国境、性差、美醜における価値観まで、あらゆるボーダーに隔てられる“普通”の社会から疎外され、虐げられし者たちの孤独や哀しみ、そして怒りのメタファーを異形なる存在の強烈なヴィジュアルに見せつける。カンヌ>>続きを読む
夜空に燦然と輝く星々の美しさ。光だ。光が我々の傷ついた心を癒し、未来に希望をつなげる。
絶望の淵に舞い降りたスターマン。亡き夫の“亡霊”は、死への逃避行に愛を宿す。人生に再び光を灯す。喪失を埋める未>>続きを読む
私的映画史におけるマイルストーン。まさにレンズを通して世界の見え方が変わる。映画観はもとより人生観をも変えてしまう革命的映画体験。一歩間違えば、“世界の真実”に目醒めた陰謀論者の妄言にも受け取られかね>>続きを読む
人は真実を前に沈黙する──。
まさしく息を呑む。一切の言葉を失うほどの残酷な運命をたどる物語において、やがて愛と憎しみの相克に決着をつける母性への信仰は、ヴィルヌーヴの一貫した女性性への眼差しでもあ>>続きを読む
静けさに揺れる木漏れ日の柔らかな光。視覚と聴覚、そして触覚に訴えるカメラのテクスチャー。肌の温もり、吐息、ささやき声を伝えるクローズアップに、“透明人間”のビタースウィートなロマンティックは、まるで製>>続きを読む
顔をしかめたくなるほどの男性嫌悪。反復されるセックスのイメージ。中と外を隔てる扉の攻防。嫌というほど強調される穴と、グロテスクなタンポポの隠喩表現。極彩色にあふれる映像美への陶酔に、挿し込まれる辛辣な>>続きを読む
『愛、アムール』からの繋がりを思わせる老父の“秘密”。タイトルの皮肉、そしてラストシーンの意地悪なこと。ハネケらしい不穏な長回しに、フィックスのロングショットは残酷を映す。暴力的なスマホカメラの縦画面>>続きを読む
未来型チャッキーにまさかのアイ,ロボットを彷彿とする、アンドロイドの反乱を描く。オカルトホラーをSFに変えうるテクノロジーの進化に戦々恐々とするばかり。
アレクサ、テレビの電源を消して。
過去または遠い未来を夢見る彼の過ちと、現在のつまり現実を生きる彼女の悲しみと。ブラーのベスト盤に導かれし二人の恋の始まりと終わりと、それから──。
ブリティッシュ版『(500)日のサマー』、あるいはジ>>続きを読む
多様性の尊重はなにも男らしさ、女らしさへの憧れや、父親、母親それぞれの役割を否定するものではない。その上で、カラフルに彩られた様々な愛の形。“ごちゃまぜ家族”に結ばれる絆の尊さに胸いっぱいのロマンティ>>続きを読む
ジャーロ的な主観ショットにBGMは80's風、アルジェント味を感じなくもない世界観より清々しいほどのゴアとバカに振り切っていくサタニズムコメディ。レッツ、ピッツァパーリィ!
悪魔の都にて交差する人間の滑稽、愛すべき女女たちの憂いを編集室という遊び場からカチャカチャと、人生の暇つぶしに興ずるかのごとく眺め惚けるゴダールのやはり別格の視座。愛は、人生はといった大きすぎる主語に>>続きを読む
天空を見つめるカメラ。地上を離れる旅客機。浮遊するギターの調べは嘆き、虚空にささやく音楽と言葉──。例によって、リタ・ミツコのレコーディングをぶつ切りに、意味ありげに、つまり意味のない自問を織り成す物>>続きを読む
招かねざる放蕩息子の帰還。死神、またはデッドマンの哀感あふれるティム・ロスの冷たいまなざし。ビスタサイズの絵画的な構図に、ロングショット、ズームアップを多用する映画的なカメラワークの陶酔。弱冠24歳の>>続きを読む
デパルマの流麗でアクロバティックなカメラワークが踊るように、パチーノの小粋なモノローグには哀愁のブルースを奏で、裏社会の仁義とその栄枯盛衰をスタイリッシュに、そしてロマンチックに彩る。パラダイスの夕暮>>続きを読む
パチーノ×デニーロの二大スター共演。
街の臭気に銃の火薬が煙る。男の美学がむんむんに立ちこめる──あるいは至高のホモソーシャルに巻き込まれる女たちの悲劇。そんな黒い磁場に引き寄せられる少女時代のナタリ>>続きを読む
ボサボサ頭のグランジなウィノナが超チャーミングな、90'sノスタルジーへの耽溺。
誰もが抱える“あの頃”の、忘れられない悲しき恋の思い出にさようならを。
ドウェイン・ジョンソンつながりでハムナプトラや、さらにはインディー的なアドベンチャーへと節操なく世界観を広げる続編らしい続編の悪癖。
なお、ブレックファスト・クラブ的関係性のその後に陳腐な永遠の友情を>>続きを読む
『摩天楼はバラ色に』に続き、等身大の心優しき好青年を我らがマイケル・J・フォックスが快演するロマコメの王道。愛かお金か、そんな二項対立とアメリカンドリームがまだまだフィクションに機能するノスタルジック>>続きを読む
心臓発作で死にかけたケヴィン・スミスが、盛大な同窓会にてもはや開き直った自虐ネタを繰り広げる、リブートあるいは続編的メタフィクション。そして『コンビニ・ウォーズ』に続く家族映画でもある。あの永遠のバカ>>続きを読む
意見の違う者を敵とみなし、叩きのめすことで愉悦に浸る。熟議することなく論破することが正義となった時代。水面下では野心と自己保身に走る政治家や、倫理観の狂ったロビイストの暗躍に民主主義は“腐敗”している>>続きを読む
一切の見返りを求めない、無償の愛。言葉を介さずとも通じ合う想い。これほどの純粋な喜びと、そして悲しみを果たして知り得たか。命の儚さを、よって人生の豊かさを。犬を飼うことでしか得られなかった、学び多き幸>>続きを読む
高所かつ閉所の密室に、一度乗り込めば宙吊りのまま命を預けざるを得ない、生活に密着した最も身近なソリッド・シチュエーション、エレベーターの恐怖に苛まれる日々である。
原案、製作にM・ナイト・シャマラン>>続きを読む
傍観者でなく観察者であれ。
互いに影響し合う社会的動物の一員として、未知の世界に身を預けてこその学び、気づき。その自己発見に意味がある。
ニューヨークはマンハッタン島のアッパーイーストサイドにおける>>続きを読む
今日、この時が終わって
酔いが覚めたあとも
君はセラピーに行き
僕は友達に会う
そんなことを続けたい
人生は長いし
なんだってできる
恋人たちの刹那の永遠。
モラトリアムの終わり。
手作りのミックステープ(CD-R)に想いを託す、幼くナイーブすぎたロマンチストの憂鬱。今を生きれず、過去を生きなおす。
孤独を自由と。何もしないことをしている、人生のムダを生きていると強がる。下手な>>続きを読む
ライドアトラクションとしてのホラーの名手という先入観それ自体が巧みなミスディレクションとして機能。ジェームズ・ワンがさらなる新機軸を打ち出す。様々な古典よりベタを貼り合わせた先に、思ってもみない仰天の>>続きを読む
オリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」に昇華される負け犬人生のカタルシス。
僕らの孤独と抑うつの日々にひとときの解放を与えてくれる音楽とエクササイズ、そして友よ。彼らと眺める夕陽の絶景よ──そ>>続きを読む
洗脳、管理社会への警鐘。ユートピアとはつまり常に誰かにとってのディストピアであることを教えるSF的ギミックに、伏線回収の妙。
愚かな人間性を憎み、楽園を夢見て空ばかり眺めていた少年時代のきみにも見せ>>続きを読む
奪い奪われの残酷でシンプルなこの世の中で、生きることに意味を求め、しちめんどうな御託を並べ立て逡巡する男の子の永遠にも続く苦しみ。過去に十字架を背負い、未来に絶望を募らせる煉獄で、ただひとり母の残した>>続きを読む
あの『ジェーン・ドウの解剖』のアンドレ・ウーヴレダル監督作。
北欧はノルウェーの地に物語る、雷神“ソー”のオリジン。クローズアップに怒りと悲しみの暴走を捉えれば、切ない愛の逃避行にアンチヒーローの爆誕>>続きを読む
『スーパー!』を思い起こすポップグロテスク。見下げられたポンコツ軍団の特攻大作戦がガンの露悪趣味と相性抜群であることは言わずもがな、ハーレイ・クインの気狂いピエロとしての魅力を最大限に発揮させる手腕も>>続きを読む
『SPUN スパン』のヨナス・アカーランド監督作。
悪魔的な轟音に差し込まれるサブリミナル的パラノイド。自殺に他殺、生と死のグロテスクを煽る。セックス描写はまだしも殺傷シーンにモザイクがかかるなんても>>続きを読む
デジタルネイティブの情報処理能力に圧倒される。呼応するように膨大な情報量より二転三転するストーリー、伏線回収までも見事な上質サスペンスを展開する。
発明的な前作より質、量ともにさらなるバージョンアップ>>続きを読む
人生最悪の一日を経て、今日という人生最良の一日を迎える。そのすべてを愛おしく、誇らしく思う。共に生きる、そして共に生きたすべての人との思い出に。乾杯!
このレビューはネタバレを含みます
キッズムービー的なほのぼのサプライズを期待しては、まさかの胸糞ホラーへのツイストに驚く。暗黒版ホームアローン。
『ヴィジット』の姉弟、オリビア・デヨング&エド・オクセンボールドの再共演も嬉しい。