二人は目に見えた生き辛さがあったが、みなそれぞれ大なり小なりの苦しみを抱えて生きている。ただその辛さの大きさは他人から評価されるものでもなく、自分が努めて向き合うものであり、しかし、他人だとしても誰か>>続きを読む
素晴らしかった。
エリセのキャリアに対するセルフオマージュも含みながら、それに並行してアナ・トレントの眼差しは変わらない。
ここでも少女の眼差しは無垢でありながら、全てを看破したかのようなもので、かつ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
人間存在のちっぽけさ、その限界をシリアスにまざまざと見せつける。
往々にしてある「神の沈黙」というテーマ。
果たして我々がすがる神という存在は絶対的なのか。転じてその不在すら思い込む。
神が介在せぬよ>>続きを読む
スケールが桁違い。
映像が素晴らしい。40年以上の隔絶を感じさせないほどに美麗でスタイリッシュなカメラ。あらゆるシーンが印象的。
カーマイン・コッポラの劇伴も見事。
ベトナム戦争に対する否定は往々に>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
どこまでも続いているかと錯覚するような抜けた映像美。
そしてやっぱり脚本が見事だし、神の存在が相当効いている。物語の中心に置かないながらも、その按配が完璧。我々でさえ彼女に対してのシンパシーを抱く構造>>続きを読む
プロット練られてるなと思いつつも、やっぱ9人は多いんじゃないか笑。
前半も後半も少しずつ冗長にも。
でもラストの締め方は良かった。実に映画的な構成である。
後半の各人の諦観帯びながらも漂うダンディズム>>続きを読む
不謹慎ながら、シニカルさが覆い、めちゃくちゃ笑える。
超絶的なモノローグ、丁々発止の会話劇が面白すぎる。
3人ともタブーを犯しているが故にエクスキューズがなく、だからこそ突き抜けた風刺が効く。
弁護>>続きを読む
いきなり家族多数を葬り去るオープニングが最高すぎる笑。
ショットの引力。
どのタームも面白いし、軽妙洒脱とはこのこと。
映像の力は勿論だが、ナレーションのセンスが見事。
それ故の冗長さも感じつつ、逆立>>続きを読む
大きく揺れ動く情動を繊細かつ静謐にここまで丁寧に描き切るとは感嘆である。
細かな演出が光り、ラストの感情の発露に向けての積み重ねが実に素晴らしい。
ラストのモンタージュが美しい。
関係のない人々が>>続きを読む
ケイト・ブランシェットの憑依っぷりが清々しくもある没落劇。
その表情のクローズアップはとても説得的である。
天才的な能力と相反する人間としての未熟さのコントラストの描き方が巧み。
圧倒的な才能があるが>>続きを読む
クローズアップされた表情の説得力が凄まじい。モノローグ以上に雄弁な映像。
信仰と救済と犠牲。
司祭に寄り添うかのように抑制的かつ禁欲的なスタイル。
ムラ社会的な部分は海外でも同様で、その排他性は心身>>続きを読む
なんだかんだで見逃してたので、IMAXのリバイバルのタイミングで追いつこうと。
映像の凄まじさで充分満足で、あらゆるスケールの大きさに圧倒される。
戦闘シーンの迫力が圧巻だったので、次作にさらに期待を>>続きを読む
あらゆる形容を許さぬようなエンディング。
形あるものの崩壊。
記録の絶対性の否定。
相対的に人間の営為は確からしくなる。
それは往々にして記憶と対極にされながらも、ここでは人間の行為としての両者の限界>>続きを読む
広大な更地はもちろん悲壮感を纏いながらも、生身の人々を見ればそこには確かに前向きなささやかな希望たるものが存在することを感じる。
番組を卒業する時の姿はその期間のその地での積み重ねを感じさせるものであ>>続きを読む
めちゃくちゃホウ・シャオシェンっぽいし、やっぱりセンスあるなと。夕張の映し方なんて舌を巻く。大雪で、寒々しい雪景色をあそこまで美しく撮ってしまうとある種死などネガティヴなものへと接近してしまう危うささ>>続きを読む
パリのお洒落な街や人々による映像はスタイリッシュでありながら、描かれるものはどこの都市にも見られるような普遍性を持つ。
シニカルに軽いタッチで人々を捉えて、人間の生々しく毒々しくもある側面をファニーに>>続きを読む
映画人の矜持を感じさせるラストシーンは最高。ジョン・フォードの使い方が見事。
自伝的でありながら、ヒューマンドラマ的な側面に魅力を感じさせる。
過去への憧憬を感じながらも、それでいて現実の過酷さを等身>>続きを読む
ノスタルジアと通ずるものも感じる。
とはいえ、セリフ量は増えた印象でその内容はより具体的である。それがまたこの作品が持つ意味合いを複雑にするため、なかなかハードな鑑賞だった。
戦争に対するネガティブな>>続きを読む
やっぱり溝口っぽいなと思いながら観ていた。特に祭日のパートは雨月のようで。
はたまた黒澤の時代劇のような壮大さも凄まじく、そのスケールに圧倒される。
タルコフスキーのモノクロの美しさは抜きん出ている。>>続きを読む
ジョン・ウィリアムズの劇伴が素晴らしい。恐ろしさを帯びた劇場的な展開を確固たるものにする。
この現実か幻影か分からぬ錯覚を主人公と共にしながら、周りの人物を使い第三者的視点を強調する。それゆえストー>>続きを読む
イーストウッドのとても色合いが強い。抑制的ながら派手な映像、アメリカ的マッチョイズムもここでも垣間見える。
後者は自分には苦手なところなのだが、ストーリーのあざとさをここでも感じてしまう。
とはいえ、>>続きを読む
儚くも辛い、親友さえ超えた唯一無二の存在。
友人と一口に言ってもその存在をどう捉え、どう付き合うかなんて千差万別でありながら、それが人生をあらゆる方向に引っ張りうる。はたまた自分がそんな存在になるかも>>続きを読む
中島歩がハマり役。好きすぎた。
もうずっとこういうやついるよなっていう感じが笑えて、シンパシーも感じながら楽しめた。
会話劇がいちいちしょうもなく、くだらなく、人間臭くて最高。
たとえ話が秀逸でよか>>続きを読む
凄いだらだらするじゃん、やっぱりフェリーニだなと思いながら観てた。
全体で納得させてくる。
ジュリエッタ・マシーナがあまり好みではなかったのだが、この作品の彼女を観てびっくりするほど惹きつけられた。>>続きを読む
カオスとコスモスをコントロールする離れ業。
映画の根源的な可能性と魅力を存分に享受できるような他に類を見ない圧倒的な傑作。
ラストシーンのカタルシスは唯一無二である。
監督の苦悩を視覚的に共有した我>>続きを読む
終わりのあるはずのモラトリアムを引き伸ばし続ける彼らの様は異なる立場から見れば、羨ましく眩しくもある。しかし、必ずしも誰もが通るべき道かと言えば、寧ろ違う。
外からメタ的に俯瞰した時、それはこの作品自>>続きを読む
圧巻のクライマックス。この嫌な感じを増幅させる絶妙なテイスト、シャブロル作品の醍醐味の一つであろう。
中盤からの畳み掛けるその勢いはこちらのことなどつゆも知らずといったところで、ある種の力業でもありな>>続きを読む
イザベル・ユペール凄いなあ。
マリー、母としては救いようもなく最悪なんだが、妻や女性の現実は苛烈なもので彼女の行為を絶対悪として断罪することは不可能である。社会が彼女たちを取り残したことも一つの側面で>>続きを読む
意地悪いほどの強烈なシニシズム。
一度彼らの関係性がひっくり返った様は恐ろしくも、どこかそのリセットはスカッとしている。この洒脱さはシャブロル流石。
資本主義的な現実を否定するかのような彼女たちの行動>>続きを読む
途中までは昔のアメリカによくあるメロドラマじゃないかと見紛うていたが、後半が凄過ぎた。
ラストはあんまり好みではないが、それを差し引いても実にアイロニカルで圧巻。
男女の関係や人間の醜悪さを描きながら>>続きを読む
サクッと見れた。前作よりあっという間だった印象。
そこまでごちゃごちゃしてないし、結局はストーリーは簡潔でもあり。ユーモアセンスも前作より良かった。
エンタメとしてお見事なバランスで、テンポ感も良くな>>続きを読む
マブリーの容赦ない強さに見惚れながらも、ヤクザたちの抗争の様もなかなか面白い。
韓国人の名前覚えづらいし、顔似てるから大変だったけど、乱闘に次ぐ乱闘は見応え十分だった。
警察内部の権力関係、部下の存在>>続きを読む
途轍もなく残酷。
冷たく突き放す様に救いがない。
明子の転落劇は心痛するものである。不良とつるむことは彼女が選んだことであるが、妊娠という予期せぬ出来事によって全ての歯車が別々に勝手に動き始める。>>続きを読む
主人公の転換を利用してうまく描いている。
ダメ男が英雄になるというある種の都合の良さもあるが、そうしたあざとさを自然に見せてしまうソン・ガンホ。彼の演じる人物はソン・ガンホでありながら、ソン・ガンホと>>続きを読む
リヴ・ウルマンの目力と表情。
カサヴェテス諸作に通ずるような不穏さと直情的な演出がハラハラする。
その通りのように前半と後半の落差が凄まじく、特に終盤の鬱積した感情が溢れ出す様には圧倒される。
その点>>続きを読む
美しい映像と音楽、そして生々しい男女の直情な様。特にそのモンタージュが美しく、永遠性を感じさせながら、一方で時間の残酷さもハッと気づかせる全体。
ラストのシークエンスが素晴らしかった。
色恋のやるせな>>続きを読む