帰ってきたフィヨルド

ベルリン・天使の詩 4K レストア版の帰ってきたフィヨルドのレビュー・感想・評価

4.0
素晴らしい!映画とはこういうものだ!
目に見える物を使って目に見えない物をスクリーンに描き、現実を見せながら現実では見えないことを見せるのはまさに芸術…
初めてこの映画を観たのだが、目玉はやはり詩的な言い回し。
台詞で詩を多様することによって日常的には使わない言い回しは非現実感があるし、俯瞰視点というか、人間界を冷静に見ているような作中の天使の目線にもなった。
問題点があるとすれば、ピーター・フォークが序盤では一般人のような設定だったのに、後半で実は天使だったんだよっていうのはちょっとつじつまが合わないように思うが、そんなことはどうでもよくなるぐらいこの映画は良作。
ベルリンの壁が崩壊する2年前に公開されたということで当時の空気もプンプン臭ってくるし、ヴィム・ベンダースが小津安二郎やトリュフォー、タルコフスキーを「天使」と表現しているのもいいね。現世に存在した彼ら表現者は勿論、天使と呼んでさしつかえない。今作はなんとなくタルコフスキーっぽいなとも感じていたので、やはり影響を受けていたなってのは納得。自分としてはそこに「アレハンドロ」の名前を加えたいが…。
そしてもちろん「ヴィム」という名前も並ぶことは間違いない。あ、二人ともまだ存命だけど。