似太郎

スチームボーイ STEAMBOYの似太郎のレビュー・感想・評価

スチームボーイ STEAMBOY(2003年製作の映画)
4.0
【僕は未来をあきらめた】

公開当時見事にズッコケた大友克洋による超大作アニメ。『AKIRA』のようなサイバーパンクを期待して観ると肩透かしを食らうこと間違い無しの作品。製作費をドブに捨てた。(笑)

たしかに大友だけに作画のクオリティは素晴らしい。本作は宮崎駿の『ラピュタ』のパクリというよりはバリー・ソネンフェフェルドの『ワイルド・ワイルド・ウエスト』に近いスチームパンク活劇になっておりある意味独創的ではあるのだが、いかんせんドラマが軟弱。

面白いと思ったのは蒸気の洗礼を浴びてマッド・サイエンティストみたいにになってしまった父親の博士とパンツ一丁で監禁されている狂ったジジイだろう。この二人のやり取りがシニカルでかつての短編『愛の街角2丁目3番地』の【影の総理】を彷彿とさせる。大友克洋らしい趣向ではある。

総じて、最低な作品とは思わないのだが(結構、画(え)的には面白いと感じさせる部分アリ)変に子供向けを配慮した結果、中途半端な出来になってしまった好例みたいな残念作に…。割り切って大人向けにすりゃ良かったのに。😔
超尺を全く飽きさせないカット割はたしかに凄い。

少なくとも同時期公開の押井守の『イノセンス』よりは上手く構成されてるしアニメ表現でここまで出来るか?みたいなチャレンジ精神は大いに買いたい所。巷で言われる程、酷くはない作品。後半のスチーム城の大暴れが楽しく『AKIRA』同様に破壊的な物量作戦が見所の一つ。
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