Moomin

やがて海へと届くのMoominのレビュー・感想・評価

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
4.4
死を抱えて生きる

内気な真奈 打ち解けて親友となるすみれ
持ちつ持たれつの関係が、やがて離れ離れに
二人の女性が織りなす物語
二人の内に秘める思いが映像で表現される

何も明かされぬまま物語の前半は過ぎる
刻々と人物の設定が日常と過去とを使って描かれる 大きな転機もない
後半で物語の雰囲気がガラッと変わる

東日本大震災を元にしたお話
生きていることが当たり前ではないと
大切な人が近くにいることが当たり前ではないと
観ていると『くれなずめ』や『ワンダフルライフ』を彷彿とさせる

個人的に歳を取るって死を抱えて生きることだ思っていて
それは親しい人から、日々流れる痛ましい事件の被害者、ドキュメンタリーで見る余命を抱え生きる人、勉強して知る歴史上の人物や日々絶えない世界の紛争で死んでいく者達
そんな人たちの死を知って何となく思いながら生きていくこと 特にHSP気質の自分にとってはより強い
それが大人になることだと勝手に思ってて
この映画は死を抱えた人に向けて、色々な立場の人を肯定してくれていた
誰かが死んだら涙で済むとかじゃなくて、人間はこうやって歩んでいくものだと
人それぞれ歩み方も歩むペースも違うけどそれでいい
そんなことを思わせてくれたパッケージのシーン 岸井ゆきの演じる真奈の表情がなんとも

広告で「秘密」と謳うほどそういう要素が大切ではなくて ただすみれ目線の話がとても繊細で 真奈の物語をより深いものにしていった
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