しんでいこうぜなIt's all right精神。メルビンは奥さんとくっついたり離れたり、破産したり一発当てたり、進歩があ>>続きを読む

ホンジークとマジェンカ(1980年製作の映画)

3.3

カレル・ゼマンの遺作。メルヘン節は健在ながら、全てのバランス調整が少しずつ狂ってきている。原作不在なのも大きそう。表現力の衰えがないだけに、老いて歯止めの効かなくなった映像詩人の脳内を直に覗いているよ>>続きを読む

キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!(1999年製作の映画)

3.3

キルスティン・ダンストとミシェル・ウィリアムズのおバカ女子高生二人組がウォーターゲート事件の鍵を握ってしまうコメディ。このあらすじの時点で勝ちが決まっているようなもんだな。「ウチら一生バカで生きてマス>>続きを読む

シンドバッドの冒険(1972年製作の映画)

4.5

久しぶりに再見。船乗りシンドバッドの与太話のような冒険の数々。ピンチがあっても適当に解決で次から次への数珠繋ぎ。この緩さが最高なんだ。何の心配もなく布団に潜り込んで寝る前の読み聞かせをせがんでいた幼少>>続きを読む

ダイ・ハード2(1990年製作の映画)

4.0

再見。『1』を屋台骨として支えた「現場で頑張ってるオヤジが世間を見返して大逆転!」なコンセプトは緩くなり、その分コッテリな味付けを増量。でも面白いから凄い。レニー・ハーリンは『2』として完璧な仕事を果>>続きを読む

ダイ・ハード(1988年製作の映画)

4.5

あらゆる要素が過不足無く噛み合ったあまりにも美しい傑作。

wikipediaに製作過程が書かれている。原作・企画に端を発して、脚本・キャスティング・演出・撮影と、全てのプロセスで当初のコンセプトから
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変態夫婦の過激愛/過激!! 変態夫婦(1988年製作の映画)

3.5

淡々と進む中に奇天烈な映像マジックを散りばめながら、奥底には人間への諦めを隠しているような。だらしない下心とデタラメな言い訳でくっついたり離れたりの人と人。それでも決定的な破滅を描かないのは、シャイな>>続きを読む

怪人マブゼ博士(1960年製作の映画)

3.3

謎めいた登場人物らがスピーディーに出たり消えたり。盲目の預言者、自殺未遂の人妻、怪しい保険屋。。外連味が過ぎてたまらん。江戸川乱歩の怪人二十面相かっちゅーの。1932年版は素直にスケールがデカい大活劇>>続きを読む

アフリカの光(1975年製作の映画)

3.0

ロマンポルノ以外の神代辰巳に今ひとつピンとこない病。日常からの脱出を夢見て結局どこにも行けない、いかにも70'sなシミったれた強がりとか最高なはずなのに。。

萩原健一への思い入れの無さもあるかもしれ
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顔役(1971年製作の映画)

3.0

勝新太郎監督デビュー。段取り臭さを排除した即興演技としっちゃかめっちゃかな編集でリアリティを追及。話はよくわからんし、後年の監督作のほうが全てにおいて洗練されているとは思いつつ、まあこれはこれで。>>続きを読む

桜の代紋(1973年製作の映画)

4.0

若山富三郎先生主演の明治座公演のような様相がしばらく続くのでこれはこれで好きながらやや胃もたれ。しかし護送中の石橋蓮司が襲撃されるあたりから実録物じみた刑事VSヤクザに急速旋回。三隅研次の流麗な演出の>>続きを読む