きゅうげんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.3

大躍進するダニエルズの長いほう監督作品。
馬と肛門性交して亡くなった事故(?)って、実際に2005年のワシントン州で起きているらしいですね。
そんな不名誉すぎる真相を隠そうとするバンドマンと、意味不明
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「とりかえ子」は欧州にみられる人間と妖精との嬰児の交換の伝説で、今日においては主に発達不全や障害などを説明するものとして理解されています。
日本の鬼子とか神隠しとかの民間伝承も、それに類するものでしょ
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CUTIE HONEY キューティーハニー(2003年製作の映画)

4.3

「デジタルコミックシネマ」と銘打った、意欲作にして異色作。
『ラブ&ポップ』『式日』と実写ドラマを経た庵野監督が、いよいよ特撮・CGを盛り込んだアクション路線に挑戦です。

カリカチュア度の高いキャラ
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ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.3

2001年『アンブレイカブル』
2017年『スプリット』
そして本作『ミスター・ガラス』
足かけ20年近くに及んだ3部作です。

“群れ”の次なる犯行と、ダン親子やケイシーなどの現況を説明する序盤から
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

4.2

仕事という虚構から逃げた男。
家族という現実から逃げた女。

エキセントリックな少女と中年の危機に陥る主人公の交流という“あるある”設定ですが、クールかつビビッドな画作りや、等身大で真摯な人物造形など
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サスペリア(2018年製作の映画)

4.0

アルジェントの『サスペリア』は、古典的なオカルトを衝撃的な美しさとグロテスクさで彩った、唯一無二の大傑作です。
そんなホラー界の逸品を、あのルカ・グァダニーノ監督がリメイク!?

テーマとしては、政治
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スプリット(2017年製作の映画)

3.7

M・ナイト・シャマラン監督!
 ×
ブラムハウス製作!

アニャ・テイラー=ジョイ!
 vs
ジェームズ・マカヴォイ!

「ビリー・ミリガンかっ!」と総ツッコミされそうな設定ですが、ソリッド・シチュエ
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ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

4.4

原作・村上龍×監督・庵野秀明。
短編集『トパーズ』が80‘sらしい即物的で退廃的な、まさしく“マテリアル・ガール”の性風俗産業を描いたのに対し、続編『ラブ&ポップ』は90‘sに入り、それらがコギャル文
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X エックス(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

A24が贈るヒルビリーホラーは、タイ・ウェストによる愛と欲望のエクスプロイテーション映画!
(タイトルの『X』とは、成人映画レーティング:Xからだそうで……)

不穏な交通事故やセーブポイントのガソリ
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

オーストラリアのタスマニア島で起こった銃乱射事件。その犯人がなぜ犯行に至ったかを描く、切なく悲しいドラマです。

つっけんどんだけど気にかけてくれる母、優しく真摯だけど小市民的な父、自由を尊重してくれ
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

現在もっとも現実味あるディストピア。
結婚式に乱入する暴徒化したデモ隊、混乱に乗じて犯罪に走る兵士、状況を利用し独裁政権を樹立する軍部……。
パーティに現れる暴徒の不穏な画や、個人的な出来事から大局的
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戦火の馬(2011年製作の映画)

3.8

君の愛馬が走り出し駆けて行く!
舞台でも有名なマイケル・モーパーゴ卿による児童文学作品を、スティーブン・スピルバーグが映像化。

エミリー・ワトソンやトム・ヒドルストン、ベネディクト・カンバーバッチや
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アンブレイカブル(2000年製作の映画)

3.9

スーパーヒーローとは何かをシャマランなりに撮った映画。
怪我も病気もせず大事故からも生還するブルース・ウィリスは、不老不死の超人なのか、天文学的な確率の偶然が重なった存在なのか。
『ワンパンマン』で言
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偉大なるアンバーソン家の人々(1942年製作の映画)

3.7

偉大なるオーソン・ウェルズの劇場公開第二作。
しかし制作会社RKOによって追加撮影や再編集(手掛けたのはロバート・ワイズ)がなされ、バーナード・ハーマンの音楽も削除、ウェルズ自身の意には沿わない結果と
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
ギレルモ・デル・トロのピノッキオ!

ディズニー版アニメが有名な『ピノッキオの冒険』ですが、そもそもはカルロ・コッローディによる新聞連載の児童文学。
原作の発表当
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

これ夢幻紳士の『脳交換クラブ』じゃね?

「月明かりの下で黒人の子供は青く見える」というのはこの作品の前年に公開された『ムーンライト』の戯曲版タイトル。
今作でも、クリスやロッドは基本的に青い服、対し
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品。
池塘春草の夢よろしく幼少〜青春期を懐古し、自らの創作の原点へ立ち返る映画賛歌……だと思いきや、過去作品への作家論的見方を一変させ、また映像制作のもつ恐ろし
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

現代ホラーの旗手、ジョーダン・ピール監督の最新作!
新世代のクリエイターとして「ぼくのかんがえたさいきょうの“接近遭遇”」を観せてくれるのか、と期待していたらそれ以上に映画愛あふれるものを目撃できまし
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復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

4.4

実際の連続殺人事件を素材とする背景や、映画化をめぐる製作トラブルなど、作品周辺のスキャンダラスさが目立つけど、内容のほうがもっともっともっと衝撃的な映画。

隠れキリシタンとしての漁村暮らしでも、別府
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天国と地獄(1963年製作の映画)

4.6

監督による民家破壊などエピソードが先行しがちなイメージですが、作品そのものもサスペンスフルでスリリングな大傑作エンタメ。

事件発生〜電話交渉に関わるドラマを描く権藤邸での密室劇の前半戦と、こだま号で
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

シュール&ナンセンス×カンフー+“家族愛”!
心の底から笑って泣ける大大大大大傑作です。
今年ベスト級どころか人生ベスト級かも!

「別宇宙の自分の能力を体得できる」というシステムゆえ、何かを成し得た
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ドラキュラ(1992年製作の映画)

4.2

フランシス・フォード・コッポラ監督が「ダーク・エロティック・ナイトメア」をテーマに再構築した『吸血鬼ドラキュラ』。

キアヌ&ウィノナのハーカー夫妻
 &
アンソニー・ホプキンスのヘルシング教授
 v
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ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

4.0

みんなだいすきヘルツォーク&キンスキー組が主演にブルーノ・ガンツを迎え、バンパイア映画の金字塔『吸血鬼ノスフェラトゥ』をリメイク。

表現主義時代の傑作である旧作の画的なクールさを受け継ぎつつ、70年
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フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年製作の映画)

3.8

海フランケンシュタインズ・モンスター!
 vs
山フランケンシュタインズ・モンスター!

なんでも『進撃の巨人』のインスパイア元らしいですね。
確かに巨人vs人間のシビアな作戦や、巨人vs巨人の泥臭い
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フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)(1965年製作の映画)

3.7

ネトフリ配信がタコ版だったとは。
トラウマを抱えた孤児という人間味ある悲痛な背景により、戦争や怪物を扱う映画としてツボをおさえたドラマとなっています。ただ、「各地の被害は怪人か怪獣か」というサスペンス
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

どうしても1930年版が名作すぎて身じろぎしますが、こちらも負けず劣らずの新たな傑作です。
冒頭の長回し撮影の突撃戦や、中盤の戦車・戦闘機・火炎放射器の塹壕蹂躙シーンなど、戦闘描写には『プライベート・
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.6

原作フィリップ・K・ディック!
監督スティーブン・スピルバーグ!
主演トム・クルーズ!
2050年代のアメリカでは、予知能力者の出現と技術の革新により予防警察活動が可能となっており、不穏分子とされた人
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ブルークリスマス(1978年製作の映画)

3.9

倉本聰×岡本喜八の東宝SF映画。
……!?
仲代達矢の演じる記者が「青い血」の噂を探る前半と、勝野洋の扮する若き軍人が国と愛とに葛藤する後半という、「接近遭遇による政治サスペンス」をテーマとした内容に
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エスパイ(1974年製作の映画)

3.4

“科学”的なサイキック・ブーム、お洒落なヨーロッパ感、小松左京らしいサスペンスフルなSF。アイちゃん+峰不二子みたいな由美かおると漢・藤岡弘、にカワイイ草刈正雄。
……いい時代ですね〜。

飛行機が墜
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マーターズ(2015年製作の映画)

3.5

トーチャーポルノ宗教映画の大怪作をリメイク。
「拷問という暴力的な手段によって、強制的に宗教的な昇天を再現する」というショッキングな設定はそのままですが、教科書的な起伏とオーソドックスなカタルシスでわ
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真・事故物件 本当に怖い住民たち(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

トンデモ・オカルトの雄トカナ製作映画第一弾。
人体バラバラ唐揚げ話から、ヒロイン達の痛快復讐エンドまで、随所でとても映画愛を感じさせる内容になっています。
そして本作の白眉は高クオリティなゴア描写。解
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箪笥<たんす>(2003年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

シュワちゃん復帰作『ラスト・スタンド』やリメイク版『人狼』のキム・ジウン監督が、韓国の古典的怪談を翻案したサイコ・ホラー。

視点人物が姉妹と後妻の間で偏らないため、“継母いじめ”もののハズなのに後妻
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ジェーン・カンピオン監督最新作。
ホモソーシャルな牧場のカウボーイと、嫁いできた共依存親子との、スリリングでショッキングな人間模様を描くドラマです。
意地悪で捻くれた牧場主と、健気だけど苦悩する後家さ
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フォーエバー・パージ(2021年製作の映画)

3.9

NFFAの復権、パージの再開。
そして合衆国は修羅の国へ……。
パージで繰り広げられる犯罪は大抵ヘイトクライムなので、そりゃまあ確かにブザーが鳴って「ハイおしまい」とはならないよね。

そんな黙示録U
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

老年に至ってからは、アメリカ的男らしさに対して自己批判する映画を作り続けてきたクリント・イーストウッド。
本作はタイトル通り、そんな監督がいよいよ「マッチョ」を正面から取り上げた物語になっています。
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パージ:エクスペリメント(2018年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

タイトル通り最初の“実験的パージ”を描いたエピソード・ゼロ。

シリーズお決まりの“夜の逃避行”場面で遭遇するバイオレンスに目新しさはなく、行政によるパージに乗じた“強制執行”もショッキングさは薄く、
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