主役エルヴィスの影には、彼をスターとして引き立てたトム・パーカー大佐という人物があった。それはわかるのですが…トム・パーカー大佐の映画なのか、エルヴィスに焦点を当てた映画なのかぼやけてしまい、いまいち入り込めませんでした。
しかし戦後のアメリカ社会の混沌の中に産み落とされた、激動を生きるアーティスト、としてのエルヴィスの信念やその苦悩は身に迫るものがありますね。
黒人音楽への偏見があった時代に、白人がその足跡を辿るのにも、厳しい視線を注がれる時代があった、と。
表現と現実の狭間で苦しむ姿。金にまつわる問題、そして家族と愛の問題。
それは幸せと不幸と表裏一体であり、そしてエルヴィスにとって最後に残ったのが、幸せであって欲しいと願うばかりです。