正直言うとあんまり観たくなかった。
でも"大人"だし、ノーランファンだし…
感想が2つに分かれました。
<映画としての感想>
オッペンハイマーがいかにして原爆を作ったか経緯を時系列組み替えし、早口で見せる。
細かな台詞は小説を読むように噛み砕きながら頭に入れていく。
わからなくても対立関係やグループはわかるのでそれに沿って観る。
ノーランのインパクトを感じたのはやはり、"トリニティ実験"だ。
あのリアリティ。
つんざく音と迫力。
そこからオッペンハイマーの心の変化が起こってくる。
いろんな立場の人間達が自分の立ち位置を表現していくところが興味深い。
ただ、悪者らしく描かれていたロバートダウニーJr.があまりにもお手軽な悪者に描かれていて興醒め。
あとフローレンス・ピューの取ってつけたようなファムファタルぶり。
こんな中途半端な掘り下げならしなくてもいいんじゃない?
あまりにも記号的すぎる…。
エンタメなら良いんだろうけど。
少し萎えました。
<個人的な感情>
たびたび挟まれる原子や爆発の💥映像…
この爆発や粒子の奥に人間が焼かれる姿が見えて耐えきれなかった。
『広島』を見た事がある私はその向こうに何十万人もの人々が酷い目にあった事を忘れられなくて涙が止まらなかった。
そして繰り返される、責任転嫁。
オッペンハイマーだけで無い責任の押し付け合いには気分が悪くなりました。
<総括>
ノーラン映画でした。
そしてオッペンハイマーの伝記。
デリケートな問題をあえて感情的に描かないし、経緯を冷静に描いているのは良かった。
日本人としては"感情"が先に立ってしまいますが、『核』というものをまっこうからきちんと"描こうとした事"(描けているかはわからない…)に意義があるのではないかなと思いました。
この映画に描かれているすべてを理解したわけではないのでスコアなしにしたいと思います。