長らく日本国内での公開が待たれていた本作ですが、一年近く待った甲斐あってようやく公開されたので、観に行ってきました。
もう言葉が出なかったですし、日本人としての観点で観たら本当になんともいえない気持ちにはなりましたが、それでもクリストファー・ノーラン監督の集大成と呼べるような作品にはなってましたし、アカデミー賞をはじめとした賞レースを総なめしただけのことはあったなと思いました。
あくまでもノーラン監督の解釈にはなるんですが、かつて“原爆の父”と呼ばれたJ・ロバート・オッペンハイマーの内面に深く切り込んだ内容になっており、彼の人となりが作品を通してよく理解できましたし、基本会話劇中心ではあったものの、そこまで飽きずに観ることができました。
また、本作の最大の見せ場といえる中盤のトリニティ実験のシーンはあまりの音圧の凄さに耳が痛くなったのと同時に、当時広島や長崎にあの爆弾が落ちたのかと思うとだいぶ胸が痛くなりました。
キャストもノーラン作品史上一番といってもいいくらいかなり豪華な布陣となっており、脇役でも一度は観たことがあるような俳優が何人か出ている印象がありました。
今回初めてノーラン作品で主演を飾ったキリアン・マーフィも勿論良かったんですが、個人的にはロバート・ダウニーJr.があまりにも役に嵌り過ぎてて、思わずアイアンマンを演じた俳優だということを忘れて、役者のことも嫌いになりかけるほど上手だなって思いました。
人によってはいろんな見方があって然るべきだとは思いますが、オッペンハイマーの視点を通して、改めて核との向き合い方について色々と考えさせられるような作品でした。
そして、なにより劇場公開に踏み切ってくれた配給会社ビターズエンドには感謝しかないです。
