染夫木智也

ボーはおそれているの染夫木智也のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
5.0
「3巻で打ち切りなった漫画」みたいな映画らしい。

自分なりの良い映画の定義がある。
それは映画館でエンドロールが流れ終わった後、照明が明るくなった際に劇場がざわつく映画である。
過去に、トップガンマーヴェリックやスパイダーマンノーウェイホームを見た時に味わったことがある。
本作もある意味ざわついた作品だった。

本作含め長編3作しか制作していないのに、すでに宗教的人気をもつアリアスター監督。

2018年のデビュー作、「ヘレディタリー/継承」で21世紀最高のホラー映画と評価され、翌年2019年には日本でディレクターズカット盤が劇場公開されるほど人気を得た見たら鬱になるという映画「ミッドサマー」。

今までの映画には以下共通点がある。
・アリアスターの人生から生み出された映画
・トラウマ的な衝撃なシーンがある。
・ホラー映画、見方を変えれば救済映画。

本作はそもそもホラーではなくジャンルとしてダークコメディとなっているが、残りの共通点は同じである。

そしてもう一人ホットな存在。
2018年「ジョーカー」でアカデミー賞を受賞したホアキン・フェニックスが主演ということで、最速上映チケットが2分で売れると言う注目度がバリ高い映画。

簡単なあらすじ
常に不安を抱えている40歳のボー。
明日父の命日を迎えるため、母の元に帰ろうするのだが、鍵がなくなったり荷物が盗まれたりと出発できなくなった。怒られながらも母に伝えたが、すぐ後に母が死んだことを電話で知る。母の元へ向かうのだが、夢が現実か、不思議な出来事にまきこまれていく。。。

一言で言うと、中年、不安、裸、犯罪、死、監視、金玉、夢、SEX、母がぐちゃぐちゃにまざった映画。

エンドロールが終わったあと、劇場はざわつき「意味不明」「これで3時間?」「イミフで途中寝たわ」「3巻で打ち切りになった漫画やん」と声が聞こえた。

それほど見ている人に衝撃を与える映画だった。言いたいことは『いみぷー!!!』

ジャンルはダークコメディで、衝撃笑える時と笑えない時の差が凄い。
ただずっとボーの目線でストーリーが続き、ボーと一緒にこれは現実なのか?夢なのか?何が起きているのか?って不安を感じることができる。

話は4部構成で、各それぞれシーンが変わるたびに一度理解のできない場所まで吹っ飛ばされる。ただ見ていると、「あっそゆこと?」って理解した気にもなれる。

後半のあるシーンで今までの話が1つ線に繋がる。これってそういう話だったのか?と。その直後、さすがアリスターまだ理解の枠外に飛ばされる。

これだけ意味不明な映画なのに、オープニングのロゴ含めてさまざまなシーンにメッセージが潜んでいる。何かを意図してるかもしれないし、してないかもしれない。
しかし、それだけこだわっている映画であることは間違いなく、何度ももみたくなる作品だった。

理解できないって突き放すにはあまりに勿体無い映画であることは言いたい。

あと大島依提亜のパンフレットも相変わらず最高。最高オブ最高。