かんやん

この茫漠たる荒野でのかんやんのレビュー・感想・評価

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)
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『ジェイソン・ボーン』、『7月22日』、そして本作(西部劇)。職人肌の監督は色んなジャンルを引き受けるかと思うが、ポール・グリーングラスはセリフを書ける人で、この3作は自分で脚本を手がけているんですね。シリーズもの(ジェイソン・ボーン)や実際の事件に基づくもの(7月22日)や原作もの(本作)にしても、なんか凄くないですか。

グリーングラスさんの場合は器用だけど、逆に得意分野がないというわけではない。ドキュメント風に実際の事件に迫ってゆく時、演出が冴える監督だから。

西部劇は憧れであり、チャレンジでもあるのか。

南北戦争後、心に傷を負った元軍人(トム・ハンクス)が、旅しながら新聞を朗読することで生計を立てている。インディアンに誘拐された女児と偶然出会って、彼女を親戚の元に届けるというロードムービーですね。

女の子が、ハリウッドの子役の愛らしさとまるで無縁なところが良いですなあ。ドイツ映画『システムクラッシャー』(未見)の女の子です。で、その監督が抜擢されて『消えない罪』を撮った、と。

ぬかるむ大地、広がる草原、バッファーローの群れ、激流の向こう側を移動するインディアンの集団、映画というのはつくづく風景だよなあ、などといい加減な感想が浮かぶ。NYでインディー会話劇ばっかり撮ってる監督も好きだけど、そんな人だってたまにはちがった風景をカメラに納めたいはず。

子どもの頃、TVで西部劇ばかりやっていたことをしみじみと思い出す、そんな作品でした。マカロニではなく、古き良きの方ね。
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