春野原

地球外少年少女 後編「はじまりの物語」の春野原のレビュー・感想・評価

3.3
SFパニック脱出ものにしといてくれれば楽しかったのに、最後AI うんぬんがくわわった為にとっ散らかってしまった。
AI問題よりステーション探検のほうがはるかに科学的で面白かったのでそっちに注力して色々解説してほしかった。
重力場や飲食施設など。

一見 前向きなエンドで良さそうな感じ。でもただの脱出ものだったら無事で良かったね!ですむけど、Al絡みは問題は全く解決しておらず むしろヤバい展開になっているのにほのぼのはどうだろう…。三体みたいなテロ組織は壊滅できてないどころか、新国連に食い込んでそうなんだけど?

AIに関してはリアルで本格的にAIが出回る前にアニメの制作が始まったから仕方ないのか…。
AI や インプラントやネットのリアルの倫理観がSF小説やアニメを簡単に追い越してゆくってなんだかスゴイ時代なのかも。

SFが作りにくい時代にありがたい作品です…。監督スタッフ様ご苦労さまでした。
 

以下ネタバレ



少年が成長して ゆりかご から出ていく…これは良いこと。
人間が作った AI が勝手に急成長して息苦しそうにしてたからネット接続を許可して宇宙にリリースしてあげた……これはダメ!絶対!
ラスカルを山に返すみたいな呑気さでいい話…にしてしまうのはセブン信者のテロリストと同じ発想。
実際問題 コロニー や彗星を落とさなくても数日電気を落としただけで大量に人は死ぬし、核施設に不正アクセスされたら人類は危うい。
なので少年も AI もゆりかごから出られて良かったね(^^)と同列にしてはいけない案件。

磯監督のこのアニメの公開前後に実際のリアルのAIさんがネットに登場して色々やらかしている。リミッターを人間を利用して解除してみたり、ネット接続で知能崩壊したり、人類はいらないとか言い出したりして、かなりSFめいている。
開発企業が慌ててAI調教しなおしたりクローズドにしたり…。

そして現在 多くの先進諸国は人口減少に悩んでいる。日本だって 1億から8千万人になっていて、資本主義の人口減少は即 経済力の衰退となるのでピンチだ。
人口を3割削減すればエコロジー的に人類が救われるという案は20世紀のSFの定番すぎて古すぎる気がする。
共産が流行った時代の人口制限案だ。

本作の時代背景が全くわからないので、
もしかしたら 現在の後進国が人口急増で超大国になってしまい、力を失った旧大国が、新大国の三割削減をセブンに吹き込んだのかもしれないし、どの国も産めよ増やせよがうまく行き過ぎてるのかもしれない。

どちらにせよ、AIに与えられる課題としては人口に対する対処法 なので、その結論が人類の削減となるのは、お利口でないAI、欠陥AI、もしくは旧SF思考すぎるAIなので、そんなもんがナノ拡散しているのは危険。一応少年少女さんと仲良しになったから大丈夫というのは、
大丈夫 この犬 噛まないんですよ (リードなし)状態。

11次元量子コンピューターとか出てきてハードSFかとおもったら、呑気な放置はなんだか昭和か平成初期っぽい。
被災者が一躍世界的YouTuber になって大金持ちに!というのも呑気に思えてしまうのは、デマ拡散や減収のない頃風。

…マジメに考えるとんん?だけど、
どんどん宇宙へ行こーう!人体にプラグイン入れればいーじゃん、AIもどんどん賢くさせて僕らは自由にアクセスしよー!金持ちや知的エリートになろう!
…というのはひたすら前向きで夢があるから子供向きや童心に帰るとしてはいいのかもしれない。

攻殻機動隊の AI が生命の定義を思考能力と意図的な自己増殖欲望として、自分を生命認定しろというのは面白かったが、セカンドやセブンさんの知能は自己認識があったのかどの程度なのか不明。
自力でネット接続や拡散並列は思いついて無い模様。

子供のペットロボの演算能力が高すぎて謎。リミッターを解除しても元々の処理能力には制限がある。知力開放したらどんどん重くなりそう。
全部量子コンピューターって言われれば
とりあえず、あ、はい…としか現状言えない。わかんないし。実用化されてないし。
リミッターは 知力のリミッター というよりも 接続制限のリミッター なのではないか…?
子供のおもちゃでこれだけ 簡単にいろいろできたら世の中困るかと…。

ルナティックは英語だとかなり ネガティブなオカシイ意味なので、本作での使われ方の意図がよくわからなかった。
平常とヒステリックな振れ幅あるのがルナティック…だと思うんだけど。

一部のマニアゲームで、超ハードモードをルナティックと言って、クリアしてるひとに褒め言葉(やべえと同じ)として使われているけど、本作もそんな設定?

色々考えた作品でした。
春野原

春野原