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いつかの君にもわかることのsymaxのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.8
"生き物は、この世界に生まれて、たくさん楽しんで、だんだん年をとって、最後は死ぬんだ…後は身体だけが残る…悲しいことじゃないよ…もうそこにいないだけ…"

窓拭き清掃員として働くジョンは、4歳の息子マイケルを男手一つで育てていた…

不治の病により残された時間はあと僅か…残されるマイケルに新しい親を見つけようと奮闘するジョンでしたが、果たして自分の決断は息子にとって本当に最良なのか迷い、進むべき道を見失ってしまう…

"おみおくりの作法"という一風変わっていながらも素晴らしい感動をくれたウベルト・パゾリーニ監督が描く、とてつもなく優しく、慈愛に満ちた父子の物語にまたまた感動させられました。

余命いくばくもなく、頼るべく親類もない孤独なシングル・ファーザーが、ひたすら息子の為に様々な里親候補と面会を重ね、どの親が息子を幸せに出来るのか悩み…面会を重ねる度に最後まで息子を育てることが出来ない自分自身の不甲斐なさに押しつぶされそうになっていく…父ジョンを演じたジェームズ・ノートンのどこまでも優しくそして悲しげな目は胸が痛くなります。

息子マイケルを演じたダニエル・ラモント君がとても可愛らしくて…もう俺が育てると思ってしまう程です。

ジョンとマイケルとの間にそれ程の会話がある訳ではなく、ちょっとした仕草、目線で親子が深い愛情で結ばれているのが分かります。

時々、マイケルが見せる表情は先の不安を抱いているかのようで、その不安をジョンが優しく包み込むのですが、余りにも切ない…

まるで本物の親子のようで、演技を超えた絆があるように思えます…

残酷に時間が過ぎていく中、ジョンの選択は…

その後のマイケルの幸せを祈る私がそこにいました…ラストカットのマイケルの姿が目に焼き付きます…
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