小島アキヒコ

瞳をとじての小島アキヒコのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.9
予告編がきっかけで本作品を知り、
監督が誰であるか、全く前知識無しに
今回の作品を観たのですが、
感想を書かれたほとんどの方々が
「ミツバチのささやき」を
観ているようで、
監督が誰であるかも知らない自分は
何を書けばいいのかしばらく
悩んでしまいました。

仕事(俳優業)とプライベートで
キャパオーバーになり、何もかも
捨ててしまいたいという気持ちに
なったのか、何故フリオが
映画の撮影中に失踪したのか
原因は語られず本当の理由は不明ですが、
色々と想像してしまいます。

親友を探すためにミゲルはテレビ番組
スタッフとも協力し、フリオの娘や
かつての映画スタッフの同僚マックスにも
協力してもらい、
ようやくフリオと再開します。

しかし、20年以上振りに再会した彼は
記憶喪失になっていて、
海兵隊時代からの親友である自分の存在を
忘れてしまっている。

自分の娘アナとも再会するも、自分の娘で
あることも忘れてしまっている。

どうにかしてフリオの記憶を呼び覚ますよう
ミゲルは試みますが、梨の礫。

最後の望みをかけてフリオが主演した
未完成の作品「別れのまなざし」の
ラストシーンを映画館で上映し
フリオに観させることで
記憶を呼び覚ませようとしますが、
実際に彼が自分が誰であるか
思い出したのか、
それは今回の作品を観た自分たちに
判断を委ねています。

全篇を通して、人の描写や風景の映像、
劇中に流れる歌も、全て全てが自然で、
繊細でいてほのかに温かく、
決してドラマティックではない展開が
凄く好きです。

観て本当によかったと思える作品が
また一つ増えました。