ハレルヤ

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.5
1999年の世界。制御不能になった核衛星が地球に墜落するかもしれない状況で不安に陥る世の中。クレアはあてもなく旅に出て、その道中でトレヴァーという男と出会う。トレヴァーが抱えている事情を知ったクレアは2人で世界中を旅する壮大なSFドラマ。

ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督作品。もう80歳に手が届く歳になった現在も大絶賛の「PERFECT DAYS」を生み出すという製作意欲の高さを思い知っていますが、本作は1991年の作品。当時は2時間半ほどの長さでしたが、数年前に改めて披露された本バージョンは何と287分。4時間47分という劇場公開版の倍近くの長さ。

ちょうどGWの休みだから一気に見てやろうと息巻いて鑑賞に臨みましたが、やっぱりメチャクチャ長い…笑。ちょっと邪道的な鑑賞方法ですがU-NEXTで1.2倍速で見ても3時間半以上。流石に疲れました。

内容はと言うとやはりロードムービーの名手である監督の集大成的な形。13年に及ぶ構想を映像化したもので、世界各地を旅するクレアの姿を中心に据えて、科学者である父親が発明した盲目の母親にも見えるカメラで、世界中の景色を映して回るトレヴァーとの出会い。そして共に両親がいるオーストラリアへと辿り着く壮大な旅を捉えています。

映画の半分がとにかく旅。ヴェネツィア、パリ、ベルリン、東京、オーストラリアなど世界を股にかけた旅が堪能できます。リマスターされた映像も高画質。絶景も多いのでその旅目当てなら割と楽しめるかと思われます。

全体の折り返しでオーストラリアに着いてからは一気にSFチックな作風に変わる。トレヴァーの盲目の母親に世界の映像を見せる実験が主になり、母親が見ているであろう映像はまるでタイトルのように夢のような演出に満ちたもの。

何となく描きたいものは分かりますが、やっぱり長過ぎる。5時間近くも費やす程でも無いと思いましたし、集中切れた時も数多く。このバージョンで本作を初めて見たので、劇場公開版と比べてどこが切られたのか分かりませんが、劇場公開版から先に見ても良いかもしれません。
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