このレビューはネタバレを含みます
どこまでも続いているかと錯覚するような抜けた映像美。
そしてやっぱり脚本が見事だし、神の存在が相当効いている。物語の中心に置かないながらも、その按配が完璧。我々でさえ彼女に対してのシンパシーを抱く構造は、やっと齎された福音が呆気なくあっさり否定される、神と結びつきながらその対極にある現実を強調する。
ハッピーエンディングと思わせながら、人間が持つ残虐性をまざまざと見せつける。圧巻の終盤である。
ペシミズムを垣間見せたあとの黒い涙が混ざりながら純然たる笑み。これを撮るためにそれまでがあったかと思うほどの名シーン。
ジュリエッタ・マシーナだからこその役だし、フェリーニこそ撮れるのだと。