マルケス

いつかの君にもわかることのマルケスのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
4.0
余命わずかのジョンは息子マイケルの里親を探している。ストーリーに大きな起伏はなく、ジョンとマイケルの表情や、周囲の人々との会話が淡々と描かれている。
限りがあるからこそ、マイケルと過ごすささやかな日常がどれほど愛おしいか、ジョンの思いが伝わってきて切なくなる。

好きなシーンはお気に入りのパジャマを巡ってマイケルが激オコになるとこ。おとなしくて優しいマイケルにもちゃんと自己主張があって、逆にホッとした。そんなマイケルが安心できる家庭を、ジョンは悩みながら探したんだよね。

監督が『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニ。余計なセリフを排し、画で見せる演出は監督の持ち味であり、映画だからこそ可能な卓越したアプローチでもある。死生観についても考えさせられる。
ラストショット、ジョンを見つめるマイケルに泣いた。あの瞳を透過して永遠に刻まれるだろう記憶は、ジョンのどんな表情だったのだろう。
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