お初にお目にかかります!
イングマール・ベルイマン監督!!
うおおおおおおっ!!
圧倒的な赤!!
赤い絨毯。
赤い壁。
赤いカーテン。
赤い椅子。
赤、赤、赤、所々白。
視覚的に埋め尽くされた赤に、狂気を感じる。
19世紀末。スウェーデンの大邸宅を舞台に、三人姉妹と女中が繰り広げる愛憎劇を描く。
やたらと映し出される時計の針。
それは、末期癌の病に伏す次女アグネスの死へのカウントダウン。
姉と妹が親身になって看病しているかと思えば…。
全然、そんな事ないッ!!
歳の離れた外交官と結婚した長女カーリン。
愛のない上辺だけの夫婦関係。
彼女は愛を拒む。
夫がありながら医者と不倫関係に堕ちる三女マリア。
誰からも愛されていたい子供の様な女。
彼女は愛をねだる。
対照的に描かれた姉妹の姿が面白い。
次女の容態は安定せず、息も絶え絶えとなり、挙句大声で叫びのたうちまわる。鬼気迫る断末魔が凄まじい!!本当に死ぬんじゃないかという程の迫真の演技に圧倒される。
全てを包み込む女中アンナ。
愛が歪み、愛が機能していない家族の中で、
家族でない彼女だけが唯一愛を示し、
母性で次女を包み込む。
登場人物のアップを赤に染める「暗転」が、シーン毎に挿入され、脳味噌がとろけそう。
衝撃的なシーンもあるし、終盤は死をも超越した驚きの展開を見せるのに、埋め尽くす赤が観る者を狂わせるのか、画とは裏腹に妙に冷静に観てしまう。
叫びとささやき、そして訪れる沈黙。
カオスだ。物凄いカオスだ。
イングマール・ベルイマン。
ヤバい監督だって事だけはわかった。