逃げるし恥だし役立たず

バーニング・ダウン 爆発都市の逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

2.5
自分はテロリストなのか?潜入捜査官なのか?記憶を失った元爆弾処理班のエースが、テロ組織の一員として追われる身になりながら真実を求める姿を描いた、アンディ・ラウ主演のサスペンスアクション。
爆弾処理班で数々の事件を解決してきたフォン(プン・センフォン/アンディ・ラウ)は、爆発に巻き込まれ左足を失ってしまう。恋人ポン・レン(ニー・ニー)や同僚ドン・チョクマン(ラウ・チンワン)の助けもあり、義足とは思えないほど身体機能が回復しながらも、上層部はフォンの現場復帰を認めず、仕事一筋で生きて来たフォンは自暴自棄になり、警察を辞めて姿を眩ませる。姿を眩ませたフォンが発見されたのは、テロ組織「復生会」によるホテル爆破事件の現場だった。重体の状態で発見されたフォンは容疑者として病院で尋問を受けるが、爆発の影響により過去の記憶を失っていた。そこにフォンを救い出すべくテロ組織「復生会」が乗り込んでくる。何故テロ組織が俺を助けるのか?フォンは病院から抜け出しひとりで逃亡するが…
原題は『Shock Wave 2』だが、同じくハーマン・ヤウ監督とアンディ・ラウ主演による『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』の続編ではなく、観客動員を見込んで平然と続編と謳う香港映画の常套手段からである。
多彩な人物が入り乱れて、過去と現在が交錯しまくる展開の中で、主人公フォンが潜入捜査官かテロリストかを巡って二転三転するサスペンスの緊張感は持続せず、物語に組み込まれた爆弾処理に潜入捜査や記憶障害と云う其々の三つの要素も中盤で底が割れドラマの重点が絞り込まれるにつれ馬脚を現す。命を懸けて人命救助を行っていた元爆弾処理班の男が何故〇〇〇〇〇になったのか、記憶障害を利用して元恋人達に埋め込まれた記憶と蘇る記憶の間に生まれる苦悩や葛藤、此こそが映画の核であり醍醐味だと思うのだが、ドラマも無ければ丁寧に主人公の感情の軌跡を追う事など一切せずに、最終的に香港全土を揺るがす核爆弾テロに挑むと云うあまりの御都合主義に開いた口が塞がらなくなる。職務中の怪我とはいえ内勤になると公然で警察批判、警察官を辞めた挙句は〇〇〇〇〇と、物語は行動の結果だけを見てもわからない、となれば動機が重要になってくるが、動機と云うよりは主人公の生来の気質によるもので、随分と沸点が低い主人公には同情も共感も持てない。また、回想シーンからの解除コードの意味とか言いたい事はまあ分かるが、タイムリミットサスペンスはそっちのけで、振ったネタを放棄したかのような展開が釈然としない。断片的に繋げた回想シーンに派手で大味なアクションと陳腐でしかないCG映像、この酷い演出で二時間近く見せきってしまう事が悲喜劇であり、これはコロナか?コロナのせいなのか?
ハシゴに跨ってヘリでの移動とか名探偵コナンの爆破テロ追跡映画かよ…