アキラナウェイ

林檎とポラロイドのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
4.0
テンポがゆったりしているので、途中…スヤァ…と天に召されてしまった…。

そんなワタシは召されなウェイ。

それが非常に悔やまれるうゥゥ!!

これ、恐らく解釈が分かれる作品で、人によって捉え方が変わるというのが終わった後にわかったので、配信が始まったら是非リベンジかましたいやつゥゥ!!

バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きな事だけ。治療の為の回復プログラムに参加する男。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。

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新たな経験をポラロイドカメラで記録していく。果たして彼の失われた記憶は蘇るのか—— 。

監督を務めるのは、リチャード・リンクレイターや、ヨルゴス・ランティモスの助監督を務めていたクリストス・ニク。

なるほど。

リチャード・リンクレイターらしいリアリティとヨルゴス・ランティモスらしい不思議な空気感のどちらもが、この作品には在る。ヨルゴス・ランティモス程にパンチは効いていないけど。

ポラロイドカメラやカセットテープという、レトロなガジェットが、素朴な作風にマッチしている。

以下、僕の個人的な解釈を。
未鑑賞の方へのネタバレ防止の為、行間を空けます。










解釈が分かれるのは、①元々記憶を失くしてはいないが失くしたフリをしているのか、②実際記憶を失くしてして思い出したという二択かと。

冒頭、柱に頭を打ち続ける男。その後、バスの中で記憶を失ったと言うが、その前に「記憶を失くしたい」という描写がある事から、彼は記憶を失くしてはいないと思われる。

プログラムは記憶の上書き。
人生のアップロード。

しかし、その中でやはり忘れられない、妻の事。

忘れられない。
忘れる事など出来ない。

林檎の効能を聞いて、途端に林檎を食べる事をやめた所で、なるほどそういう事かと。

他者とのセックスを指示する指令を実行しなかったり、自分を想ってくれる女性からも距離を取ろうとする事から、彼がどれ程妻を愛しているのかがわかる。

全てをら受け入れようと決めて、またリンゴを食べ始める彼の表情は、実に晴れやかだった。

余計な説明がない分、鑑賞者に考える余白を与えてくれる秀作。

だからこそ、集中力を欠いて召されてしまった自分が憎い。