帰ってきたフィヨルド

ハプニングの帰ってきたフィヨルドのネタバレレビュー・内容・結末

ハプニング(2008年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

シャマランはスピってるというかそういうネタが好きなので、そっち方面に付き合えると面白く鑑賞できる。
『ノック』では人知を超えた大いなる者の存在、『オールド』では自然が起こす超自然的現象、『サイン』では偶然や奇跡は意味のある必然、『レディ・イン・ザ・ウォーター』でも無作為に集まった人間の関係性への必然。
『ハプニング』以前に作られた『レディ・イン・ザ・ウォーター』や『サイン』から見ても、今作で起きたことは偶然ではなく必然のような意味を持つと理解しました。

そう考えれば、今作のテーマは「自然への畏敬の念を忘れ、悪意を向け合う人間の破滅性」かな?

本作も粗探しをすれば色々あるんだけど、このテーマを上手く自然現象としてパニックホラーに馴染ませているのが秀逸で、作中でもそういう角度で鑑賞すると理解が深まると思う。

作中でパニックが起こればテロリズムと結び付けられたり、人間が人間に向ける悪意がどれだけ世界に浸透しているかが見せつけられた。それだけ人間同士は互いに猜疑心を持って警戒をしているというのはどの世界でも事実だろう。あとは悪意に対して悪意で対抗してはダメだとか(殺される2人の少年)の道徳的な価値観があった。

終盤で老婆が一人でも発狂したのを見ると、途中から主人公が言っていた「集団だから感染する」というのは間違いで、悪意を持つ人間には特に簡単に感染してしまうのだと思う。人間はエネルギーを出していて色でそれが見えるというスピってる要素も、ちょっと、お、おう…と思ってしまったが、その悪意のこもったエネルギーを植物が察知して自己防衛として人間を破滅させようとしている。というのがそれらしい今作のパニックの起きた理由ではないかと思う。

そしてその悪意に対して危険な存在とみなした植物が、アレルギー反応を起こすように人間を排除しようとしているのは自然の摂理として納得が出来る。物言わぬ植物が不気味であるし、どこにでも生えている植物が人間に対して敵意を向ける。それも人間たちの自業自得で。人間だけじゃなく植物も地球に同居している同じ生物ということを意識させられる。私も植物が好きだが、彼らが生きている生物ということをもっと意識しなければと思った。