うりぼう

ベルリン・天使の詩 4K レストア版のうりぼうのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

午前10時の映画祭14

天使がベルリンに舞い降りる話。

二人の天使がベルリンの街を眺め、人々の暮らしを感じ過ごしている。彼らは、太古の原初に始まり、川が流れ、生物が発生した時から悠久の時を見つめて来た。

子供は子供の時、何もかもが好き、今は判らなくなる。時に子供には天使が見え、話かけてくる。時に天使は、弱き人に寄り添い、温かい心で包む。

刑事役で著名となった俳優が米国から映画を撮りにやってくる。彼も天使を感じられるらしい。こっちへ来いと誘って来る。

天使の一人はサーカスの空中ブランコ乗りに惹かれ、サーカスの廃業に悩む彼女を励ます。彼は川を眺めるのを止め、川の中に入る決意をする。恋は盲目。もう一人の天使は引き止めない。

川に入った彼は色彩を識り、香り嗅ぎ、痛みを感じる。頭に落ちた鎧は200マルクで古道具屋へ。恵んで貰った小銭はコーヒーに。初めに刑事役に会いに行き、彼が先達と知る。

サーカスの広場に向かった彼、既に天幕は畳まれ、もぬけの殻。凹む彼に子供達が病気かと心配し、彼は失くしたと答え、空を見上げる。もう一人の天使が彼に夜には翼が生えると囁くが、彼には聞こえない。

彼は、ウキウキと街を駆け回り、夜になると彼女が愛したライブ会場に。バーカウンターで二人は再会、彼女は彼と初対面だが、運命の人と確信する。二人は然と結ばれ、綱で曲芸をする彼女を綱を曳くことで彼は支える。

川に入った多くの天使、それを含め見守る天使、人々の平安は見えない誰かの手に依って護られているのかもしれない。

中には、天使が寄り添っても、振り払い悲劇に堕ちる人もいる。それは、人々の心の葛藤のようでもある。何事も無いような人の心に潜む声を天使は聞いている。色は無いが、耳がいいのが天使?

監督は前半のモノクロで描いた人々の暮らしが重要で、堕天使のカラーの分は、付け足しの様な気もする。カウンターでの彼女の異様な長舌は、監督の叫びに聞こえる。人は単純でなく、時、状態、体により複雑であり、危ういバランス、空中ブランコの様な不安定な中にあり、それを豊かな人間関係の中で納めていると。

最後に安ニ郎の名が出て、彼の想いを知る。
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