ちこちゃん

オートクチュールのちこちゃんのレビュー・感想・評価

オートクチュール(2021年製作の映画)
3.1
ディオールのオートクチュールを作る定年を迎える針子の女性が、偶然街で出会った若い女性に仕事を教え、プロのお針子にしていく物語です

ディオールのアトリエがどのようになっているのか、オートクチュールがどのような過程て作られていくのかがわかり、とても面白く観ました。これを観ると、オートクチュールが1000万以上するものがあるということも、納得できます。
そして、それがプロ中のプロ達によって作り上げられるものであることもわかります。
ドレスの数々も映されて、とても魅力的でした。

しかし、街でバッグを盗んだ女性をディオールのアトリエで働かせるのは、あまり説得力がないように思います。
加えて定年前のこのお針子針がユダヤ人であること、そんなプロでディオールで働いていても、パリ郊外の小さな家にやっと住めるぐらいの給料しかもらえないこと。新しく雇ったお針子も移民の子であり、移民が多く、治安が悪いサンドニの出身であること。彼女はクリスチャンであるが、アラブ系を敵視していることなど、フランスに対する知識がないと、映画自体に流れるフランスの問題が分からず、映画自体を理解しているのか不安になります。フランスで作成した映画であっても、映画であり、他国でも上映されることを考え、汎用性を持たせるか、説明をするかの方策が取られるべきでした。

それらのことから、ファッションに興味があり、普段見ることができないアトリエを見たいと思える人には、価値が高い映画と言えるでしょう。
ちこちゃん

ちこちゃん