Maoryu002

いつかの君にもわかることのMaoryu002のレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
4.1
シングルファーザーで窓拭き清掃員のジョン(ジェームズ・ノートン)は病で余命わずかとなり、4歳の息子マイケル(ダニエル・ラモント)の養子縁組手続きを進める。ソーシャルワーカーのショーナ(アイリーン・オヒギンズ)の協力を得るが、理想的な家族はなかなか見つからず、残された時間が少なくなっていく。

「おみおくりの作法」のウベルト・パゾリーニ作品。この監督は死にまつわる人の感情を、繊細に温かく、とても静かに見せてくれる。

4歳っていう年齢は難しい。死を伝えるのも、これからどうしたいかを選ばせるのも酷だ。
ただ、実は子供ながらに死を理解しようとして、養子になることを拒み、誰といたいか意思表示しているのが見えてくる。
その微妙な年齢の描き方が抜群に上手かった!

一方で、辛い状況に追い込まれてるジョンは “(息子が幸せになる)確信が欲しい” って言うけど、それはありえない。本当の家族とだって、そんな保証はないわけで、まさに「Nowhere Special」だ。

そして、単なる子供好きから、自分のステータスのため、人生の目的を作るためと、いろんな親候補がいるのも興味深かった。子供を愛し、受け入れ続ければそれでいいんだけど、自分にマイナスだと感じたら捨てちゃうんじゃないかと心配になる人物もいたなー。

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のジェームズ・ノートンは名演だったし、なんといってもマイケル役のダニエル・ラモントが天才!
“いつ死ぬの?” という一言にはまいったし、あのラストカットの表情!!

以下、ネタバレ。

最後は予想どおり、どんなに条件が悪くても、一番マイケルの気持ちを聞き出そうとし、ジョンの人柄を知ろうとした女性を訪ねた2人。彼女は将来、マイケルにジョンの話をたくさんするんだろうな。
完璧じゃなくても特別な場所で、マイケルが愛され続けると信じたい。
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