『オッペンハイマー』を観る前にこの作品を…
デヴィッド・ボウイによる軽快なポップスが流れ、リタイヤした老夫婦の日常がスタートします。
レイモンド・ブリッグスらしい優しいタッチ。
全編アニメーションで通すのかと思いきや、時たま実写が挟まれるので老夫婦がアニメの人物ではなく、実際の人物に見えてきて立体感がある。
そしてまた挟まれる"スケッチ"により、2人の幸せな時も映し出す。
観ながら、「違うよ、違うよ」
「早く、早く」
と思わずにはいられなかった。
無知だし、あくまでも自分達の生活を曲げない態度にはイライラするし、考えて行動しようとしない人任せな態度にも疑問ある。
だが途中から夫婦はだれも助けてくれない事を知りながら必死にお互いを"励ます"為に演技をしていたのだろう。
今まで苦楽を共にした"夫婦愛“
無知だから、上手く立ち回れなかったから、死んでもいいんでしょうか?
そういう無知だが"普通の人々"の生活、命を奪ってしまう"核兵器”は本当に恐ろしいし、戦争の虚しさを教えられた。
エンドロールには夫婦愛を包み込むようにデヴィッド・ボウイが優しく唄い、寄り添う…
優しくも虚しい反戦映画でした。