ふわふわ

悪は存在しないのふわふわのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
初・濱口竜介監督作品
自然と人についての題材と聞き興味が出て観てきました。


お芝居って感じさせない柔らかな『会話』
ひとつひとつのカットに意味があり、ひとつひとつの会話に意味があった。
言葉が『セリフ』になってなくて、自然と耳に心地よく入ってくる。
どうしても日本語だと様々な表現方法があるから言葉をかっこよく使いたがり、大仰な芝居になりがちだけど、この映画の言葉はスッと心に入ってきた。
主人公の人の"声のおと"が素敵。
キレイな声をしている。

ドライブでの会話。
よくあるオッさんと若い子の会話だなあと後部座席で盗み聞きしてる気分になる。
『机上の空論』をかます人にイライラムカムカし、あるあるとため息。

グランピングという言葉を私は初めて知ったので、そんなお洒落な事があるんだなあとビックリ。
説明会に私も参加している気分になった。

それぞれの登場人物はいい人でもなく、悪い人でもなく…
考え方も正解もなく、不正解もなく…

『あいまい』

娘が1番"自然”に近い…


以降ネタバレ全開感想
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緩やかな自然の風景と人の心
不穏な時だけ流れる不穏な音楽
とても心地よい。
心地良すぎると退屈になるのだが、そんなことはなかった。
ラストが唐突でそれまでの経緯を考えさせられる余韻のある終わり方。

人間と自然が調和して生きていくのは難しいよね。
バランス良くなんて上手い事言うけど、それは人間の都合。
人間が入ってきて結果どうなったか。
銃声が何発も聞こえていた…。
シカからは襲わないのに、銃で打つ必要があるんだ。
手負いのシカが人間を襲うのは"自然"の防御として当たり前なのでは?
それは『悪』なの?
自然界に悪と善は存在するの?

"自然"とは?
映画としての明確な答えは出さず、問題提起とも違う…、各々"自然"について考える事が大事だよというメッセージに近いのかな…
そんなふうに私は受けとりました。
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