ぽん

わたしは最悪。のぽんのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.0
「何者かにならねば」っていうのは多くの若者がかかる呪いでしょう。主人公ユリアの自分探しの道程に恋愛が絡んでくる、一見ラブコメ調の物語。でも、愛だけでは彼女が救われない、満たされないのは当たり前で、その前に一人の人間として自分で自分を認められるか?ってところの問いを描いている映画だと思う。
これは共感しますね。何者にもなれなかった初老の自分は。色々もがいた日々は無駄ではなかったと、今は明鏡止水の心境。(ホントかよw)

タイプの違う2人の男性との恋愛が描かれているのですが、元カレ、今カレ、主人公ユリアのポジションが、それぞれ知性、感情、意思っていう人間の精神活動の三要素を表わしているように思え。知に働けば角が立つ情に棹させば流されるって、おぉぉ草枕の冒頭みたいw 面白エピソードの連続でそこまで知的に負荷をかけてくる感じでもないのに、観終えてみれば純文学を読み通したような手応えがありました。
いい作品。
ぽん

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