ギレルモ・デル・トロ最大の功績は、十八世紀英国ゴシックの恐怖世界を現代社会にて再生産させた点でしょう。
本作は『フランケンシュタイン』であり『吸血鬼ドラキュラ』でもあります。ニューヨークはマンハッタン>>続きを読む
コーエン兄弟によるド王道西部劇の「新たな」傑作。
正直な所、兄弟の西部劇ではネットフリックで配信された『バスターのバラード』の方を先に観ていたため、「西部劇……を舞台とした捻ったブラック・コメディ、ア>>続きを読む
いつ観ても元気をもらえる、素晴らしい人間賛歌です。
緊張と緩和との絶妙な持続はリドリー・スコットのお家芸ですが、シリアスとコメディという異なるベクトルの振れ幅には脱帽しました。鎮静で深刻な場面でも悲観>>続きを読む
かの有名なゾディアック事件を追ったサスペンス、ミステリ、スリラー映画の新たな金字塔……でもありますが、そのゾディアック事件に人生を振り回された主人公三人の男たちによるドラマが見物です。
人には誰も「>>続きを読む
ルックの奇抜さが取っつき難さになってしまって損をしている作品ですが、紛うことなき「傑作」です。
本作は「医者であり夫のトミーとその妻のイジ―」と「イジ―の執筆している小説『ファウンテン』」と、その中>>続きを読む
ジェームズ・エルロイ原作にして、ラッセル・クロウとガイ・ピアースとの出世作。元は四部作のなかに位置する物語ですが、要素を取捨選択して映画として座りを良くしている形です。
冒頭の「仕事・不動産・娯楽、>>続きを読む
金と夢と陰謀が渦巻く、映画の都ハリウッドの中間管理職実録24時!
ジョシュ・ブローリン扮するマニックスは、コーエン兄弟作品の中でも最も「出来事に付き合わされる主人公」の一人だと思います。
兄弟の作品>>続きを読む
マーティン・スコセッシ×ロバート・デ・ニーロによる往年のサイコスリラーリメイク作品!
淀んだ水面にクレジットが現れオーケストレーションのBGMが背後に流れる冒頭から、ヒッチコックに代表される50~60>>続きを読む
今秋の新作公開を祝して『死霊館』シリーズを再走しています。
好事家なら誰もが知ってるウォーレン夫妻の数々の事件を題材に、ホラー・エンタメの新時代を築いたジェームズ・ワンが監督を務めた王道オカルト・ホラ>>続きを読む
どのシーンで一時停止しても美しい、季節移ろう新宿を切り取った写真のような映画で、近親相姦芸術としてはコクトーや三島にも比肩すると言える作品です。
工事現場や防波堤、ガードレールや手すりの上などを、高>>続きを読む
世界最高水準の英語辞典編纂の裏には、殺人を犯した精神異常者がいた!
というゴシップ精神に基づいたペラペラな作品ではなく、「学ぶということ」「仕事をするということ」そして「罪を贖う・許すということ」にス>>続きを読む
「広大な砂漠の中にある小さな辺境の町」という舞台そのものが、監督の述べるところであったイラク・アフガン以降の対テロ戦争の構図というアレゴリックで現実的な表現から、より高次な、不条理や恐怖、疑念や不条理>>続きを読む
忍者タートルズ、ストⅡ、マイケル・ジョーダン、ピクシーズ、スケートボート文化にヒップホップカルチャー。
4:3の画面にはフィルムの質感があり、90年代を思い出させるノスタルジックな気分を誘います(当時>>続きを読む
テレンス・マリックによる「逆ララランド」的恋愛ドラマ。
十八番の逆光からスタートし抽象度の高い詩的映像は多いものの、今作はテレンス・マリック作品の中でも比較的分かりやすい部類だと思います。
オースティ>>続きを読む
ガイ・リッチーの原点回帰的作品。
彼の作品の白眉は、騙し騙されのどんでん返し自体ではなく、そこに至る群像劇のすれ違いや偶然など、まさにドミノが倒れてゆくような展開の機微にあると思っています。
まずは>>続きを読む
テキサスとニューヨーク、富裕層とホワイトトラッシュ、保守派と進歩派、親と子、異性愛と同性愛から、より高次な現実と理想(=虚構・愛)との二項対立を描いた良作です。しかし、それを絶対視することなく例えば「>>続きを読む
ザックのザックによるザックのための映画。
この5年後に『マン・オブ・スティール』を撮り、現在に至るまでほとんどDCEU最高顧問的な監督であることを考えると、今作は“オタクくん”ザックの趣味全開バチェラ>>続きを読む
映画界一「やべーやつ」役が似合うゲイリー・オールドマンの原点的作品。
心身を狂気に蝕まれ衰弱し破滅へ向かうといえば『哀しみの街かど』や、ちょっと前に公開していた『カポネ』(こっちは梅毒)など、連想する>>続きを読む
オスカルくんは、動乱に振り回される自由都市ダンツィヒにおける一種の神と言えるのではないでしょうか。父親の判然としない特殊な出自にはじまり、ことあるごとに人の生死に立ち会う・関わる展開は意味深長でした。>>続きを読む
権力・汚職・財閥の腐りきった現状を打破するための破壊として暗殺が必要なのだと信じた若者の、エネルギッシュな暴走とその儚さを描く秀作です。
映画の主軸は血盟団事件に至る過程ですが、まくらの桜田門の変・紀>>続きを読む
原作小説のある作品ですが、イーストウッド監督の持つ作家性がしっかりと顕現していると言えます。
それはジミーやデイブ、レイやその友達、また彼らの周囲に関連する犯罪などの「許されざる罪」です。
例えば若い>>続きを読む
キューブリックが編集を誉めたというエピソードに繋がりますが、カメラワークが非常に印象的な作品でした。
全体として定点的なフィクスが多いのですが、画面内の演技と画面外の動線がカットを超えても一致しており>>続きを読む
今やアメコミ映画の一翼を担う程になったジェームズ・ガン監督によるアンチテーゼ的な作品。
ヒーローデビューあるあるを扱うアメコミ映画のお約束展開は、ジェームズ・ガン十八番のポップなノリでギャグなどを交え>>続きを読む
高橋ヨシキさんの言葉を借りれば「おバカ映画史に燦然と光り輝く」「脱力大作」。
製作総指揮を務めるのは『ハスラー 』『プレイボーイ』に比肩する成人向け雑誌『ペントハウス』の創業者であるボブ・グッチョーネ>>続きを読む
自分の性の問題に自分の家族の問題が絡んでくることほど、居心地の悪いものはないですね。
マイケル・ファスベンダー演じる主人公は確かにセックス依存症ですが、女性へ接する際はあくまで紳士的に振る舞っていま>>続きを読む
正直、「やったな」と言う印象です。
Qの鬱々とした流れはテレビアニメ版を彷彿とさせる陰惨さで個人的に非常に気に入っていましたが、今作は打って変わって生存者による第三村での牧歌的な生活から始まります。>>続きを読む
吹越満&でんでんは正直言って今作がベストアクトではないでしょうか、と言いたくなるほどの怪作(快作)です。
今時の日本映画では珍しい、ここまでの凄惨たるゴア表現は、やはり高橋ヨシキのエッセンスなのでしょ>>続きを読む
ミュージカル映画というものは映画の黎明期からありますが、なかでも60年代は『サウンド・オブ・ミュージック』や『ウエスト・サイド物語』などの名作が作られた時代です。そんな中で異彩を放つのがこの『シェルブ>>続きを読む
ハンサムな諜報員が世界を飛び回り、派手な大立ち回りや突飛な発想で問題を解決するような事はなく、9.11以降の対テロ諜報活動をリアリスティックに描くジョン・ル・カレらしいスパイ作品です(実際グアンタナモ>>続きを読む
同系統の映画・ゲームが最近多くて「オチ読めちゃうから純粋に楽しめないかも」と思いつつ、スコセッシとディカプリオとの名前に釣られて鑑賞しました。
まず気づくのは、スコセッシ調の編集傾向や音楽のチョイ>>続きを読む
トム・クルーズ印の爽やかさ、70~80年代の能天気な明るさ、スコセッシ風のノリノリ編集など全体的にポップな雰囲気の流れるコメディタッチな作品ですが、麻薬戦争を扱う実話もの。
メデジン・カルテルやニカラ>>続きを読む
ストーリーとしては「ユングとフロイトが出会ってから決別するまで」の話をユング・フロイト・ザビーナの三本軸で描いており、劇的な起伏・クライマックスやクローネンバーグ調の猟奇的エログロなどはありません。>>続きを読む
‘00~‘10年代当時に流行したPOVもの・ファウンドフッテージものの一つの到達点にして、監督デヴィッド・エアーの初期LAギャングものの集大成と言える作品です。
この映画の妙は、多くを語らずとも説明を>>続きを読む
風呂敷を広げすぎて収拾のつかなくなるハリウッド映画はよくありますが、『WW84』は風呂敷を広げ終えないうちにあっちこっちが溢れ出ちゃった感じがあります。
ショッピングモールでのコメディタッチな戦闘の演>>続きを読む
ストップモーション、画面分割、小気味良いリズム感などサンプリング精神が古臭く感じられないのは、やはりダニー・ボイルの意匠だからこそでしょう。
20年経ってマークはエディンバラへ帰って来たわけですが、病>>続きを読む
くすんだ50年代の街角を背景に『No Other Love』が静かに流れる予告編にやられて、クリスマス前に観てしまいました。
多くを語らない、細やかな演出が光る作品です。
冒頭のデパートのシーン、キョ>>続きを読む