小島アキヒコ

オッペンハイマーの小島アキヒコのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
人間が絶対に手に出しては
いけなかったパンドラの箱。

オッペンハイマーはそのパンドラの箱を
開けてしまった。

ナチスより先に、ソ連より先に
原子爆弾を完成させ、実験を
成功させるというミッション。

原子爆弾の最初の標的はナチス
だったのに、ヒトラーが自殺し、
次の標的にされた日本。

そして核爆弾の完成と実験が
成功してしまったために
世界の全てが変わってしまった。

核兵器を持つことで、その国の強さを
示すようになってしまった。

ましてや原子爆弾を超える水素爆弾を
作ろうとしたアメリカ。

オッペンハイマーは自ら作り上げた
原子爆弾の脅威から、それを超える
水素爆弾を作ることを反対した。

しかし反対したが故に反社会、
反アメリカとみなされ、追求され、
FBIの監視下に置かれてしまう。

国の方針に反対するとスパイだ、
反逆者だ、左翼だいうのは、
あまりにも単純で一方的な
決めつけだと思います。

それでもオッペンハイマーは決して
屈することなく、信念を貫いて最期まで
生きたんじゃないかと思います。

確かに彼は核爆弾の開発によって
世界の全てを変えてしまった
悪の張本人かもしれません。

しかし、もしナチスやソ連が先に
核爆弾を作り上げていたらと考えると、
ナチスまたはソ連のオッペンハイマーの
ような存在が台頭し、もっと別の
恐ろしい結末が待っていたかも
しれません。

非常に重い内容でしたが、観て本当に
よかったと思える作品でした。