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デューン 砂の惑星PART2のefnのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.6
 序盤の砂丘を登る際の等速運動でそのまま宙に浮いて岩山に達する奴と砂虫に飛び乗る際のワンテイクが好き。砂で画面が埋まるからショットのつなぎが自然だった。あと崖から落ちてくる死体もよかったな。着地点を誤魔化さずに地面にバチバチぶつけてた。流石に始点から終点までは撮らなかった、というかそういう映画ではないからしょうがない。
 ただ所々に見所のある画面はあるけれど、すぐに切ってしまうので構図を確かめる余裕がない。なので評価しようがない。70mmだフィルムだと宣伝しても細部を観る余裕を与えなければ意味がないと思うのだけれど...…。
 脚本は普通。死を伴う通過儀礼や狂信化といった個々の要素は興味深いが、どれも内輪もめの域を出ていない。SFとして面白い現象が怒っても、それに対して怒ったり泣いたりするだけで終わってしまう。この主題で男女の関係とか仲間とか必要なんですか?(演説で下々が歓声を上げる場面なんかはマトリックスを思い出させるね...。)
 あとこれ砂の惑星を原作にする意味はあったんだろうか。オレンジカトリック聖書に関係した設定や思想を削ってありふれた騎士道物語でまとめるなら、SWと何ら変わらない。三大宗教を統合する、という設定が現代では受け入れ難いのはわかるが、ならアラビアのロレンスのベトウィンのように砂漠と共に在る感じをだせばよかったのではないか。本作のフレメンは御伽話の域を出ていない。というか取り巻きがやってることは中東の原理主義と同じだし、この映画で興奮するのは良くないことなのでは?
 男の子が好きな決闘とか通過儀礼とか未来予知とか波乗り(砂乗り?)がたくさん出てくるから人気がある理由はわかる。が、特別優れている理由でもない。微妙。
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