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イノセンツのuchiのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.8
 フォロワーさんからの強いオススメで観て来ました。もう上映館少なく初めての劇場へ!たまには、新鮮でいいもんですね。

 本作はどちらかと言うと、通好みな印象。
 テレパシーやサイコキネシス、いわゆる超能力を取り上げてますが、派手さが全くない
 雰囲気というか独特な空気感を感じられる
作品です。
 当てはめる言葉が難しい…。

 ノルウェーの団地に越してくる姉妹イーダとアン、(アンは自閉症で自分をコントロール出来ない)そして団地で知り合うベン(男の子)とアイシャ4人のひと夏のストーリー。

 団地の他の子供達は、バカンスに出かけてている事からも、この子達は決して裕福な家庭環境ではなく、さらにそれぞれの家庭環境に問題がある…。 →ここポイント。

 4人とも超能力の素質を持っていますが、
過大評価していません。人と違う事が出来る程度。

 団地内、親とコミュニケーションが取れない、4人の友達、と言わば閉塞感の中で、
4人の子供の世界が作られて行く。

 大人の介在しない子供の世界は至って純粋
純粋無垢な心と、経験や知識の乏しい彼女たちの価値観で作られた世界…。
 その世界の中で、彼女たちの意識は成長して行き、それぞれの力を認識して増幅して行く。

 結果、子供のケンカでは収まらなくなるのですが…。
 子供の世界観の演出が実に上手い。
ちょっとした事に興味を持ったり、喧嘩してもすぐ仲直りしたり。
 姉のアンをイーダがつねり上げるのも、
ベンが猫を…(猫好き動物好きな方にはきついシーン)のシーンも子供の純粋な興味と思考なき突破的な行動。
 姉がどう思ってるかとか、猫がその後どうなるかには思考が届いていない。

 そいて、その後を体感した時の興味、思考も、子供の世界観に委ねられ、後悔して優しくなるのか?より虐待的行為に趣向が向き残忍になっていくのか?

 本作は決して力を持った子供達の超能力合戦ではありません。
 この子達の親はそれぞれに問題を持っています。
 携わった力は親に対する寂しさの表れに感じます。
 家族として、十分なコミュニケーションの
必要性と、アドバンテージのある我々大人が子供の目線に立ち、世界観を理解して、良し悪しのレールを引いてあげる事も大事だと
思います。
 
 個人として、人生を歩むうえで、やりたい事が出て来たりもしますが、家族がいて出来ない事もある。残念な時もありますが、その他の楽しみがいっぱいある。
 家族がいる以上、個人であって個人ではない。いつも家族を想っている。
だからこそ、仕事も頑張れるし、そこそこの幸福感があります。
 家族の幸せが私の幸せ…。
そう思える現状に満足。

 とても地味な作品ですが、独特の空気を
感じてほしい作品でした。
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