Eryyy678

ミラベルと魔法だらけの家のEryyy678のネタバレレビュー・内容・結末

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー作品にしては珍しく「外側」の世界への冒険は行わない、箱庭的な世界観の中で繰り広げられるストーリー。
ファミリア(家族)というテーマがゆえに、内向きな題材になることは必然とも言える。魔法という煌びやかな題材を提示しておきながら、その実像において魔法=完璧=虚構というメタファーが垣間見えるのは、実に面白いと思う。
その完璧さに固執するマドリガル家の、家父長的で保守的な家族観に、ディズニーの存在を模ってきた「魔法」がある種の呪詛のように働いているのは、皮肉すら感じる。

「恐怖」を救ってくれた魔法とはある種の成功体験であり、その喪失を恐れるが故に、常に恐怖に苛まれる家長の気持ちもわかります。ましてやこのマドリガル家の始祖は、かなり辛苦の足跡を辿ってきたであろうし。そりゃ映画の中だと、未来を切り拓く主人公と、それに同調する家族というものが存在するけど、現実世界じゃそうはいかない。崩壊したファミリアは、やっぱり崩壊したままなのかもしれないのですから。そして一度壊れてしまったものが、修復される保証などどこにもないのです。

それを踏まえた上でも、再び立ち上がることの出来るこの家族達は、実に強い存在ですね。
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