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私はヴァレンティナののんchanのレビュー・感想・評価

私はヴァレンティナ(2020年製作の映画)
4.0
ブラジルはLGBTQの権利保障に前向きであり、同性婚も認められている国。しかし、トランスジェンダーの82%が中途退学し、その平均寿命はなんと35歳...なんという矛盾。

主演は自身もトランスジェンダーのYouTuberティエッサ・ウィンバック。
見かけはしなやかなロングヘアに豊かな胸と女性らしいヒップ。手脚は細くて小柄でほんと女子そのもの。


17歳のヴァレンティナの出生名はラウル。自分らしく生きるため、母親も愛情を注ぎ協力的だが、母親の仕事の都合で小さな村に引越すことになる。
転入先の高校では法に則り通称名で受け入れ可能となるが、手続書類には両親のサインが必要。そのため蒸発したままの父親を探し始める。

正式転入前に補習授業を受けることになり、そこでゲイのジュリオと妊娠中のアマンダと仲良くなるが、トランスジェンダーということは伏せていた。
そんな矢先、仮装パーティで男性から襲われ下半身を触れられてしまう。
父親と連絡が付いて久しぶりの再会。父親も娘のために協力してくれるが、小さな村はヴァレンティナを学校から排除する動きが始まる。

法で認められていてもLGBTQの現実は甘くない。
しかし辛いだけでなく、理解して応援してくれる人々もいて、ヴァレンティナは懸命にありのままに生きようとする。


ドキュメンタリーかと思うほどに自然な映し方でした。
それは、監督、プロデューサー自身もLGBTQ。
作品のリサーチャーで脚本コンサルタントのペドロ・ディニスはイケメンのトランス俳優。急遽出演となり、彼がキーマンでした。

多くのスタッフが悩み苦しみを解る人たちだからこその本物を感じる作品、思いがけない良作でした。
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